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 96年に国会議員になった時、「政治資金規正法」と書いた紙を指さして、「規制の間違いですね」と言ったら、秋葉忠利議員(現広島市長)から、「これは、あえて『正』という字をあてた規正法なんだよ」と教えてもらった記憶がある。政治資金規正法は、政党や政治団体、あるいは政治家の政治活動を「規制」するのではなく、政治資金を国民の前に広く公開して国民の不断の監視の下に置くことを目的とした法律だ。

 しかし、度重なる改正で、本来の「規正法」よりも「規制法」としての色合いが濃くなってきた。今回のように、政治資金収支報告書の記載義務違反で罪に問われ、現職国会議員の有罪が確定すると、公民権の停止となり国会議員としての地位を喪失する重い結果となる。政治資金規正法の目的が「政治資金の透明化」にあり、「政治家の違反行為の摘発」にあるのではないにもかかわらず、接ぎ木状態で拡張し増築(罰則強化)してきたことの総括をそろそろするべき時ではないか。

 アメリカでは連邦選挙委員会が、独立の行政機関として政党や政治団体、政治家の政治資金を監視している。法令違反の可能性があれば調査権限を行使し、「違反」が確認されれば行政罰としての過料を課すなどの枠組みで「政治資金の透明化」を保障している。悪質なケースの場合は、刑事訴追をして司法省が動き出す場合もあるが、あくまでも例外だ。原則は、連邦選挙管理委員会が政治資金規正の法令の定着を担っている。

 イギリスでも、2010年から議会の独立機関としての選挙管理委員会が、政治資金規正のための法令順守の役割を持ち、違反行為に対しては民事上の処罰を課すことが出来るようになると聞いている。

 やはり、政治資金規正法違反の形式犯で刑事訴追され有罪が確定すると議員資格剥奪という重い制裁を課すことが、政治家としての地位を悪用した贈収賄罪などの実質犯と同様でいいのかという問題意識からスタートした改革が必要ではないか。

 日本版「政治資金監視委員会」をつくり、政党・政治団体・政治家の政治資金収支報告書を閲覧し、初歩的な計算ミスに始まって、意味不明の記載や矛盾、あるいは資金移動の不透明性などを発見し、「説明」や「資料」を求めて、これを理由なく拒んだ者には罰則をつける。そして、誤記や勘違い等を確認した際には「修正」を義務づける。程度に応じてペナルティは行政罰の過料とするが、例外的に「刑事告発」する道も残される。このような制度設計をしておけば、自由な政治活動は保障されると共に、政治資金の透明化は進む。政治家・有権者ともにOKではないか。

 また、規正法改正で細かな拡張・増築をしてはならない。そんな議論を始めたいがどうだろうか。



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