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古き音楽と映画と過ごす現代の学生の日常

ブルースは青春時代の思い出(The “Original” Blues Brothers Band 来日公演)

2017-06-10 15:32:28 | 音楽
「この左手は洗わないでおこう」。そう思ったが、1時間後に帰宅した私は、すぐに洗面所に行き手を洗った。「俺の中では、手洗いの方が有名人と握手したことよりよっぽど価値が高いんだな」と思った(当たり前のことをしただけ)。そんな私が握手をした相手とは、スティーヴ・クローパーとルー・マリーニだ。彼らは、あの伝説のコメディ映画「ブルース・ブラザース」に出演していた2人だ。

1975年からアメリカのNBCで放送されている人気バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の同名の人気コーナーのキャストとバンドをベースに、ストーリーをつけたものがこの映画だ。1980年に公開された同作品は、ジョン・ベルーシ演じるジェイク・ブルースとダン・エイクロイド演じるエルウッド・ブルースの二人の兄弟が、幼少時代に育った孤児院を救うために立ち上がるものの、行く先々で様々な騒動を引き起こすというハイセンス・コメディだ。そして、1998年にはこの続編として「ブルース・ブラザース2000」が公開された。そして今年、両作品及び「サタデー・ナイト・ライブ」に出演したブルース・ブラザース・バンドが1年ぶりに来日した。だが、そこにはジェイクもエルウッドもいなかった。

ジェイク役のベルーシは、「ブルース・ブラザース」公開から2年後に、薬物過剰摂取で死んでいる。一方、エルウッド役のエイクロイドは、ベルーシと対照的にこの作品をきっかけにブレイクし、「ゴーストバスターズ」シリーズなど数多くの映画に出演。そのため、音楽活動どころではなくなり、バンドの元を去った(「~2000」ではバンドに復帰したが、その後は活動していない)。彼ら以外も多くのメンバーが入れ替わったが、ギターのスティーヴ・クローパーとサックスのルー・マリーニだけは最初からいるオリジナルメンバーなのだ。彼らは、テレビにも両作品にも出演しているため伝説の人、歴史の生き字引とも言える。

いよいよ本題に入ろう。6月5日(月)にブルーノート東京で行われた公演を鑑賞。2度目のブルーノートだったが、やはり落ち着く。21時。ついに始まった。一番前に座っていた私は少年のようにワクワクしながら待っていた。ステージ上にベース、ドラム、キーボード、そしてギターのスティーヴ・クローパーがセッションを始めた。1980年の公開時は、痩せていて髪がフサフサだったが、今は75歳の太って禿げたおじいちゃん。観ていて悲しくなったが、ギターの腕は相変わらず上手かった。「やるなジジイ」と感心していると、サイドギターとルー・マリーニ率いるホーンセクション(トロンボーン、トランペット、サックス)も登場。ルーも瘦せ細ったおじいちゃんになっていたが、力強くサックスを鳴らしていた。

3曲目までインストが続いたが、3曲目の後半にジェイクとエルウッドに扮したトミー ・マクドネルとロブ・パパロッツィが登場。会場は一気に盛り上がり、2人はその勢いを利用し「GOING BACK TO MIAMI」を歌った。映画には登場しなかった曲のため少し戸惑ったが、それを払拭させたのが次に歌った「SHE CAUGHT THE KATY」。1980年の作品のオープニングに流れた曲は、観客を作品の中に連れ込んでくれた。こうなると会場はさらに盛り上がる。「MINNIE THE MOOCHER」、「SWEET HOME CHICAGO」と怒涛の映画メドレーで来たのも束の間、彼らの代名詞とも言える「SOUL MAN」が来た。イントロが流れた時点で私は大声で叫んだ。この曲を知らずに、ブルース・ブラザースを語るものなど、偽物のファンだ。

「SOUL MAN」が終わるとライブではおなじみの「I CAN’T TURN YOU LOOSE」が流れた。これが流れるとライブが終わりということを指すのだが、アンコールはあると分かっていた。予想は見事に当たり、ルーがステージに上がった。そのとき彼は「FUNNKY 納豆」と書かれたTシャツを着ていた。「どこで買ったんだよ」と突っ込みたかったが、実はアンコールで行われた「FUNKY NASSAU」にかけたものだった。それはまだわかるが、その前に来ていた「N700系」という漢字と新幹線がプリントされたTシャツのほうが、謎で仕方がなかった。日本人受けを意識した演出なんだろうと、なんとも現実的なことを考えてしまったが、ルーがそれだけ日本のファンを理解して、愛しているんだなと考え直した。

アンコール最後の曲「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE」が終わり、「I CAN’T TURN YOU LOOSE」で締め、メンバーがステージから去った。一番前にいた私は、すかさず手を出してメンバー全員と握手した。スティーヴの手は板のように固く、全く年齢を感じさせなかった。一方、ルーの手の感触は覚えていない。なぜなら、彼と会話したからだ。Tシャツの感想を言いたくてたまらなかった私は、ルーと握手をしたとき「Nice T-shirt」と話しかけたら、笑顔で私の目を見て「Thank you」と言ってくれた。映画とCDでしか触れ合ったことない歴史上の人物に触れ合えた私は、ここで死んでもいいと思った。大げさかもしれないが、これは事実だ。ブルース・ブラザースは、私の好きな音楽、映画の一つではなくなり、人生の宝物へと変わった。

・メンバー
スティーヴ “ザ・コロネル” クロッパー(ギター)
ルー “ブルー・ルー” マリーニ(サックス)
ジョン “スモーキン” トロペイ(ギター)
レオン “ザ・ライオン” ペンダーヴィス(キーボード)
ジェームス・ハガティ(ベース)
リー “ファンキータイム” フィンクルスタイン(ドラムス)
ラリー “トロンボーニアス・マキシマス” ファレル(トロンボーン)
スティーヴ “キャットフィッシュ” ハワード(トランペット)
トミー “パイプス” マクドネル(ヴォーカル、ハーモニカ)
ロブ “ザ・ハニードリッパー” パパロッツィ(ヴォーカル、ハーモニカ)
ボビー “スウィート・ソウル” ハーデン(ヴォーカル)

・セットリスト
1.GREEN ONIONS
2.PETER GUNN THEME
3.SOUL FINGER
4.GOING BACK TO MIAMI
5.SHE CAUGHT THE KATY
6.MESSIN’ WITH THE KID
7.FLIP, FLOP & FLY
8.SHOTGUN BLUES
9.MINNIE THE MOOCHER
10.SWEET HOME CHICAGO
11.SOUL MAN
EC1.CHEAPER TO KEEP HER
EC2.FUNKY NASSAU
EC3.EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE

<EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE>
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