学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

クローン文化財の登場

2017-06-19 10:31:33 | その他
2017年6月16日の朝日新聞【文化・文芸】に「クローン文化財続々誕生」との記事が出ていました。記事によれば、東京芸術大学がデジタルとアナログ技術を駆使して、貴重な美術品や文化財の複製画を制作しているというもの。その一番の長所は「公開や移動に制約がある文化財に代わる存在になりえること」であり、絵画の表面にふれることもできるとしています。最近では、ブリューゲルの《バベルの塔》が制作されたとのこと。

私は芸大が制作したその「クローン文化財」は見たことがないけれど、2、3年ほど前に栃木県にある佐野市立吉澤記念美術館で伊藤若冲《菜蟲譜》(重要文化財)の複製画を見たことがありました。数年かけて制作したように記憶していますが、そのクオリティの高さに驚かされたものです。私の勤務する美術館もそうですが、どの館にも目玉となる作品はあるものの、作品保護の観点から公開期間は限られる。そこがなかなか悩みどころでもあります。この「クローン文化財」は、相当にクオリティが高いようですし、触ることができるのならば、世界の名作をガラスケースに入れることなく間近で鑑賞することもできるのでしょう。

問題なのは、本物が持つ「オーラ」まで感じ取れるかどうかというところ。記事のなかで、美術史家の青柳正規氏は「情報量のある複製なら、オーラも生まれると思う」とコメントを寄せています。人間の一生は短く、その生涯において世界中の美術作品をすべて目にすることは不可能。で、あれば、「クローン文化財」でその雰囲気を味わう、ということもアリかもしれません。

東京都美術館で「バベルの塔」展が開催されている間、芸大で「クローン文化財」の《バベルの塔》を展示しているそう。どの程度のクオリティなのか、ぜひ見てみたいものです。もちろん、本物の《バベルの塔》も!
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