ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

ゲンジボタルの飛翔風景(2017)

2017-06-10 20:19:00 | ホタル

 ゲンジボタルの飛翔風景を撮影してきた。2017年は、これまで訪れたことがない場所を選んだ。近隣には、いくつか観察と撮影を行っているゲンジボタルの生息地があるが、今回訪れた場所は発生数がとても多く、また「ホタルが舞う景観の美しさ」という点では、関東随一であると思う。

 初訪は6月2日。昨年は、この頃が発生のピークだったらしいが、今年は、まだオスのみ数頭の発生で、快晴の夜空に半月が明るく照っていたため、飛翔も極僅かで川岸の藪から出てこないという状況であった。
 ここ数年、ゲンジボタルの発生時期が全国的に早い傾向にあった。発生時期は、幼虫の上陸日とその後の気温によって決まるので、それぞれ地域によって差はあり、同じ地域でも、数キロ離れるだけで時期は一週間から10日ほど違う。今回の場所はどうであろうか。幼虫の上陸日とその後の気温、更にはオスが発生し始めて5日~1週間後にメスが発生してきて個体数がピークに達することから、今年は、6月10日前後が発生のピークであると計算した。
 そこで、6月9日。2回目の訪問。どの場所に多く飛翔しどの位置から撮るのが良いかは、前回にロケハン済である。広角レンズで撮りたくなる景観なのだが、どうしても人工物や邪魔な明りが入ってしまうので、ここは愛用の Carl Zeiss Planar 50mm で撮ることにした。

 ゲンジボタルの飛翔風景を撮るのに心配なのは、まずゲンジボタルが多く発生しているかどうか。通常、最初の発生から一週間もするとピークになるが、6月2日以降にまとまった雨が降っていない。雨が降らなければ、土が乾いて硬くなり、羽化した成虫が地上に出にくくなる。次は、今の気温と風。変温動物であるから気温が低ければ活動は鈍るし、風が強ければ、飛翔しない。そして一番気になるのが、月明りである。6月9日は、2017年で最も小さな満月である。最も大きな満月の時と比べて、その明るさは70%というが、一週間前の半月でさえ、自分の影が映るほどの明るさであった。オスとメスが互いの「光」で何らかのコミュニケーションを図っているホタルには、月明かりは大敵である。(街灯、車のライト、懐中電灯は、ご法度である。)
 色々と心配をしながら待っていると、19時半、ゲンジボタルの発光が始まった。気温は24度で無風。蒸し暑い。空には薄雲がかかり、満月は、まだ昇って来ない。次第に発光するゲンジボタルの数が増え始め、飛翔も始まった。何とか、多くのゲンジボタルの成虫が羽化して出てこれたようである。

 以下に、飛び始めた19時半頃から飛翔ピークの20時半頃までに撮影した3枚の写真を掲載した。次第に飛翔する数が増えているのが分かるが、いずれの写真も、デジタルの合成写真である。かつてはフィルムで撮影していたが、見栄えの良いホタルの飛翔風景写真は、デジタル合成の方が一般的に評価される。当然1秒ほどのタイムラグがあるので、連続した時間を一枚にする本来の写真の芸術性は欠けるし、ホタルの発光飛翔の様子も途切れるため、生態学的価値もない。また、合成の枚数を多くすれば、3枚目の写真のように、品を欠く程いくらでも発光の軌跡を増やすことができる。勿論、見た様子とは全く違う。実際の光景は、写真では表現できないほど感動的であることは、言うまでもない。これら写真は、撮影者が作り上げた現実とは違う世界に他ならない。かつては、デジタル合成に批判的であった筆者も、今では、割り切って、その手法で撮影している。

 最後に、ゲンジボタルの生態に関して、これまでの定説とは違うことが色々と分かってきたので、ここに幾つか記しておきたいと思う。 これは東日本型のゲンジボタルにおいてであり、また地域特性ということもあるかと思われる。全国のゲンジボタルに当てはまることではない事を承知いただきたい。

  • カワニナではなく、ミミズだけを食して成虫になる。
  • 土繭は作らないで蛹化する。
  • 産卵は、コケだけではなく、草の根元や木の皮等にも行う。
  • 幼虫は、流れのない湿地にも生息する。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 2分相当多重 ISO 250(撮影日:2017.6.09)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 11分相当多重 ISO 320(撮影日:2017.6.09)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 30分相当多重 ISO 400(撮影日:2017.6.09)

ゲンジボタルの生息地風景

ゲンジボタルの生息地風景

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

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