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花の少ない時期、私達の目を楽しませてくれた水仙の花は、真冬からしばらく咲き続けていましたが、ようやくその花期を終えようとしています。
スイセン属は、ヒガンバナ科の多年草で、冬から春にかけて白や黄の花を咲かせます。
典型的なスイセンの花の場合、めしべは1本、おしべは6本あります。
6枚に分かれた花びらと、中心に筒状の花びらがありますが、実は6枚に分かれている花びらのうち、外側3枚はがくで、内側3枚のみが花弁で、二つをあわせて花被片(かひへん)と呼びます。
また、中心にある筒状の部分は副花冠(ふくかかん)と言い、花被片・副花冠の形状と花の着き方により品種を区分します。
今日は、最もよく見かける代表的なスイセンについて、画像で紹介しましょう。
まずスイセンと言えば、日本においてニホンス(ズ)イセンを指すことが多いのですが、下の画像(新宿御苑)の通り花被片は白、副花冠が黄色のスイセンです。
スイセンの原産地は、地中海沿岸地方から中近東の地域です。
本種は日本や中国南部に分布していますが、一説では中国南部から黒潮によって漂流したものが海岸に到着し、九州から関東地方にかけての太平洋沿岸、対馬海流が影響する山陰・北陸地方の沿岸に自生したと言われていて、中でも伊豆・下田、淡路島および越前海岸は三大自生地となっています。
下の画像(新宿御苑)のスイセンが、ペーパーホワイトと呼ばれるスイセンで、12月ころから最も早く咲き始めるスイセンです。
花被片だけではなく、副花冠も白いのが特徴で、新宿御苑で多数栽培されています。
white paperなら、白い紙、すなわち白書ですが、paper whiteですから、紙のような白と言うことになるのでしょうか。
ニホンズイセンと異なり、その花のにおいは、お世辞でもいい匂いとはいえず、臭い(におい)という漢字を当てるのが適当だと、私は感じます。
この花の見た目は、白一色でとても清楚な印象を受けるスイセンですので、臭いだけ何とかなれば、室内に飾れば素晴らしく美しい花なのですが。
上の二つの品種よりは稀に見かける種類ですが、下の画像(高尾城山)のような花被片も副花冠も鮮やかな黄色い水仙を見かけます。
中の副花冠がラッパのように突き出ているのが特徴で、その名をラッパスイセンと呼びます。
上の二つのスイセンよりも花の大きさも一回り大きく、見応えのあるスイセンです。
終わりに、スイセンを鑑賞する時に覚えておきたいスイセンにまつわる神話を紹介しましょう。(ウィキペディアより)
若さと美しさを兼ね備えていたナルキッソスは、ある時アプロディーテーの贈り物を侮辱する。アプロディーテーは怒り、ナルキッソスを愛される相手に所有させることを拒むようにする。彼は女性からだけでなく男性からも愛されており、彼に恋していた者の一人であるアメイニアスは、彼を手に入れられないことに絶望し、自殺する。
森の妖精(ニュンペー)のひとりエーコーが彼に恋をしたが、エーコーはゼウスがヘーラーの監視から逃れるのを歌とおしゃべり(別説ではおせじと噂)で助けたためにヘーラーの怒りをかい、自分では口がきけず、他人の言葉を繰り返すことのみを許されていた。エーコーはナルキッソスの言葉を繰り返す以外、何もできなかったので、ナルキッソスは「退屈だ」としてエーコーを見捨てた。エーコーは悲しみのあまり姿を失い、ただ声だけが残って木霊になった。
これを見た神に対する侮辱を罰する神ネメシスは、他人を愛せないナルキッソスが、ただ自分だけを愛するようにする。ある日ナルキッソスが水面を見ると、中に美しい少年がいた。もちろんそれはナルキッソス本人だった。ナルキッソスはひと目で恋に落ちた。そしてそのまま水の中の美少年から離れることができなくなり、やせ細って死んだ。また、水面に写った自分に口付けをしようとしてそのまま落ちて水死したという話もある。
ナルキッソスが死んだあとそこには水仙の花が咲いていた。この伝承から、スイセンのことを欧米ではナルシスと呼ぶ。また、ナルシ(シ)スト(ナルシシズム)という語の語源でもある。
こんな神話を思いながら、スイセンを眺めるのも楽しいと思います。