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今から2年前、2006年3月25日に北京オリンピックの出場が期待されていた日本体育大学水泳部員の宮嶋武広さん(当時20歳)が、「高地トレーニング中の中国昆明のプールで練習中に死亡した」。標高1900mの昆明では酸素が薄く、息継ぎなしの潜水で50mを何度か泳いでいるうちに異変が起きた。この事件は、朝日新聞の報道やTV朝日系列の『スーパーモーニング』で何度か放送されているから御存知の方も多いことだろう。本日、法務委員会で文部科学省高等教育局と法務大臣に真相をただす質問をした。

この事件に関心を持ったのは、2月3日に掲載された朝日新聞の記事からだった。

中国・昆明の高地トレで死亡 両親が日体大を提訴へ>2008年02月03日

 中国・昆明で06年3月、高地トレーニング中に死亡した日本体育大学水泳部2年の男子学生の両親が月内にも、大学とコーチを相手に総額約9千万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こす。現地は標高約1900メートルで酸素濃度が低く、平地よりも選手の体に負担がかかるのに、「体調管理や救助体制が不十分で、安全管理を怠った」と訴える。高地トレでの死亡事故をめぐり指導側の責任が司法の場で争われるのは初めて。

(朝日新聞)

実は先月半ばに文部科学委員会で、ほんの5分程度だったがこの問題にふれている。高地トレーニングというスポーツ訓練中の事故の真相究明と再発防止については、文部科学委員会で論じていくつもりだが、今日は法務委員会でテーマを拘束されない一般質疑だったので別の切り口から質疑を行った。

実は昨日、私の議員会館に宮嶋武広さんの御両親に来ていただいた。そこで、新聞やTVの報道だけでなく、直接に何が起こったのかを確かめて質問に立った。
「息子が亡くなったという知らせを受けてすぐに『解剖は12時間以内でないとだめ』と言われた。翌日、私どもは昆明に行って、病院の裏手に地面の上で横たわっている息子の姿と対面している時に『解剖しますか』と言われました。その時は、
『しないで下さい』と言ったんです」

そして、3月31日になって遺体が関西新空港に到着すると、葬儀社が出迎えてすぐに葬儀となり、遺体を解剖するという話は出てこなかった。さらに、いくら待っても武広さんの亡くなった状況がきちんと説明されない。ずいぶん経ってから、潜水中の事故だったことが学生の話からわかり、大学側が多くのことを隠しているのではないかとの疑いをもったとのこと。

宮嶋武広さんはなぜ亡くなったのか。それは、大学の管理・監督下の高地トレーニングで行った練習中の事故死ではないのか。1年生、2年生の健康診断の結果を見れば、武広さんが持病を抱えていたという痕跡はない。状況から見れば、事故死である蓋然性が極めて高い。しかし、解剖によって死因は解明されておらず、中国の病院のカルテは「突然死」となっている。突然死はなぜ起きたのか、今や確認する手段は何もないが、コーチが東京に電話連絡を取り「こちらから解剖を持ちかけないように」との方針を責任者から聞いたという証言をお母さんが聞いていることも昨日確認している。ただし、文部科学省は「係争中なので」と事実関係については答えられないという立場だ。

ご両親の話を聞いて不思議に思ったのは、「遺体輸送費用」「葬儀代」などの支払われ方である。 日本体育大学保護者会の積立金から1000万円が出費されたとのことだ。大学の管理監督下に起きた事故で、なぜ保護者会の積立金からの出費なのか。また、その1000万円は何に使われたのか。これは文部科学省が答弁した。

(文部科学省大臣官房審議官 高等教育担当 久保公人)

1000万円の明細について日本体育大学に問い合わせたところ、保護者会から学友会(水泳部などクラブをとりまとめている組織)に出ている。

御両親等の渡航費 177万7000円(遺体輸送費含む)
葬儀代 593万円
追悼文集 70万円
49日見舞金 100万円
法要参加学生交通費 12万6000円

計953万3000円(残金46万7000円は学友会が保護者会に返却)

ふたつめに不思議なことは、日本体育大学の学生全員が加入している学生教育研究災害障害保険(文部科学省所管 財団法人 日本国際教育支援協会)から支払われた保険金についてだ。武広さんの死因は「突然死」のために、保険金の支払いは出来ないとされた。本来であれば課外活動中のクラブ活動の事故として正規の保険金が支払われたはずである。そこで、日本体育大学が保険会社と交渉して何とか保険金でなく見舞金として300万円をご両親に振り込ませたのだという。保険金は病死で払えないから、「特別のはからい」でお見舞金として支払う、そんな変則的な扱いの保険会社の対応はありえるのか。文科省は、その事実を認めた。

大学から保険の申請をしたところ折衝の結果として300万円を支払うことになりました。なお、文部科学省としては遺族と保険会社との間の問題に立ち入ることは出来ません(文科省久保審議官)

実にスッキリしない、曖昧な話だ。大学は管理・監督の責任を免れるために、「突然死=病死」であるとして直接の責任は取らない。弔慰金は保護者会から出費させて、葬儀代以外には100万円を支払っている。ご両親は「大学が葬儀などの費用は出してくれた」と思い込んでいた。また、「突然死=病死」なので団体保険は一円も支払われないところを、交渉を重ねて保険金ならぬ見舞金で処理をした。本来なら、管理監督責任を認めて大学法人から経費や見舞金も出すのが筋だろう。鳩山大臣に答弁を求めた。

文部科学省と先生のやりとりを聞いていて、なんかスッと胸に落ちていかない。大変に有望なメダル候補であり、高地トレーニングはある程度の危険がつきまとう。全日本で2位の人でも心臓に少し欠陥があって複合して死んでしまったのかもしれない。病死なのか事故死なのか難しいが、この場合に日体大が責任をもってやっていたのだとしたら、高地トレーニングが持つ危険性について家族や選手に説明をしておくべきだった。なんか大学が逃げているような印象を持った……文部大臣をした者としては、私立学校・私立大学と学生との関係は格別なもので、会社の社員とは違う。学納金を払う。私立大学がこれを教える、人格の完成も含めて、学問やスポーツも含めて教える。私立大学・学校法人と学生は格別の関係にあるので、大学が全面的に責任を負うものと考えている。
(鳩山法務大臣 4月11日衆議院法務委員会)

詳しくは「衆議院TV」で約20分映像で見ることが出来るので見てほしい。この問題は、引き続き考えていきたい。





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