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この時期、スーパーの店頭にも並んでいる食材として「めかぶ」があります。ずっと昔の話になりますが、釜石出身の教師が私の教室にいて、水産業をしている実家から送られてきたという「めかぶ」を、彼からもらいました。そのめかぶを、熱湯で湯がくと、褐色のめかぶの色が、鮮やかなグリーンに変わります。この変化には、手品のような不思議な驚きを感じました。
めかぶの季節になると、そんなことを思い出します。ただ、彼の高校生の姪が、東日本大震災の津波の犠牲になったということも、後で聞きました。海は、豊穣な幸を私たちに提供してくれるだけではなく、時には冷酷な側面があるのだと痛感しました。
自宅に帰る途中で寄ったスーパーで、売っていためかぶを見つけて、小学2年生の娘にその変化を見せたくて2日連続で買ってしまいました。熱湯に入れる時に、鍋の中が見えるように台の上に娘を乗っけて、めかぶを投入。下の画像のように瞬時に手品を見るようにその色が変わりました。娘もその変化に驚いていました。
また、娘はコブやワカメが大好きな子で、湯がいためかぶを刻んで、ポン酢をかけて食べさせました。「美味しい」と言いながら、食べていました。適度な歯触りとぬめりが、食欲を増進します。
コンブやワカメは、海藻の「褐藻」と呼ばれる仲間に属しています。海の中で生きている状態では、褐色をしているために付けられた名前です。コンブの褐色の元となっている色素は、「フコキサンチン」という赤っぽい色の色素と、「クロロフィル」という青緑色の色素、いわゆる葉緑素です。
こうした色素を持っているため、赤っぽい色と緑色っぽい色が混ざった褐色をしています。しかし、赤っぽい色素の「フコキサンチン」はタンパク質と結合しているため、加熱すると変質し、赤い色を失ってしまいます。すると、元からある「クロロフィル」の緑色が強く出て、全体の色が緑色に変わる、というわけです。
このフコキサンチンという成分は、調べてみると人間にとって、脂肪組織における脂肪の燃焼を助けるたり、抗腫瘍・抗細胞増殖作用を促すことが知られていて、その他には、抗血管新生活性を促すことが明らかとなっているそうです。
めかぶだけではなく、早春に出回る茎ワカメも、食材として面白いと思います。以上の成分など、美味しいだけではなく、体にも良い成分を含みます。どうぞお試しください。
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