ホタルのひとりごと

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里山とホタルの未来

2006-06-28 22:21:21 | ホタル
 今年も所属団体主催の「ホタル観察会」が開かれた。毎年、様々な地域において地元保存会との交流会を交え、様々な取り組みを学び、情報交換も行っているが、所属する団体は、ホタルの保護方法を実践から学び、研究し、発信することも目的としている。
 今年の観察会は、東京の西部にある小さな谷戸を訪れた。この谷戸は、30年ほど前までは水田耕作が営まれ、源頭部には池があった。現在では水田は荒れ果て、池は、カサスゲの生い茂る湿地へと変貌している典型的な放置放棄された谷戸である。植生遷移も進んでいるが、植物147科592種類、昆虫107科368種類(ホタル科7種類)が生息し、その中には東京都にしか生息していない絶滅危惧種も含まれているほど、豊かな生物層がまだ残されている。
 この場所は、かつて町内会、自治体、自然保護団体などの間で、「保全」か「公園造成」かをめぐって意見の対立があり、保全派に対しては、悪徳業者による土地の買収、不法投棄、埋め立て、その他嫌がらせや脅迫などもあり、法廷内外において激しい争いがあったと言う。ようやく20年以上という歳月を経て、保全が最優先となり、現在では保存会による保全作業が進められるようになったものの、また新たな難題を抱えている。
 ”豊かな生態系を維持するために、今の5万平米という広さで十分なのか。里山保全のために、
この目前の1本の木を切るべきなのか。どなたに聞いても確たる答えは返ってこない。米作り復活も困難である。保全作業にはマニュアルもない。すべて試行錯誤で、生息する生物の生態研究と平行しながら、地道にこの場所に合う方法を見つけるしかない・・・”
 里山の小川で自然発生するホタルを守り、増やすためには、里山全体の生態系の維持管理が
できてこそだが、放置放棄された里山を回復させ、保全するためには、乗り越えなければならない高いハードルがいくつも存在し、困難な道のりである場合が多い。以前、環境省関連の自然保護団体の事務局長と面談した際、”どんなにすばらしい里山でも、地権者の理解を得なければ何もできない。その地権者の理解を得るのが難しく、大抵は、反対派だ。”と言う。
”里山の大切さや言うことは分かるが、自分の土地をどうしようと勝手だ。ホタル?人が大勢来て迷惑だね・・・”
 
 ホタルを見たことのない人々の方が多い時代である。ホタルの生息する本来の環境となればどうだろう。「昔はここでもホタルがたくさん飛んでいたけどね・・・」よく聞く言葉だが、人々に今の状況は見えても、当時の情景やその背後の環境を知ることはできない。
 今でも素晴らしい環境があり、ホタルが乱舞している所はある。しかし、里山でもなく、豊かな生態系がない場所でホタルが飛んでいる所も、日本にはたくさんある。
小さな水槽、ビニールハウス、小学校の校庭、ホテルの庭園、運動公園の水路・・・
いつの間にか、ホタルは「里山環境の結晶」ではなくなり、ホタルを通じて自然を学ぼうとしても、ホタルが自ら舞う里山環境はなくなり、学ぶことも継承することもできなくなるかも知れない。
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キーワード
自然保護団体 ビニールハウス 絶滅危惧種
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5 コメント

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里山のあるべき姿 (MYMY)
2006-06-30 07:41:03
里山の自然(生態系)というものが人間の昔の農耕文化での生活様式に基づいて形成されたものであったこと、それが農業のあり方が根本的に変化して失われたこと、を前提にして考えると、里山のあるべき姿とは何ぞやという疑問がわきます。



農業生産の形態を昔の姿に戻す、つまり水利環境や水田管理手法が根本的に変革されていることを後戻りさせることは、無理な相談です。



その一方で、農業従事者が高齢化し、兼業化して、水田農耕に従事するべき後継者がドンドン消えていて、耕作しない水田の面積が、生産調整のための休耕田以上に面積の増大を続けています。



