「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの山登り:『奥多摩・オロセ尾根からタワ尾根・ウトウの頭』

2008年09月19日 | 日帰りの山登り
9月15日(敬老の日),私の『山菜』・『シュノーケリング』の師匠Yさんと、奥多摩にある『ウトウの頭』に登ってきました。

今回は、単に山登りするだけではなく、『キノコ狩り』をすることも目的でした。

キノコについてほとんど知識の無かった私にとって、Yさんは『キノコ狩り師匠』と言う、もう一つの肩書きを持つに至ったのでした。

Yさんとは、山で知り合い、『類は友を呼ぶ』…と言うか、どちらかというと私側に立てば『朱に交われば赤くなる』…とでも言うか、どうも私が願いつつも今までやってこなかった領域の先輩らしい。

当日は天候が心配されたものの、終日薄曇りで、汗かきの私としては好都合の日和でした。



『オロセ尾根からタワ尾根・篶坂ノ丸・ウトウの頭ヘ』

8時22分に奥多摩駅に到着した私達は、8時33分発の東日原行きのバスに乗りました。
バスの乗客の半数は、途中川乗橋で下車し川苔山に向かい、私たちは9時に終点東日原バス停に到着。

バス停で降りた人たちは、私たち2名を除いては、鷹ノ巣山方面や蕎麦粒山方面の登山者だったようです。



日原川の山々


私たちは、バス停からそのまま直進し、橋を渡り日原渓流釣り場を左に折れ、日原川沿いの日原林道をしばらく歩き、9時50分八丁橋に到着しました。



増水した日原川で釣りをする人


橋を渡り孫惣谷(まごそうだに)林道に入り20分ほど歩くと、林道右手にオロセ尾根に通じる作業道の木の階段がありますので、登山口を間違えることはありません。

ここから本格的な山登りが始まり、しばらくは手入れされたスギ林の中の九十九折りの作業道を歩きます。



キノコの一種・ツチグリ


高度を上げていくと植林された針葉樹林から、自然のままの広葉樹林帯になり、いよいよ『キノコ狩り』の開始!

この作業道は、そのまま行くとオロセ尾根を右手に見てはずれていくので、途中で登りやすい斜面を見つけて、尾根筋を目指して斜面を登りました。

目指すお宝『食用のキノコ』は、至る所に生えているわけではありませんでした。
キノコをチェックしつつも、オロセ尾根の道無き道を登る楽しみを堪能して、12時30分タワ尾根上の篶坂ノ丸(すずさかのまる)に到着し、そこで30分ほど休憩と昼食をとりました。





昼過ぎより、山全体に薄いガスが掛かり、展望はききませんでしたが、樹林帯は墨絵の世界のようでした。



薄くガスがかかり始めたタワ尾根を行くYさん


昼食後、篶坂ノ丸からタワ尾根を登り、35分でウトウの頭に到達。

ウトウの頭(アタマ)には、A4サイズの『ウトウの絵』が木に括り付けられていました。



ウトウの頭にある『ウトウの絵』・裏にも……


この『ウトウ』については、私が感じ入った話がありますので、後で詳しくお話ししましょう。

山頂で、Yさんが持参したデザートのぶどうを頂き(いつもありがとうございます!)、20分ほど山頂で休憩した後、13時35分道すがら再びキノコをチェックしながら、下山を開始しました。



『ウトウの頭から日原鍾乳洞へ下山』



今回の最大の収穫・ナラタケ



ホウキタケの一種



美味そうな肉質のキノコですが、毒キノコのツキヨタケ
暗闇で白色のひだが青白く発光し、毒キノコ中毒例の多くがツキヨタケによるそうです



マシュマロのようにかわいいキノコ
欧米では「死の天使」 (Destroying Angel) という異名をもつ、テングタケの一種ドクツルタケ


篶坂ノ丸に戻り、タワ尾根上の金袋山(きんたいさん)・人形山を通り、人形山の少し先にある『ミズナラの巨木』に対面。



ミズナラの巨木を前に、スケールチェック用に立っていただいたY師匠
柵で囲まれているので、奥にある巨木は、この写真よりもっと大きい!


