森林街行進曲

気ままに自作ストーリーのブログ

キエロとグエフ(1)

2017-08-13 23:17:18 | 日記
ここのところ、寝て、水を飲んで、寝ての繰り返しだった。
日の射さない部屋の中には、昼も夜もない。
でも音は聞こえる。
雨の音はずっと続いていた。
どこまでもどこまでも水浸しにしてしまうような音。
それがいつの間にか終わっていた。
降り続いていた雨は止んでいた。
ながらく横になっていた体を久しぶりに起こした。
かたくなったその体をゆっくりとほぐすように屈伸運動を繰り返した。
「そろそろ行かなくちゃ」
何かスケジュールがあるわけではない。
誰かに呼び出されたというわけでもない。
ただ、行かなければならない気がしたのだった。
お気に入りのポットに水を入れ、湯を沸かした。
出発前にコーヒーを飲もう。
コーヒーは目を覚ましてくれる。
別にお茶でもかまわない。
でも今はちょうど、お茶は切らしていた。
代わりにコーヒーはあった。
だからコーヒーを飲む。
インスタントコーヒーの粉をカップにばらばらと入れた。
お湯が沸いた。カップに注ぐ。良い香りがした。
目を閉じて鼻から何度も深く息を吸い込み、
うーんとうなった。
「粉も溶けたし、ゆっくり飲もう」
お気に入りのイスに座って、
現実に起きたことなのかそれとも夢の中でのことなのか
よくわからないがとにかく過去の出来事を思い返しては、
その思い出にふけった。
  ◆
目覚めのコーヒーを飲んでいると、電話が鳴った。
「なんだ、こんな時間に」
出ると、学生時代の友達からだった。
「これからカラオケに行かないか?」

続く
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