「里山環境の結晶」といっても、それは昔の里山のありかたに付随したものでしょう。今の田んぼにはタニシやドジョウ、フナもナマズもメダカも見られず、ジャンボタニシや外来種の浮き草などがはびこっているのが一般的な現実の姿です。



ホタルを通して自然を学び考えるのは一つの手段として有意義でしょうが、「本来あるべき環境」の認識がずれていると、どうしても地権者などを含めて広い理解は得られないと思います。農業生産を支える里山環境がどうあるべきか、いったん視野を広げて考えていただければ幸いです。
ホタルの未来は? (管理者)
2006-06-30 20:43:17
MYMYさんにコメントいただけると確信しておりました。ありがとうございます。

本題からは少し離れますが、MYMYさんは、ホタルの将来をどのようにお考えでしょうか。どのような環境でどのような状況が一番望ましいとお考えでしょうか。また、そのためには、抽象論ではなく具体的にどのようなことをすればよいのでしょう。よろしければ、事例などともにご意見として頂戴できないでしょうか。
放置田んぼを活かせば… (『カエルの分校』 やまね)
2006-07-01 10:58:56
 里山のあるべき姿と、それへのコメント拝見しました。

 田んぼによる米作りを2000年近く続けて来た私たちの先祖は、自然保護との特別の意識はなかったと思われますが、結果として、田んぼとそれを取り巻く山々で、多様な生態系を育んで来たことは事実と思います。 しかし、農家に限らず、国民全体の生活様式の変化により、これも、結果として、各地から貴重な生態系を奪いました。

 ただ、方策はあると思います。

一つは、山間部に放置された田んぼの活用です。これに眼を向け実践することで、多様な生物の保全が図れます。

 もう一つ、市街地にあっては、一人歩きしているビオトープの軌道修正です。

好みのものを持ち込む箱庭的なものからの方向転換です。

 かつて、その地に、どのような生態系があったか、また、現在かろうじて残された自然は何かを調べることから、次なるやるべきことが、はっきりして来ます。

 東京に育つホタルの方が、言われるように、現地の生態系を調べることから可能性の扉は開くと思います。

 ちなみに私たち『カエルの分校』は、数ヶ所で放置された田んぼを周囲の山ごとお借りして、『なつかしい生きものの生息空間』としていますが、どの地主さんも、気持ちよく貸して下さっています。

 勿論、地元へはご迷惑を掛けない配慮や、地元の子供たちを招いての自然体験教室などもやらせて頂いています。

 なお、これらの地は、すべて非公開としています。理由は、不特定多数の方が来ることによる地元への迷惑防止と、持ち出し、持込防止です。

 一般の方へは、分校の行事の中でご案内したりして、ご理解頂いております。

また、行政当局には、非公開を前提に、生息する生物のデーターを提示し、開発が入らないよう手を打って頂いております。



 より良い自然を後世に残すために、共に、手をつないで行けたらと思います。



 私個人のブログと

http://blog.livedoor.jp/kaeru30/

『カエルの分校』のブログです。

http://kaerunobunkou.cocolog-nifty.com/blog/

ご参考までに。

放置田んぼを活かせば・・・ (管理人)
2006-07-01 12:45:43
『カエルの分校』やまね 様、コメントありがとうございます。

ブログも拝見させていただきました。たいへんすばらしい活動をされていらっしゃると思います。こうした活動や成功例からは、学ぶことが多くございます。ありがとうございました。
Unknown (のうのう)
2006-07-02 13:32:40
初めてホタル鑑賞会に参加させて頂きました。参加して里山の重要性をあらためて認識しました。農業の意義に多面的農業つまり自然環境の保全というものがありますが、この里山と近くに迫った宅地開発など考えさせられるのもがありました。

昆虫やいろいろな植物が、なくならない様に、地域住民だけでなく、日本人のみんなが、そんな事を少しでも考えるのなら、変わってくるのではと思います。作る農業だけでなく環境の農業の重要性を今回は、ひしひしの感じた次第です。

ホタルをただただ見るのではなく、ホタルが生息する環境の事を考えることが結果的にはホタルを大切にする心が宿るということでしょうか。

しろーとなりの感想です。感謝。

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