樹木も巨木・老木となると、何百年いや時に何千年という幾星霜をその幹に刻み、私たちを圧倒する存在感があります。

このタワ尾根にあるミズナラの巨木は、その生命力を誇張するためにデフォルメされた日本画に描かれた老木のように、腰をかがめながらも、それでも天に向かって枝葉を高く突き上げ、精一杯生きようとする意志を感じさせます。



ギンリョウソウ(銀竜草)別名ゆうれい草とも呼ばれる葉緑体を持たない植物


一石山を経由し、尾根から左に付いている急なジグザグ道をひたすら降りると、16時5分小川谷林道に出ました。



一石山神社の清水で、汗を流すYさん


その登山道出口から、日原鍾乳洞・一石山神社は、すぐ間近です。
17時22分東日原発のバスには少し間がり、鍾乳洞の茶店に入ってビールで乾杯しました。


私にとって、奥多摩でも今まで登っていないこの山域は、自然のままの広葉樹林も広がっていて、紅葉の時期から初冬にかけてまた訪れてみたい所でした。



【コースタイム】
奥多摩駅〜0.25〜東日原バス停〜0.50〜八丁橋〜0.20〜オロセ尾根登り口〜1.45〜篶坂ノ丸〜0.35〜ウトウの頭〜1.20〜ミズナラの巨木〜0.10〜一石山〜0.35〜小川谷林道登山口〜0.25〜東日原バス停
【歩程合計:6時間】

作業道・登山道とも道はしっかりしていて、赤テープ等で指示ははっきりしている。
注意する点は、作業道からオロセ尾根に取り付くタイミングと、下りで1ヶ所左へそれる尾根(右への指示有り)に入り込まないようにすること。



『帰宅後早速作った料理』

今日の収穫『ナラタケ』を入れた料理を作りました。

料理名:『キノコの薄味煮』



【材料】
ナラタケ(山の収穫)、エノキ、鶏のもも肉、豆腐、出汁、ポン酢


【作り方】
耐火容器に出汁を入れ、そこにキノコを入れてラップをして、5分〜6分電子レンジで加熱します。
鍋でお湯を沸かし、鶏のもも肉と豆腐を入れて火が通るまで茹でます。
皿にキノコ・鶏肉・豆腐を入れて、ポン酢をかけて食べました。
(キノコの鍋料理を、電子レンジを使って簡単に作ったわけです。)



一足早い紅葉した落ち葉



『“知って悲しきウトウの頭”…後で調べて感動した話』

登った山のピーク『ウトウの頭(あたま)』の『ウトウ』についての話です。

実は、ウトウが鳥の名前であることや、ウトウを『善知鳥』と書くこと、そしてその鳥がどういった鳥なのかを山へ行く前にネットで調べるまで、私は知りませんでした。

山のピーク名を一般的に『頭(かしら)』と呼ぶことが多いのですが、今回のピークは『頭(あたま)』と、ちょっと生々しい呼び方をします。

『ウトウの頭』にある『ウトウの油彩画』の裏をめくって見ると、

「陸奥の卒土の浜なる呼子鳥鳴くなる声はうとう安方」

と言う藤原定家の歌が木彫りされていました。





残念ながら、その歌は初めて目にするもので、その時は歌の意味するところが理解できませんでした。


以下は、この「ウトウの歌」について帰宅後にネットを使って調べたものです。

『ウトウの巣は、崖の岩棚に穴を掘って作り、とても親子の情愛が濃い鳥であると言われています。朝巣を離れた親鳥が、餌をもって帰る際に「うとう(憂たふ:心配してたが大丈夫だったか?)」と鳴き、土中の子は「やすかた(安かた:安心して!)」と応えて迎えるそうです。』

こんな声で鳴く鳥が、遙か卒土(辺境)の浜にいると聞かされて、人間に勝るとも劣らないこの鳥の親子の情愛に、藤原定家は感動したのでしょう。


もう一つ、青森市が善知鳥村と言われた当時から建つ善知鳥神社の栞に、ウトウについての西行法師の歌があるそうです。

「子を思う涙の雨の笠の上にかかるもわびしやすかたの鳥」

『ウトウを捕る猟師は、親鳥をまねて「うとう」と声をかけ、それに安心して巣穴から出てくる雛を捕まえる。これを見て親鳥は悲しみ血の涙を降らせるので、猟師は蓑と笠をつけるのだ、と言う内容の歌です。』

ヤスカタもまたウトウと同義語で使われていることが、この歌から分かります。

またこの歌は、西行らしくウトウの親子の情愛を、物寂しい物語を絡めて一層際だたせているように思います。


これらの歌をふまえて謡曲『善知鳥』が生まれたと言います。

奥多摩の『ウトウの頭』のいわれは、以下のような言い伝えとして、地元の老人によって語られているそうです。

『ウトウの頭のカシラというのは沢の頂を意味します。ウトウ沢の頂がウトウの頭ということになります。ウトウ沢はタワ尾根の西、孫惣谷側の沢の名前です。謡曲の『善知鳥』はご存じですか? あれは猟師が地獄で苦しめられるという内容でしたね。そのように猟師が難渋して苦しめられる沢というので、善知鳥沢というようになったそうです。』


人は自分の知識で構築した世界の中で、物事を見聞きし、考え判断しているように思います。

その人の知識が広く深ければ、より豊かな世界で生きることが出来ると言うことになります。

『ウトウの頭』…山に登って、そして帰宅して、いずれも学ぶことの多い山でした。





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