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解散・総選挙を前にした自民党の混乱は何を物語るのか。「両院議員総会」の開催要求署名が135名に達したと言われたものの、「取り下げ」「撤回」などの話も出てきて、21日の解散前に「両院議員懇談会」を午前11時30分から行なうことになった。解散のための衆議院本会議は午後1時なので、実質は1時間程度しか時間はない。報道陣には「非公開」で行なうということも論議を呼んでいる。また、「麻生降ろし」が難しいとなれば、反麻生グループの中には、「独自マニフェスト」を作成して闘うという声も出てきている。

 表面から見れば、自民党がただ混乱し、迷走しているようにも見える。しかし、現在の自民党の党内事情が惨憺たるものだとはいえ、「政権交代阻止・自民党政権維持」を渇望する大きな力が経済界を中心にあることを見逃してはならない。これだけ、土俵際まで自民党が追いつめられてくれば、生き延びる方法はただひとつ。2001年の森総理辞任後の「自民党をぶっ壊す」として支持率9割をかき集めたいまや神話的な「小泉方式」である。今日的には、自民党が分裂選挙に突入して、その対立ぶりを劇場的に演出して、メディアの関心と国民の耳目を集中することで、選挙テーマとして自民党に不利な「政権交代」をかすませるしかない。

 もし、前回の「郵政選挙」を演出した広告代理店やメディアの仕掛け人グループがいるとすれば、「売れる主役」の不在に頭を悩ませていることだろう。カメラを前にした演技力・表現力と政治ニュースのコントロールと舞台まわしの感覚の点で言えば、「小泉純一郎」は天才だった。どんなに広告予算と大がかりなメディア戦略があっても、「商品」がなければ何も始まらない。もうひとつの問題は、「売れない主役」である麻生総理が、東京都議会議員選挙の惨敗後も、辞任も退陣表明もせずに「7月14日解散・8月2日(〜8日)投票」に決断しようとしたことに象徴的なように、客観的な状況よりも「散り際の美学」にこだわる人であることだ。

 「戦う政治家」と宣言した安倍晋三氏は2007年の参議院選挙後に「続投表明」したが、逆風に耐えきれず投げ出し辞任した。「私は自分を客観的に見ることが出来るんです」と記者に捨てゼリフを投げた福田康夫氏は、「選挙の顔」は自分ではないという自覚があった。ところが、孤立を深めている麻生総理は、「絶対に自分の手で解散する」というこだわりに凝り固まっている。「誰が何と言おうが俺様が解散する」という王様然とした堅い主観的「美学」だから、理屈では崩せない。

 前回の郵政選挙では、自民党は分裂選挙をたたかった。その直前まで「野党陣営」は楽観的にこの騒動を見ていたことを思い出す。「自民党が分裂したら、民主党のひとり勝ちだ」と喜んでいた人もいたのを覚えている。しかし、わずか数日で状況は一変した。「自民党分裂・刺客騒動」がメディアの焦点となり、野党は枠外に追いやられた。今回は4年前の苦い記憶があるから、まったく同じことは再現出来ないだろうが、自民党は自壊過程ですから「商品化」する才能のある仕掛け人を何人も抱えていることに注目し、警戒を怠らないようにしたい。



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