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趣味の一つとして、私は長年山登りを続けています。私の山登りのスタイルは、歳とともに変わってきました。私が夜行日帰りで出かけていた頃は、多くの若者が山登りに興味がありました。その後、若者の趣味が多様化し、若者と入れ替わるように、女性と中高年の登山者が増え、日本百名山がその人達のバイブルとなる時代になりました。最近はトレイルランを行っている人たちが増えました。スポーツ性の高いこうした行為は、今までの登山者とは異なる人たちを呼び込み、高尾山周辺の山は、多くの人々で混雑しています。
私の山登りは、体を目一杯動かすことを目的とした山登りから、若い頃は無視していた山の植物を愛でながら歩く山登りへと変化しました。この変化は、ひとえに加齢のせいでしょう。
山登りは、一般道を歩いているわけではないので、様々な危険を伴います。特に高齢者の山登りは、転倒や滑落などにより、思いもよらない場所で重大な事故に遭うことがあります。また、山の知識や経験が乏しいことが主な原因で、天候の急変やルートファインディングミスに対応できずに、命の危険に遭遇することも稀ではありません。
突発的な落石や、普通の天候時における突然の落雷などの危険は、回避することが難しい場合があります。登山における多くの事故は、注意して避ける事ができるのですが、このように注意していても起きる事故もあることは確かです。
今回の御嶽山噴火直後は、この災害をブログで語る気になりませんでした。山登りが趣味なら、一度は登りたい山が御嶽山です。私も未踏なので登りたいと思っていました。昨年知人から御嶽山登山に誘われましたが、都合がつかずに、知人だけが登ってきました。御嶽山は、それほど一般的な山であり、私が噴火時に、その現場にいても不思議ではない山です。多くの登山愛好家は、そう感じたことでしょう。あれからおよそ50日が過ぎ、57人が亡くなり、いまだに6人が行方不明となった災害を、ようやくこのブログで総括してみようと思いました。
紅葉シーズンの9月27日(土曜日)のお昼時、御嶽山に登頂した登山者は、天候にも恵まれ、幸福な一時を過ごしていたはずです。多くの登山者でにぎわう御嶽山は、突然水蒸気爆発を起こし、大量の噴石が登山者に降り注ぎました。死亡者の大半が、この噴石に当たったことによる損傷死だったと報道されています。紅葉時期で、登山者が特に多い休日のお昼時という最悪のタイミングで、御嶽山は突然噴火しました。
「危険な火山」に登るからいけないんだ。「君子危うきに近寄らず」でしょう。登山に無縁な人は、そう感じるかもしれません。けれども、日本には活火山が110火山あり、気象庁が常時監視している火山は47火山にのぼります。そして、その多くが、日本百名山になっている山なのです。すなわち登山対象の多くの山が、活火山なのです。
日本列島は、環太平洋造山帯・環太平洋火山帯・環太平洋地震帯に属しています。そして、世界の地震の90%、火山噴火の75%が、このエリアで起きているとも言われています。私たち日本人は、火山と地震の上で生活していると言っても言い過ぎではありません。
御嶽山は、今回の噴火前は「噴火警戒レベル1」と評価され、火山活動は静穏であるとされていました。世界文化遺産となり、登山者が急増した富士山も、同じレベル1です。御嶽山登山は、三千メートル峰登山ですが、困難な山登りではなく、どちらかと言えば家族やグループで楽しめると言ってよいでしょう。
では、今回の噴火による災害は、何が問題だったのでしょう。登山者に過誤があったわけではありません。では、火山を監視する気象庁に問題があったのでしょうか。今回の噴火が、マグマ溜まりが上昇して溶岩を噴出する本格的な火山活動(塾では小5で学習)ではなく、水蒸気爆発だったことからすると、今の技術で予報に限界があったとも考えられます。(ただ、後になってデータを分析すれば、それらしき兆候が認められるという報道もされています。)
御嶽山は、噴火後にレベル3となり、入山規制となりました。この災害で気象庁は、今後より神経質に全国の火山の警戒レベルを変更することが予想されます。
極論すれば、「火山性の山に登るな」と言うことは、「地震国日本に住むな」と言うに等しいと思います。登山愛好者は、火山情報をより厳密に判断するようになるでしょうが、活火山に登ることをあきらめることはしないはずです。予定していた富士登山を、山に異変がない限り変更することもしないでしょう。
しかし、登山に出かける、すなわち火山性の山に登る行為は、登山の基本である、自己責任で判断し準備して実行するという原則を理解し、くれぐれも慎重な登山計画をたてる必要があります。
今回、多くの老若男女が亡くなられたわけですが、アンラッキーとしか言いようがありません。ただ、山登りは、そうした危険を伴うものだという認識が、希薄になっていたように思います。まさに「天災は、忘れた頃にやってくる」という格言を忘れてはなりません。また、火山活動の監視およびその研究は、火山国・地震国の日本において十分だったのか、そして活動期にある活火山の登山道周辺における緊急時のシェルターの設置など、その予算を含め検証してみる必要があります。そうしたことが、今回不幸にも災害に遭遇した人たちの死と近親の方々の痛みを、いくばくか和らげることに繋がると確信します。
文末になりましたが、亡くなられた多くの登山者の冥福を、心より祈りたいと思います。
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