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 まもなく年度末。4月1日からは、東京電力の値上げが実施されるという状況だ。世田谷区でもPPS導入で、電気料軽減につとめているものの、東京電力の大口契約を継続する施設も残っていて、せっかくの削減効果も残余施設の東電値上げにより帳消しになってしまうのが頭が痛い。そんな時に、世田谷区に東京電力の担当者が現れた。用件は決まっている。「値上げのお願い」だろうと思ったら、オマケがついていた。

「東京電力としては4月1日から値上げをお願いしたいので御理解をいただきたい」と述べた上で、「今回の値上げについては契約期間中の電気料金について、4月1日からの値上げか、契約期限を終了してからの値上げか、世田谷区さんはどちらがいいですか」と問いかけてきたという。すなわち、昨年の5月、6月、7月などで契約した大口電力は「契約期間中」なので、契約の残余期間について4月1日から値上げ料金を適用した方がいいのか、あるいは契約期間内は現行料金のままがいいのかどちらですか? という意志確認のようである。

考えるまでもなく、値上げ前の契約期間中の現行料金を4月1日を過ぎても存続した方が、電気料金の負担は安くなる。世田谷区が4月1日からPPSに切り換える111施設以外に東京電力との契約を残しているのは年間5億6800万円分(平成23年)だ。4月1日値上げが実施されると、年間6億4800万円に電気料金ははねあがるが、値上げの実施を東京電力との契約期間が終了する契約日とすると6億3300万円と1500万円を削減出来るという話だ。

「どちらがいいですか」と聞かれて、「4月1日でやりましょう」と答えたら「1500万円」を余分に支払わなければならなくなる。しかもこの提案は「東京電力による値上げ交渉が難航している消費者に対して提示している案で、原則は契約期間内であっても4月1日に実施する方針」だと説明したというのだから、理解しがたい。自由化市場とは名ばかりで、他に競争相手のない電力料金について、「4月1日」と「契約日」のダブルスタンダードで行なうというのは私たちの常識では考えられないことだ。

 今調べてみると世田谷区には、2月4日に「電気需給契約の一部変更についてのお願い」という文書が来ている。ここには、ずばり「4月1日」と「契約日」について書かれているが、なぜか欄外に「秘密情報 目的外使用・他の方への開示は遠慮下さい。東京電力株式会社」と書かれているので、東京電力自らが情報開示することを促したい。ところで、自治体や製造業、自営業者にとっては電気料金値上げは大きな負担になる。その料金についての考え方で、情報開示ではなく「秘密情報」と銘打つあたりが、常識が倒錯しているとしか思えない。この「お願い」の文書は、契約期間中ですが4月1日から値上げさせて下さいというお願いで、文中に契約期間が明示されている。

 16日は午後、23区区長の集まりである「特別区区長会」が開催された。私は、世田谷区に伝わってきていることを他の区長に情報提供した。十分に情報が明かされない中で、「世田谷区は1500万円を削減しました」という結果になれば、あまり愉快なものではもない。これについては、先の「秘密情報」のクレジットの件があるので、情報提供の予定を東京電力に確かめておいた。「公表することを止められるものではありません」という回答を得てのことだ。

 大口契約は、自由化市場と呼ばれている。一般家庭用の規制市場と違い国の認可も要らない。にもかかわらず、値上げを開始する期日すら「4月1日」なのか「契約日」なのかについて、今日まで全国の自治体・企業に対して、必要な情報提供がないのはいかがなものか。さっそく、今日の夕方にでも東京電力の担当者を呼んで、真意を質したい。

(追記)

 ただ今、東京電力の担当者に、自由化された市場で契約期間内に「値上げ」をお願いするとしたら「4月1日からでいいですか」と意志確認をして、返答がなければ承諾とみなすというやり方は大変に不親切であるから、ただちにホームページなどで告知をするように強く求めた。2月段階での「お願い」のお手紙を送付した事業者等の大口顧客に対して、これからひとつひとつ意志確認の連絡をしていく予定ということだが、4月1日まであと何日もない。緊急に知らせるべきことだろうと思う。

 



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