一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

譲渡担保について 中

2016-09-22 18:33:10 | 物権法
譲渡担保について 中

 譲渡担保の設定は、諾成、かつ無方式であり、イ)権利を債権者に譲渡すること、ロ)それが債権担保の目的であること、合意が成れば成立する。

 被担保債権は何でもよく、担保として供する目的物(権利)は、譲渡性があれば何でもよい。したがって、必ず入ってくる見込みである売掛金なんかも、特段の事情が無く、特定性が満たされている限り、譲渡担保に供することができる。

 対抗要件は、不動産を目的とするときは、登記が必要であり、登記実務は譲渡担保を登記原因にすることを認めているが、単に「売買」「代物弁済」と記載することも多いようである。いずれにしても、公示機能は十分に果たされているとは言えない。なお、動産を目的とするときは、引渡しが必要であり、その大部分は、設定者に動産を留めておくのであるから、〔183〕占有改定になろうか。だがこの場合にも公示機能はほぼ、期待できない。

 ここで、知っておきたい制度がある。

①H.16『動産及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例に関する法律』
 この制度は、事業の収益性に着目した融資を実現するために、在庫商品その他を包括的に担保化すること(p339)であり、法人の売買契約等による所有権移転を登記ファイルに登記することで、これを〔178〕所定の引渡しに代えるというものである。

②H.10債権譲渡登記制度
 上記の債権(金銭債権につき)版であり、債権の場合は、債権譲渡担保や差押え等により債権を取得したものが、その実行にあたっては設定者の債務者、すなわち第三債務者に対して、設定者にではなく自分に払ってもらうように主張(対抗)しなければならない。そのための、要件として、債権譲渡登記ファイルの記載事項証明書を、第三債務者に通知、又は承諾をを得ることである。

 譲渡担保制度は譲渡性以外に目的物に対する制限が無いので会社価値を丸ごと担保化することもできるアクロバティックな制度であり実際の使用実態についても知ってみたいところ。①制度についても、どのような会社が使いたいと欲しているのだろうか、気になる(^◇^)

 以上

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