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裁判員制度をめぐる議論を臨時国会でしっかりやろうという私たちの姿勢はよそに、福田総理は政権を投げ出してしまい、2年続けて「自民党総裁選騒ぎ」に突入して、解散・総選挙へと向かっている。「一日も早い解散・総選挙を」と訴えてきたが、国会での議論もしっかり行なうべきではないか。しかし、国会で議論をすればするほど、与党が形勢不利になるという判断をするのであれば、総選挙で決着するしかない。その際に、裁判員制度も重要なテーマであり、各党がそのスタンスをはっきりさせて有権者の審判を仰ぐべきだと思う。先日、社民党で行った勉強会の席で、次のような「最高裁ホームページ」の記事が話題になった。

法律を知らなくても判断することはできるのですか。

裁判員は,事実があったかなかったかを判断します。裁判員の仕事に必要な『法律に関する知識』や『刑事裁判の手続』については,裁判官が丁寧にご説明します。

皆さんも日常生活の中で,何らかの根拠から事実があったかどうかを判断することがあると思います。 例えば,壁にらくがきを見つけたお母さんが,このいたずらは兄と弟のどちらがやったのかと考える場合,「こんなに高いところには弟は背が届かないな。」とか,「このらくがきの字は弟の字だな。」とか,らくがきを見てどちらがやったのかを考えると思います。

刑事裁判でも証言を聞いたり,書類を読んだりしながら,事実があったかなかったかの判断をしていくので,日常の生活で行っていることと同じことをしていると言えます。

最高裁ホームページ


壁の落書きだって、弟が踏み台に乗ることもあるだろうし、文字ではなくて絵でどちらかまるで判らない場合もある。いちいち、持ち出してくる例が卑近で、国民を小馬鹿にしたような「わざとらしさ」が目につく。最高裁が行っている裁判員裁判の模擬裁判では「死刑求刑事件」の模擬裁判を行わない理由とシンクロしてくる。厳しく陰惨な事件の裁判を、裁判員裁判で行うというのに、「死刑問題」が政治的に微妙な時期だからと言って避けるのは納得できない。皆さんからの意見を呼びかけたら、Uさんからメールをいただいた。

裁判員制度についてのUさんからの手紙

裁判員制度について、先生のブログ拝見しました。私もまったく同感です。質問主意書を出したりして、是非法務省の姿勢を追及してください。貴党の御活躍を期待しております。 もし、廃止がまにあわなかったら、全員辞退する運動をしてほしいと思います。

裁判員制度について、とても重大なことなのに、なぜマスコミは法務省の下請けのように、裁判員制度がはじまるという視点でキャンペーンの一翼を担うような報道しかしないのでしょうか。なぜ、裁判員制度自体の当否をしっかり検証しないのでしょうか。本当に実施されたら、まさに「第2の後期高齢者制度」のように混乱すると思います。

以下、条文と、法務省ならびに裁判所のHPを読んで、私が感じている、制度の疑問点(批判)です。

・そもそも「司法への国民参加」というが、なぜその名の下に、事実上参加を強制されなくてはいけないでしょうか。「裁判官以外の人間が、ひとを裁く」ことに対して、それが自分の思想信条に反する場合はどうなのでしょうか。私は自分の良心に従いたいと思います。ひとを裁くことはそんな簡単なことなのでしょうか。

私は、それはある意味、神の領域に近いような重い責任だと思っています。それは裁判の歴史を考えてみれば自明のことです。裁判官に対する俸給や身分保障、社会的地位はその裏返しだと思うのですが。極端に言ってしまえば、裁判員制度は裁判官の責任放棄であるとも感じています。

・裁判所のHPのQ&Aの内容も大変不誠実だと思います。

裁判での判断は、壁の落書きと同じ程度の軽いものですか。なぜ評議で裁判官と同等の権限である裁判員は、判決書に署名しないのか、合理的な理由を教えてください。なぜ、HPで揚げるやむをえない事情辞退事由の例に、あえて精神的不利益を例示しないのですか。

