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細越麟太郎 MOVIE DIARY



5月9日(火)13-00 京橋<テアトル試写室>

M-055『しあわせな人生の選択』" Truman " (2015) Impossible Films, BD Cine, K&S Films / Canal+ / Filmax International スペイン

監督+脚本・セスク・ゲイ 主演・リカルド・ダリン、ハビエル・カマラ <108分・ビスタサイズ> 配給・ファインフィルムズ

前記の作品「怪物はささやく」が、プレスによると2016年度スペイン映画祭のゴヤ賞を9部門も受賞した、とあったが、この作品もゴヤ賞を前年に受賞とある。

何故か受賞作が連続したというのは不思議なことだが、どちらにしても作品の質はいずれも素晴らしく、この邦題は甘くて曖昧だが、原題は<トルーマン>という名前の老犬のはなし。

ブスなブルドッグの老犬なのだが、実は飼い主のリカルドが離婚した壮年男で、彼は今や末期のガンに冒されていて、すでに入院治療は拒否して、このマドリッドで死期を待っていた。

その噂を聞いた旧友のハビエルは赴任先のカナダから空路見舞いに駆けつけたが、このドラマはその友情の終焉を描いているのではなくて、引き取り手のいなくなる老犬の行方がテーマ。

「おみおくりの作法」とか「ハッピーエンドの選び方」、「さようなら」「岸辺の旅」などなど・・死に行くひとをテーマにした映画も多いが、これは人間の<死>がテーマじゃない。

はじめはその親友の死期を見舞う友情と涙のヒューマン・ドラマかと思って見ていたが、どうやらそうではなくて、同じく行き先の見えない老犬ブルドッグの引き取り手を探す・・・という話。

愛犬の飼い主にとっては、この苦汁の選択こそが、実はこの作品の奥深いところで、ただ旧友の死期を慰める・・という友情美談なら、もう新鮮味もないし聞き飽きたストーリー。

ところがこの作品は、それは不覚の現実なのだが、テーマは残される愛犬の行方、という、あああ・・こうゆう展開にはびっくりで、犬大好きな人間にとっては、嬉しいテーマだ。

末期ガン男を演じているリカルドはアルゼンチンの男優だが、つい最近の「人生スイッチ」でも顔を見せたが、あのハードボイルドなミステリー「瞳の奥の秘密」ではアカデミー外国語映画賞受賞作のベテラン。

たった4日間だけの休暇でカナダからやってきた親友のハビエルはスペインの俳優で、アルモドバルの作品などに出ているが、ここではクールで善良な友人役で、ラストでは老犬と共に去って行く。

この友情こそが、この作品の美点であってユニークな視点で、たしかに人の死で残されるのは遺族だけではない、確かに、もっとも意味深いテーマであり、財産や遺品の処分などよりも、遥かに重く美しいテーマなのだ。

 

■センター・オーバーのフライだが、意外に伸びてフェンス直撃のツーベース。 ★★★☆☆+

●7月1日より、ヒューマントラストシネマ有楽町などでロードショー 



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