INDEX: Dっち|Dっちノート|ピュアなハートの連中なんだ|イラストギャラリー

堀田減之進 作/A学院ブラザーズ&シスターズ 絵
第三話 さてさて新学期
74−「北風政策」か「太陽政策」か
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しかし、「その内、なんとかなるだろう」では、Dっちを預かるガッコウ側の責任ある態度としては認められないわけで、ウー先生はその後、Dっちのお母さんにもこの件に関して連絡、今後の方針、対策について協議した。
と言っても、お母さんからすれば「ホントに何と言っていいやら、私の方からもきつく注意します。申し訳ありませんでした」と、ひたすら恐縮するばかりではあったが、今度何かしでかしたらガッコウに行かせない、ということを家庭内でも厳しく言いつけるという今後の方針を示した。
ウー先生は「ホントに何と言っていいやら、ですね」と電話口で明るく笑い、お母さんを責めるような態度は一切見せず、今後どうしたら良いかを共に考えましょう、と提案した。発達障害系の子どもがやらかす諸々の「問題行動」は親の躾のせいではない、ということを彼女は十分にわかっていたのだ。
「今後もこういうことがあるかもしれません。またジン君に登下校の際は付き添ってもらって、しばらく様子を見ましょう。その時その時で一番良いと思う方策を考えて、気長にやっていきましょう」とウー先生はDっちのお母さんに告げた。
ウー先生は、本気でそう思っていたわけではなかったが、「もし今度同じようなことをしたら、退学だよ」とDっちには再三告げていた。なんだかんだ言っても、ガッコウが大好きなDっちであったから、「退学」の二文字ほど怖いものはない。
結局、発達障害を持つ子の問題行動を改善していく方法は、「何か起きたときに、とことん言って聞かせる」ことと「具体的なパニッシュメントを与えて、学習させる」ということがポイントかなあ、とウー先生は考えていた。
「そういうことをしているのはみっともない」とか、「常識をわきまえた行動を取りましょう」といった抽象的なモラル観みたいなものを、彼らにとうとうと述べたところであまり効果がないように思えたのだ。「今度したら退学だからね」というわかりやすい罰をちらつかす方が効果的なのかもしれない、と彼女は思ったのだ。
しかし、彼らと接していると、なかなか本気で厳しくなれないところがあって、その甘さが、ウー先生にもあり、僕やゲン先生にもあった。それがA学院の、ある意味では問題点であったのかもしれない。
ともあれ、韓国が北朝鮮に対して行ってきたように、人間に対しても「北風政策」を取るのか「太陽政策」を取るのか、なかなか難しいところではある。相手によって、状況によって、という細かい配慮が必要だ。
*この小説は事実を基に筆者の脚色・潤色を加えたセミフィクションです。
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:「二人の少女」by 在籍生NT君
寸評:NT君は重度の引きこもり系の生徒だった。A学院の合宿講習を受け、入学したが、なんとか通学できたのは1年生のときまで。特に何があったわけではなかったが、結局再度不登校状態になってしまった。何度か家庭を訪問し、登校を促したが、かなわなかった。ゲームとアニメが好きな、ほとんど話すことのない、しかし穏やかな性格の子だった。彼が残してくれたものはこの一枚の絵。ノートの切れ端に鉛筆で描かれたものだ。非現実なアニメキャラの向こう側に、上手く人と関われない淋しさや辛さが漂う。
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発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書)
堀田減之進 作/A学院ブラザーズ&シスターズ 絵
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しかし、「その内、なんとかなるだろう」では、Dっちを預かるガッコウ側の責任ある態度としては認められないわけで、ウー先生はその後、Dっちのお母さんにもこの件に関して連絡、今後の方針、対策について協議した。
と言っても、お母さんからすれば「ホントに何と言っていいやら、私の方からもきつく注意します。申し訳ありませんでした」と、ひたすら恐縮するばかりではあったが、今度何かしでかしたらガッコウに行かせない、ということを家庭内でも厳しく言いつけるという今後の方針を示した。
ウー先生は「ホントに何と言っていいやら、ですね」と電話口で明るく笑い、お母さんを責めるような態度は一切見せず、今後どうしたら良いかを共に考えましょう、と提案した。発達障害系の子どもがやらかす諸々の「問題行動」は親の躾のせいではない、ということを彼女は十分にわかっていたのだ。
「今後もこういうことがあるかもしれません。またジン君に登下校の際は付き添ってもらって、しばらく様子を見ましょう。その時その時で一番良いと思う方策を考えて、気長にやっていきましょう」とウー先生はDっちのお母さんに告げた。
ウー先生は、本気でそう思っていたわけではなかったが、「もし今度同じようなことをしたら、退学だよ」とDっちには再三告げていた。なんだかんだ言っても、ガッコウが大好きなDっちであったから、「退学」の二文字ほど怖いものはない。
結局、発達障害を持つ子の問題行動を改善していく方法は、「何か起きたときに、とことん言って聞かせる」ことと「具体的なパニッシュメントを与えて、学習させる」ということがポイントかなあ、とウー先生は考えていた。
「そういうことをしているのはみっともない」とか、「常識をわきまえた行動を取りましょう」といった抽象的なモラル観みたいなものを、彼らにとうとうと述べたところであまり効果がないように思えたのだ。「今度したら退学だからね」というわかりやすい罰をちらつかす方が効果的なのかもしれない、と彼女は思ったのだ。
しかし、彼らと接していると、なかなか本気で厳しくなれないところがあって、その甘さが、ウー先生にもあり、僕やゲン先生にもあった。それがA学院の、ある意味では問題点であったのかもしれない。
ともあれ、韓国が北朝鮮に対して行ってきたように、人間に対しても「北風政策」を取るのか「太陽政策」を取るのか、なかなか難しいところではある。相手によって、状況によって、という細かい配慮が必要だ。
*この小説は事実を基に筆者の脚色・潤色を加えたセミフィクションです。
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:「二人の少女」by 在籍生NT君寸評:NT君は重度の引きこもり系の生徒だった。A学院の合宿講習を受け、入学したが、なんとか通学できたのは1年生のときまで。特に何があったわけではなかったが、結局再度不登校状態になってしまった。何度か家庭を訪問し、登校を促したが、かなわなかった。ゲームとアニメが好きな、ほとんど話すことのない、しかし穏やかな性格の子だった。彼が残してくれたものはこの一枚の絵。ノートの切れ端に鉛筆で描かれたものだ。非現実なアニメキャラの向こう側に、上手く人と関われない淋しさや辛さが漂う。

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発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書)














