ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

ウスバキトンボ

2017-07-29 17:21:52 | トンボ/トンボ科

 ウスバキトンボ Pantala flavescens(Fabricius, 1798)は、トンボ科(Family Libellulidae)ウスバキトンボ属(Genus Pantala)に分類され、世界で一番分布域が広く、世界中の熱帯・亜熱帯地域に分布している熱帯系のトンボである。
 本種は「渡り」をすることで知られており、7月29日に我が家で目撃したので記しておきたい。(ただし、休日で家に居たことにより目撃したもので、初見日とは異なる。)

 ウスバキトンボは、熱帯・亜熱帯地域から海を渡って南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパの一部にも飛来すると言われ、少なくとも7,100kmの距離を渡っている可能性が最近の研究で明らかになっている。これまでは、チョウ類のオオカバマダラ Danaus plexippus (L., 1758)の渡り4,000kmが最長であったが、ウスバキトンボはこれを上回る距離を移動しているようである。
 日本には、東南アジア方面(正確には不明)から季節風に乗って移動してきて、まず九州で春頃に繁殖を始める。メスは、池、プール等の止水に産卵し、羽化までの期間はおよそ一ヶ月である。普通のトンボは、卵から成虫になるまでに1~3年かかり、成長の早いアキアカネでさえ半年かかるから、ウスバキトンボは驚異的な繁殖力である。その後、繁殖を繰り返しながら、どんどん北上して行き、東京には、概ね7月頃に到達する。この時東京で見られる個体は、日本で生まれた第2世代以降であると考えられる。(ただし、昨今、関東地方でのウスバキトンボの初見日が早まっている傾向にある。季節風の影響か温暖化の影響によるものかは分からないが、4月下旬に千葉や都内での目撃情報がある。)
 ウスバキトンボの北上は、最終的に9月頃北海道まで達するが、寒さに弱いため、秋になると八重山諸島などの暖地以外では、繁殖できずに死滅してしまうという。

 ウスバキトンボは、日中のほとんどの時間を地上に降りずに飛び回っている。時に羽ばたかずにグライダーのような滑空もする。長時間、長距離を飛ぶためにエネルギーを節約していると考えられている。また、身体は非常に脆く、捕虫網で捕獲するだけで潰れてしまうほどである。これも飛翔のために身体を最大限軽量化した結果であると考えられている。
 日中は、飛んでいる姿しか写真に撮ることができないが、夜は草木に止まって休むため、朝夕は、図鑑写真の撮影チャンスである。

参考文献
Daniel Troast, et.al. "A Global Population Genetic Study of Pantala flavescens" (2016)
NPO法人 むさしの里山研究会/全国一斉ウスバキトンボ調査報告書 2015

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ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:東京都国分寺市 2017.7.29 11:13)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:東京都国分寺市 2017.7.29 11:13)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:03)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/400秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:04)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:05)

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