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国民は「国民から集めた税金で全ての財政支出で賄われなければならない」という固定観念で小さい頃から洗脳されてきた。

2017年05月23日 | 日記
http://www.adpweb.com/eco/index.html
転載

15/12/21(873号)

日本には「油田」に相当する財産がある

先週号で述べたように、財政に関し敬虔なクリスチャンが発しそうな「財源は」という言葉が猛威を振っている。法人税減税や軽減税率導入でもバカの一つ覚えのようにこの言葉が出ている。他に財源を求めるのならこれらの税制の改正は意味のないものになる。

しかし財政支出増や減税の話になると、例えばテレビのコメンテータは必ずこの敬虔なクリスチャンの言葉を繰出す。いかにも自分は良識と常識を持ち合わせていると言わんばかりである。そうではなく「取りあえず政府が赤字国債を出して賄えば良いではないか」と言った現実派のコメントには、今のところ筆者は出くわしたことがない。テレビの出演者には、どこからか圧力が掛っているのではと勘ぐりたくなるほどである。


昨今の軽減税率導入の話でも、ほとんどのテレビのコメンテータはこの財源を問題にしている。驚くことに各野党も軽減税率導入を「財源の裏付けののない与党の選挙対策だ」と一斉に攻撃している。前回の消費税増税で日本経済が急落した現実をまるで忘れたかのようである。ちなみに筆者は、消費税増税自体に反対であり、仮に軽減税率を導入するのなら消費税率を5%や3%に戻して実施すべきと言いたい。

ところが財政支出の全てがこの「財源は」の試練に遭遇するかと言えばそうではない。先日、公務員給与アップの人事院勧告の完全実施が小さく報道されていたが、財源を問題にする声は全く出ていない。日本は一体どうなっているのか、公務員給与のアップは別世界なのである。この話はテレビ朝日の「報道ステーション」が指摘していた。「報道ステーション」もたまにはまともな事を言う。


情けないのが民主党である。前述のように軽減税率導入に対して「財源は」と幼稚な批難を行っている。しかし政権を取る前の民主党にはもっと現実的で柔軟な考えの政治家が多かった。例えば政府貨幣発行の賛同者は、自民党より民主党の方が目立っていたという印象を筆者は持っている。

筆者は、日銀の量的緩和によって既に300兆円の通貨発行益(シニョリッジ)が発生していることを指摘してきた。したがって国の借金は実質的に300兆円も減っいるのである。ところがこのことに国民の大部分は気付いていない(気付かされていない)。しかしこれは事実であり、何かのきっかけで日本国民の知るところとなることを筆者は期待している。

日本の国民は「国民から集めた税金で全ての財政支出で賄われなければならない」という敬虔なクリスチャンの固定観念で小さい頃から洗脳されてきた。しかし広く世界を見渡せばこれに当て嵌まらない国はいくらでもある。例えば産油国のように、原油売却代で財政の一部、あるいは全部を賄っている国がある。

たしかに油田という「資産(財産)」を持つ金持ちの産油国が、国民から税金を徴収することなく財政運営を行っていることを人々は当たり前と捉えている。しかし一方の日本には優れた品質の製品を産む技術と製造設備があり、また高度な品質のサービスを提供する力がある。これらは日本が持っている「資産(財産)」であり、ここが重要なポイントである。しかし日本の卑怯な経済学者やエコノミストはこれには一切触れようとはしない。実際のところ、金持ちのはずの産油国はこの日本の「財産」をものすごく羨ましく思っている。ところが日本国民は、これらが財産と気付かされていないのである。

ただ需要が不足しているので、日本のこの「財産」は十分には使われていない。ところがポンコツの古典派経済学者は、使われていないこの「財産」を既に陳腐化していて使いものにならないと真っ赤な嘘を平気でつく(彼等はこれらを破棄すべきととんでもないことを言っている)。しかし需要さえあればこの「財産」の力は発揮される。例えば中国人観光客の爆買いという需要が発生しても、日本は十分に対応している。もし通貨発行益(シニョリッジ)を使った財政政策が実施されれば、内需が増えこの「財産」がうまく使われるのである。


