学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

春は出会いと別れの季節

2017-02-26 21:05:24 | その他
2月も半ばを過ぎ、街のなかの軒先の梅も小さな花びらをつけるようになると、春の足音が静かに聞こえてくるような心地がします。春になると暖かくなって過ごしやすい日々が続き、寒いのが苦手な私にとってはこのうえもない喜びなのですが、春は出会いと別れの季節。私にとっては複雑な心境になるのです。というのは、私は「別れ」が、からっきし苦手なのです。

今年も別れがありました。それは長年住み続けたアパートとの別れ(つまり引っ越し)。私が今の街へやってきてから、ずっと住み続けていたので、それはそれは長い年月を暮していました。最後の掃除をしていると、アパートの部屋との思い出がどんどん湧き出てくる。

はじめて、アパートの部屋に来たときのこと。何もなくてがらんどうだった。でも、夢はいっぱい詰まっていた。

やってきて最初の夜。さすがに心細かったけれど、部屋の壁をさすっていると私はなぜか落ち着くことができた。

仕事を始めたばかりのとき、私にはまだこの街に友達はいなくて、仕事で失敗しても愚痴を聞いてくれる人はいなかった。毎晩部屋で独り、お酒を飲みながら、つまらない愚痴をいう私の言葉を、黙って延々と聞いてくれたのも、この部屋。

出張や旅行で長期不在にして帰ってきても、飲んだくれてへべれけになって帰ってきても、東日本大震災のような激しい災害に見舞われても、いつも暖かく迎え入れてくれた。

いつかは別れるときが来ると思っていたのだけれど、それが今年になってしまった。私にとって、ただの部屋ではない。いつの間にか、苦楽を共にした長年の友人のような存在になっていたのです。

私はセンチメンタルな性格ではないと思っていたのだけれど、部屋での最後の夜、私はシャワーを浴びながら不覚にも号泣してしまった。どうもありがとう、と心から感謝の気持ちを伝えて、私は部屋を後にしたのです。もういい歳になったのに、私は子供みたいな性格で仕方がありませんね。

思い出のアパートから巣立ち、今は新居でこのブログを更新しています。別れは悲しいけれど、前を向いて歩かなくては!春ですものね!
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