・国民は、すでに国民審査という形で司法に参加しています。 これは本来、国民の司法に対する相当の関与であるはずです。国が広報をするのであれば、国民審査を形骸化させないように、啓発して充実させるほうが、よほど大切だと思います。

・裁判員法は主体的な刑事裁判への国民参加ということをいいますが、なぜ主体的
に刑事裁判に無理やり参加させらればいけないのでしょうか。

法は、制度の見直し規定を入れているが、裁判員制度を存続させ、充実させる方向でしか、書かれていません。

・過去の裁判例の積み重ねに関する知識がない、素人が事実認定と量刑の判断に加
わることへの違和感、量刑がばらつくことの危惧があります。事実上、裁判員による裁判すなわち1審の意味がなくなり、2審で量刑のばらつきを是正することになるのではないでしょうか。

・事実認定、責任能力が問題になった場合、たとえば弁護側と検察側とで対立する
ような精神鑑定や法医学鑑定書の内容を裁判員は「市民常識」で、読み解けるのでしょうか。

・憲法違反ではないか(18条、19条)。国民を強制的に「動員」することへのある
種の違和感があります。それから、なぜ、辞退するのに理由を言わなければいけないのか。思想信条の自由は、思想を無理やり表明させられないという、沈黙の自由もあるのではないでしょうか。仮に思想信条の自由を理由に辞退できるとして、なぜ裁判所に対してその思想信条を表明しなければいけないのでしょうか。

さらに憲法でいえば、裁判にとってもっとも大切な裁判官の独立、すなわち裁判官が「独立」してその職権をおこなうことに抵触するのではないでしょうか。

・テレビで報道された模擬裁判では、あえて、傷害事件のような、明白なわかりや
すい例だけ意図的に扱っていますが、実際、死刑か無期か、死刑か無罪かという選択を迫られるような事例のときに、その判断を下すような重い選択、その精神的心理的負担をなぜ素人の市民が10000円(日当)でしなくてはならないのでしょうか。

・残虐な証拠写真や書類に目を通したり、究極の判断を迫られたことに対するPTSD
などの問題は、予算900万円で電話相談してすむような軽いものなのでしょうか。あまりにも人の心を安易に考えすぎていると思います。

以上が今自分で考えている疑問です。事実に誤りがあったら申し訳ありません。一言で言うと、ひとを裁くということ、人の自由や生命を剥奪しなければならな
いことに関する重みの認識がまったく考えられていないと思います。

「国民の司法参加」のひとことで片付く問題なのでしょうか。 国民の司法参加の一言の薄弱な根拠で本当にいいのでしょうか。そもそも国民の司法参加がなぜ重大な刑事裁判への参加なのでしょうか。私は、たとえ刑罰を科されても参加しないでいようと思っています。

法律はできてしまいましたから、実施までに廃止が間に合わなければ、通知を受けたひと全員が、無視して、参加しなければいいと思います。10万円の過料(行政罰)を払えば参加しなくてもよいということでしょうか。

此の現実を無視して、唯(ただ)徒(いたずら)に聖戦の美名に隠れて、国民的
犠牲を閑却し、曰く国際正義、曰 く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、斯くの如き雲を掴むような文字を並べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことがありました。ならば、現在の政治家は死しても其の罪を滅ぼすことは出来ない。

これは、斎藤隆夫の帝国議会での発言です。「司法への国民参加」の美名の下に、・・・ろくな見通しもないまま始まろうとしているこの制度は、国家の大計を誤り、今までに積み上げてきた司法に対する信頼を失わせてしまうのではないでしょうか。知的に不誠実であり、説明不足もはなはだしいと思います。

[Uさんのメール終了]

今後もたくさんの方から御意見をいただきたい。総選挙前の「論点」にしっかりすえていこうと思う。

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