利用される敬虔なクリスチャンの感覚

もちろん筆者は敬虔なクリスチャンの感覚を否定しようとは全く思っていない。実際、このような感覚の人は世間から「清貧で立派」と尊敬を集め、一目置かれている。むしろ筆者達のように通貨発行益(シニョリッジ)の活用と言っている者は、「反知性的」であり怪しく思われている。

しかし敬虔なクリスチャンの感覚を持つ者は、度々野心を持つ他人に利用される。よこしまな考えの人々の「広告塔」にされているのである。現実の社会では色々な勢力が激しく権力闘争を行っている。色々な勢力とは、政治家の集団や官僚組織であったり、マスコミなどである。これらの勢力は、常に他の者の上に立とうと様々な手段を用いて闘っている。その一つが敬虔なクリスチャンの感覚を持つ人々の利用と筆者は見ている。


日本経済がおかしくなったのは、財政再建運動が起ってからと本誌は何度も指摘してきた。今日のばかの一つ覚えの「財源は」という言葉は、昔からこの財政再建派の常套句であった。筆者は、この言葉がのさばっている限り日本経済の再生は絶対に無理と考える。安倍政権が本気で「5年内の名目GDP600兆円」の実現を目指すのなら、この言葉と決別する必要がある。


日本の財政再建運動のスタートは大平正芳政権である。大平首相は一般消費税の導入を試み、これが今日の消費税の元になった。次に財政再建派のスター(要するに広告塔)となったのは土光敏夫経団連会長(石川島播磨重工業社長、東芝社長・会長を歴任)である。

土光氏は第二次臨調会長に就任しケチケチ財政を強力に推進した。ところが土光氏は「メザシの土光さん」と人々に親しまれ尊敬を集めた。特に中曽根内閣が景気の急落対策で補正予算を組んだことに対して、土光会長が涙を流して抗議したエピソードは有名である。「関口宏の知ってるつもり」という日テレ系の番組などでも、これを美談として取上げていたことを筆者は憶えている(それにしても関口宏氏は一体何を知っているつもりなのだろうか)。


たしかに民間企業は徹底した合理化で東芝のように再建が可能かもしれない。しかし日本の国が民間と同じように合理化で再建を目指すことは間違いの元である。むしろ民間が一斉に合理化に走った時、これによってはじき出された人々を拾い上げるのが国の役目である。つまり景気の後退に対して補正予算を組むことは当たり前である。

特に丹羽春喜大阪学院大学名誉教授は1975年頃から日本経済はデフレに突入したと指摘されている(筆者はもう少し早くデフレが始まったと思っている)。大平政権が成立したのは1978年であり、当時から日本は完全にデフレであった。つまりデフレ経済が始まっているのに、大平政権は財政均衡を目指し土光臨調会長は徹底した財政削減を提言したのである。このような全くマクロ経済のことを理解していない彼等に影響された政策によって、その後の日本経済は「過度の外需依存」→「円高」→「円高不況」→「過度の金融緩和」→「バブル経済」→「バブル崩壊」という転落の道を辿った。

またこの頃から公共投資は「無駄」の象徴となった。大蔵官僚は「整備新幹線」「本四架橋」「青函トンネル」を三大バカ査定と称して内輪で盛上がっていた。しかし今日に到っても大平首相と土光会長を悪く言う人はいない。むしろ「清貧で立派だった」という評価である。

さらにこの頃から財界も変質した。土光会長が大いにマスコミや国民に受けたため、ほとんどの財界人は財政再建主義者に改宗した。今でも財界は消費税増税を推進し、財政支出の削減を主張している。中でも経済同友会は救いようがないほど重症である。ところが財界人は自分達が日本を潰す発言と行動を行っていることに全く気付いていない。そしてこのような敬虔なクリスチャンの感覚が日本を沈没させる。

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