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細越麟太郎 MOVIE DIARY



6月24日(土)11-15 二子玉川<109シネコン・スクリーン>

M-072『ちょっと今から仕事やめてくる』(2017)東宝映画、本編製作委員会

監督・成島 出 主演・福士蒼汰、工藤阿須加 <119分・ビスタサイズ> 配給・東宝映画

最近どうも流行のような、話し言葉風の長いタイトルに興味を失って、試写はパスしていたが、それでも評価も悪いのに気になっていたので、いざ、近くのシネコンへ。

案の上、場内はガラガラで気は引けてしまったが、これはあのフランク・キャプラ監督の名作「素晴らしき哉、人生」と同じような発想のファンタジーなので、まずは静観。

というのも、ドラマの発想が、・・・まず東京での仕事と将来に失望した青年が、遅い時間の地下鉄に飛び込み自殺をしようとした時に、そばにいた男に助けられる、という発端だ。

あの名作では、若い実業家のジェームズ・スチュワートが、資金ぐりに失敗して、妻と子供はいるものの、クリスマス・イヴに雪の降る河に飛び込もうとするのだ。

ところが、同時に飛び込んだ老人を助けたことから、実は彼が救世主の老天使で、天国での成績ポイントが悪いので、この自殺男を助けて、点数を稼ごうとするのだった。

で、こちらは、田舎の両親から離れて、単身で憧れの東京の契約下請け会社のセールスマンをしているのだが、トラブルと失態で、上司からボロクソに怒鳴られて、自殺を考えたのだ。

その急場を助けてくれたのが、実は中学時代の学友だというのだが、傷心の工藤には思い出せないし、どうも馴れ馴れしく話しかける青年の福士の話術にのせられて、つき合い出すのだ。

何の仕事をしているのかワカラナイが、ともかく明るい福士はカネもないのに明るくて、話は面白いので、最悪の気分の工藤は話の聞き相手になっているうちに、自殺の事はひとまず忘れる。

あの学園サスペンスの「ソロモンの偽証」の前後篇で、素晴らしい若者達の群衆劇を昨年見せたばかりの成島監督は、「八日目の蝉」でも素晴らしい演出を見せていたので、ここは期待して見た。

ところが、一応はまた会社に出社したものの、データのミスを根拠にして、まるで今話題の<パワハラ>現場をオーバーに熱演する上司の怒鳴り演技と、周囲の社員の無関心ぶりが、平坦な状況だけで面白くない。

どうにか自殺は思い止まった工藤は、悶々としながらも、命を救ってくれた放浪の無職青年、福士の姿を霊園行きのバスの中で見つけてからは、どうもその<実態>に疑問を持ち出すのだ。

たしかに古くから面白い<天使>とのストーリーなのだが、この工藤青年が明るすぎて平板なので、天使らしい風格がないのが惜しまれた・・・が、せめて小林薫のような味のある壮年男で見たかった。

だから<パワハラ>をテーマにしている割には、シリアスな都会地獄の社会性もなく、若者のパワーもなく、結局はいま風の、ただの青春映画のレベルに見えてしまったのが、惜しまれた。

 

■ダブルスチール狙いのヒッテングに出たのだが、平凡なショートゴロ併殺。 ★★★

●全国で公開中 



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