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細越麟太郎 MOVIE DIARY



7月4日(火)13-00 渋谷<映画美学校・B-1試写室>

M-076『ロスト・イン・パリ』" Paris Pieds Nus " (2016) CNC Nouvrlles Technologies en Productions, CANAL+ Cine+ 仏

製作・監督、脚本・主演・ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン 共演・エマニュエル・リヴァ <83分・ビスタサイズ> 配給・サンリス

むかし、フランスにジャック・タチというパントマイムを演じる映像監督がいて、「ぼくの伯父さん」など、不思議な魅力の映画があったが、これは、何と・・そのタイプ。

試写状のデザインでは、ダンスする男女のカップルのポーズが魅力的で、てっきり「ラ・ラ・ランド」のようなミュージカルかと思って見てたら、これはパントマイム映画。

カナダの北部の奥地で、いきなり、すさまじい暴風雪がドアから吹き込む家に、パリの老婆から、「ヘルプ」の手紙が届き、とにかく赤の、でかいバッグパックを背負い、彼女はパリに行った。

その上に赤いカナダの国旗をつけたメガネの年増女性フィオナが、パリをウロウロと歩いて老婆のアパートを探したが不在らしく、彼女は路頭に迷ってセーヌ河畔に出てしまう。

エッフェル塔の写真を撮ろうとして足を踏み外した彼女はセーヌに転落し、どうにか岸に這い上がったが、バックパックを失い、その中のパスポートや現金もすべて失ったのだ。

カナダ大使館に災難を報告したが、当局は、のんびりとした対応で、とりあえずの食券だけを手渡し、フィオナはまさにパリの浮浪者になってしまった。

ところが、セーヌ河畔でホームレスのドミニクは、偶然に浮いて来たフィオナのバッグを発見して、さっそく船上レストランで食事をするが、そこで途方に暮れたフィオナと会った。

という導入から、どうもワンポイントも抜けたような演出と演技は、どうやらパントマイム芸人の、このふたりの運命的な出会いを見つめる「パリのめぐり逢い」的なコメディになっていく。

あまり会話はなく、それでも片言のフランス語で通じる二人のパントマイムは、さすがに面白いリアクションで笑わせてくれて、この作品のユニークな魅力に馴染ませてくれるのだ。

二人は行方不明の老婆の姿を探して、パリの街を歩くのだが、これがまたなかなかにおしゃれな、あのウィリアム・パウエルとマーナ・ロイの夫婦探偵のようで、パントマイム演技で和ませてくれる。

とはいえ「影なき男」の夫婦探偵とは違って、このカナダからの旅行オバさんと、ホームレスのおっさんのコンビは、実にトボケたいい味なので、ついついその迷子探偵につき合ってしまう。

ま、おしゃれなエンディングはネタバレになるので書かないが、この手のヘンテコで巧妙なインテレクチュアルなコメディは最近見ていないので、実に懐かしくも嬉しくなった。

 

■サードとショートの間のゴロを野手が譲り合っている間にツーベース。 ★★★☆☆+

●8月5日より、渋谷ユーロスペースほかでロードショー 



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