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ここに内閣不信任決議案・賛成討論(草稿)を掲載する。思いが溢れてしまい、時間が大幅に足りなくなってしまった。大きく省いた部分もあり、特に後半は時間切れとなってしまったので、議場では発言していない部分も含まれている。後に公表される「本会議議事録」とは異なることを記しておく。

「内閣不信任案」賛成討論(第一次草稿)

 私は、社民党・市民連合を代表して、ただいま野党4会派提出の「安倍内閣不信任決議案」に賛成の立場で討論を行います。

「美しい国づくり内閣」を掲げて2カ月有余、この臨時国会における安倍内閣の姿に「教育」を語る資格なしと申し上げたい。10月30日、衆議院教育基本法特別委員会で始まった議論は、文部科学省の「7年間いじめ自殺ゼロ」のデタラメ統計によって、子どもたちの直面している辛い状況を覆い隠し、教育委員会や学校が「いじめ自殺」を認めない構造を明らかにしました。

安倍総理は私の指摘に対して、文科省の統計数字の見直しを指示し、文科大臣も同様の答弁をしました。ところが、参議院で先週、福島みずほ党首が質問すると文部科学省は、「遺書を理由とした子どもの自殺」ではるかに多い統計数を持つ警察庁と、連絡をとり突き合わせをすることもなく、「子どもの危機的状況」を把握する作業を放置してきました。国民新党が指摘した「未履修」が義務教育まで拡がっている問題も、11月末に調査するという文科大臣の答弁は棚上げされて放置。いまだに調査すら行っていません。こんなに不誠実で怠慢な文科省が子どもたちにいったいどんな「態度」「規範意識」を教え込むというのでしょうか。衆参共に議論を打ち切っての教育基本法強行採決に強く抗議するものです。

 きわめつけはタウンミーティング問題です。「やらせ」「サクラ」「5000円謝金」「過剰経費」と次々と発覚する問題に、「膿は出し切る」と大見得を切って設置された官邸調査委員会は13日の集中審議の終了時に最終調査報告書を私たち野党に渡すなど、およそ姑息にして汚い審議逃れの態度でした。

しかも、この間明らかになっている内容は言語道断です。小泉内閣のスタート時に電通と結んだ9億円を超える契約書は後からつくられた「さかのぼり契約の可能性」を報告書でも指摘され、またその請求書には日付もない。「日付のない9億3927万6160円」の請求書を支出精査もせずに現金で払ってしまうような大盤振る舞い。内閣府ははたしてこの請求書をもらったのかどうか、日付がないのでわかりませんとズサンきわまりないものでした。国民の血税を注いで、「聖域なき構造改革」を訴えたタウンミーティングが、1回2千万円以上の信じがたい経費を呑み込んでいた事実が明らかになった以上、安倍総理が100万円減給したからといって湯水のように無駄になった経費は戻ってきません。過払いの費用はかつての防衛庁調達実施本部事件の時のように、業者に返還を求めるべきではありませんか。

  しかも、塩崎官房長官は平成14年以降の「落札率」は公開しないと言い張っています。驚きあきれたことに、「同一事業の契約」については落札率を公表すると予定価格が推測されてしまい、談合のおそれがある」と非公開理由を述べています。

信じがたい金銭感覚です。安倍内閣はタウンミーティング及び政府主催のイベントをこれからも広告代理店に委ねて、1回1千万円~2千万円で開催するつもりなのでしょう。抜本的に見直すとは口ばかり、公正な入札を事後的に検証するために公開が前提とされている「予定価格」「落札率」を明かさないとは、タウンミーティング無反省内閣と言わざるをえません。

 現在、タウンミーティングに「出席停止中」の閣僚の中でも、法務大臣に申し上げたい。司法制度改革タウンミーティング全7回で6回「やらせ」がありました。私たち野党から再三にわたる指摘を受けながら、「やらせはない」と否定し続けてこの結果は何でしょうか。これが2年半後に司法制度改革・裁判員制度の導入を前にした法務行政の姿なのです。

 1600万円を費やした那覇の司法制度改革タウンミーティングの座席には、検事、法務省関係者、やらせ質問者も含めて119人が大量動員されているじゃありませんか。卒業生と在校生が向いあう対面式卒業式のように「官民対話」ならまだしも、法務省関係者が「国民」からの意見を捏造して、本来は国民が座るべき席に大量にいたということは厳しく批判されなければなりません。

 安倍内閣が押し進めている「教育基本法」「防衛省昇格」「共謀罪」「憲法改正・国民投票」を連ねてみると、国家・官僚の権限を肥大化させて、国民主権を脅かし、内心の自由に制限をかけるという「戦前の日本によく似た国」ではありませんか。かつて教育勅語に政治のコントロールもきかない軍、統治権力への批判=非国民とした治安維持法と監視・警察社会、さらに自衛隊の派遣恒久法と集団的自衛権の行使を禁じた内閣法制局見解の見直しなど、安倍内閣は「戦争の出来る国づくり」にまっしぐらに進もうとしてます。

 とりわけ、麻生外務大臣は「核武装の議論は自由」と放言し続けてきました。この発言は、すでに定着している「非核三原則」を国是としている日本の姿勢を転換することを検討しようということになります。北朝鮮核実験ですでに始まっている「核の更なる拡散」に日本政府が世界に「核廃絶」を訴えるのではなく、「核武装の議論」を語るというのは、およそ間違ったメッセージを世界に投げることになります。ヒロシマ・ナガサキの原爆被害者が、半世紀以上にわたって全世界に叫び続けてきた「核廃絶」の声を外務大臣が踏みにじり、総理大臣も擁護する内閣に将来を託するわけにはいきません。

 安倍内閣の支持率は降下しています。国民が本来、安倍内閣に求めたのは、社会保障の再建でした。年金不安を執行機関である社保庁の組織いじりの問題に矮小化し、度重なる失敗を繰り返してきた厚労省年金局の権能を肥大化させました。「医療保険が支払えないために治療が受けられない」状態で病院にかかることが出来ずに倒れていく人々の悲鳴が聞こえるでしょうか。高齢者を直撃する医療費負担の増大、各種控除の廃止にともなう大増税は年金生活者を苦しめています。障害者自立支援法は、施設生活から自立して生きている障害者の暮らしを直撃し、希望を奪いました。非正規雇用・派遣や請負で働く人々の悲痛な訴えは、もう止めようもないほどに高まっています。

 ところが、安倍内閣は社会保障・雇用政策での充実・信頼回復に背を向け、国民の中からの要望のない「50年前の自民党」の悲願実現に執着しています。11人の復党組のみなさんに安倍総理は「おかえりなさい」と言って迎えたそうですが、「再チャンレンジ」が唯一実現したケースでした。古い自民党に戻った以上は、「改革」などと二度と語らないでもらいたい。

2カ月半で色あせた安倍内閣に「さようなら」と思いをこめて不信任を言い渡します。

 以上をもって私の賛成討論とします。





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