一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

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抵当権消滅請求制度について

2016-09-18 18:16:39 | 物権法
抵当権消滅請求制度について

 これは、第三取得者が抵当権を消滅させるために、抵当権者に対して申し出た金額で、抵当権を消滅させることを請求する制度であり;抵当権者はこの承諾を飲むが、飲まない場合には抵当不動産を競売に掛けるかについての選択を迫る制度だ(第三取得者にとって有利な制度と言えようか)。

 抵当不動産の売買代金が抵当権の被担保債権を下回り、抵当権者が代価弁済をしないときや、抵当不動産に複数の抵当権者が存在するときにも、抵当権を消滅しうる点で威力を有する。つまり、民法はそこまでして物件の自由な処分を妨げる介在物を取り払うことに熱心なのである。

 この制度は、かつて滌除制度とよばれ、第三取得者が請求した場合には、抵当権者はひと月以内にそれを飲むか、それとも増価売却(第三取得者の申出金額の1割増しで競売し、競落しない場合には自ら1割増しで買受ける)しなければならず、不動産価格が低迷しているなかで、廉価でも第三取得者の申出金額を飲まざるおえない事態が生じ、執行妨害の手段として利用された(p280)。

 H15改正の新たな制度について、見ていくと。

〔379〕抵当権消滅請求ができるのは、第三取得者である。
〔380〕だが、主たる債務者・保証人およびその承継人は、もともとその債務を負っているのだから、この制度を使用して担保負担を免れようとするなど、抵当権者からみれば、「お前が言うな」問題であるので、第三取得者であっても、主張できない。
〔381〕また、その取得行為に停止条件が付されているとき、その停止条件の成否が未定である場合にも請求できない。
 
 というのも、政策上の観点から、せっかく消滅したのにまた不安定な権利状態にならないよう、確実な第三取得者に取得させるべきだからである。

 抵当権消滅請求ができる時期については、〔382〕抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後はできない。その後、抵当権者が競売の申立を取り下げても、申出金額を承諾する効果は生じない。この点、〔384〕では、当該債権者の責めに帰す諸事情<2~4>により、競売的続きが追行されなくなったときも、申出金額の承諾の効果が認められるとあるが、これは、差押えの効力が生じる前の請求であり、タイミングが異なることに注意が必要だ。

 そして、全ての債権者に送付した書面にもとづき、全ての債権者の承諾を得られ、かつ、第三取得者からその申出金額が債権の順位にしたがい、弁済され、あるいは供託されれば、抵当不動産上の抵当権はすべて消滅する。なお、全て債権者が承諾した以上、第三取得者の弁済は義務となる。

 逆に、抵当権者(債権者)が第三取得者の請求を拒否したいときは、2か月以内に債務者と抵当不動産譲渡人(誰?)にその旨通知しなければならない〔375〕。そうすると競売に行くわけだが、滌除制度のように、競売不成立の場合にも、増価買取義務はない。

 昔から、不動産業界はなにか物騒なことをしているとか、弁護士であっても法律を使って何やらお金を稼いでいるなど、黒いイメージがあったけど、実際に、民法の建前としての政策の作用には、かならず反作用が伴うから、その都度、その反作用を技術的に利用して、お金稼ぎをする人がでてくるのも、当然の成り行きだと思った。民法は、持てる人の制度だと言われるが、そういう側面も確かにあるにゃ(*'ω'*)

 以上
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