●2月14日(火)13−00 六本木<シネマートB1試写室>
M−022『ミッドナイト・イン・パリ』Midnight in Paris (2011) mediapro. versatil cinema 米/仏
監督/ウディ・アレン 主演/オ−ウェン・ウィルソン <98分> ★★★★☆
見事なウディの集大成ともいえる傑作だ。
つまり自身の夢の存在を、タイムスリップして見せて、憧れの偉人たちと遭遇させる、という夢。
これこそがクリエイターとしての夢であり、それが現代のパリで、深夜にのみ起こりうるという映画ならではの感覚。
もちろん、彼は過去の作品でも「カイロの紫のバラ」や「誘惑のアフロディーテ」など多くの作品で異次元共演を試みて来た。
つまり過去との想像の遭遇は、すべての人の夢であり、その表現の深度が問われて来た。
それを、この作品ではパリの真夜中の時報によって、彼だけに起こるミステリー・ツアーとして描いて見せた。
最近はヨーロッパでの撮影が多いのは、プロダクションの資金難のためだと、彼はいう。
でも彼の精神構造の中では「ラジオ・デイズ」でのニューヨークと同様に、「失われた世代」の20年代のパリがある。
そしてヘミングウェイや、スコット・フィッツジェラルド、ロートレック、コール・ポーターらとの遭遇も可能となる。
要するにタイムスリップものの一種ではあっても、彼の作品には必然性と、ウィットが充満しているのだ。
ことしのアカデミー賞では、偶然にもスコセッシ監督が「ヒューゴ」で同じ時代のパリを描いてジョルジュ・メリエスと遭遇した。
人気の高い「アーチィスト」の時代も含めると、それぞれが20年代へのノスタルジー志向。
それでもウディは「いまの、自分の生きている現代が、一番いい」と明言して見せた。それが感動になった。
ダニー・ケイの「虹を掴む男」のように、とてもいい夢を見せてくれたウディに絶賛の拍手を贈りたい。
■軽くジャストミートした文句なしの左中間ホームラン。
●5月26日より、丸の内ピカデリーなどでロードショー