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細越麟太郎 MOVIE DIARY



5月12日(金)13-00 六本木<アスミック・エース試写室>

M-057『歓びのトスカーナ』" La Pazza Gioia " ( 2016) Lotus Film / Leone Film Group / Rui Cinema Italia イタリア

監督・パオロ・ヴィルズイ 主演・ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ミカエラ・ラマッツォティ <116分・ビスタサイズ> 配給・ミッドシップ

むかしソフィア・ローレンが主演した「ふたりの女」というイタリア映画のリアルな傑作があったが、あれとは別の、これもまた時代を越えたイタリアの<ふたりの女>が主演の新作。

トスカーナ地方というのは、長靴の形をしたイタリアの根っこに近い、西海岸に位置した実にのどかでエリアで、ピサの斜塔にも近いが、あまり観光色のない、のどかな田園地帯。

イタリアという国には、いわゆる<精神病院>というのは実はないそうで、精神異常な患者は、おそらく凶暴な殺人鬼は別にして、この映画の舞台になったような医療施設で保養しているという。

つまり軽度のメンタルな疾患者というのは、ほとんどが受動的に、まさに自分の精神を本能的に保護しようとして、自己閉鎖な内向思考になった患者が多くて、それらの患者には牢は必要としない、らしい。

どうしてもわたしなどは「羊たちの沈黙」のドクター・ハンニバルのように、本能的に他人を殺害したり、「コレクター」のように誘拐隔離してしまう犯罪者の映画ばかり見て来たせいか、信じられない世界。

傑作「グランド・フィナーレ」の老人のように、自分の人生を自分なりに終息させようというひとのための擁護施設と違って、この保護区域は、一種の精神修正のための開放的な環境エリアらしいのだ。

で、この映画ではその施設にいたヴァレリオが、もともと奔放な性格で、周囲の自由な世界に憧れて脱出してしまい、新入患者のミカエラと共に珍道中するというヒューマン・コメディ。

おそらく世間も病院施設のほうでも、それほど必死になって彼女らを追跡する様子もなく、この珍道中を通じて、ふたりの女性が精神的な強さを共有するようになるプロセスを明るく描いて行く。

実はふたりにはそれぞれ家族の問題があって、姉タイプのヴァレリアには死期の近い母がいて、ミカエラには別れてしまった息子がいて、それぞれに目的のあった脱走旅行でもあった。

しかし、あの「テルマ&ルイーズ」のような悲惨な旅に向かうのではなく、この映画のふたりは、それぞれの問題を抱えつつも、この道中を通じて、より強い友情を育てて行く。

主演のヴァレリアは「ぼくを葬る」や「アスファルト」にも出ていた、あのブスで馬面な女優だが、ここではその個性を活かして、すばらしい奔放な存在感を見せていて、お見事。

試写が終って、あまりステキな映画なので、この邦題タイトルの原題を尋ねたら・・やはり「ライク・クレイジー」なのだという・・・。どうしてこのステキな原題を捨てたのだろう???

 

■レフト・オーバーのフライがフェンスを転々の間にスリーベース。 ★★★☆☆☆

●7月上旬、シネスイッチ銀座などでロードショー 



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