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「刑場の公開」が「半開」に終わる可能性
死刑制度
/
2010年08月12日
一昨日は、「死刑執行の刑場」を法務省が公開するにあたって、取材者たちが知っておくべきいくつかの点について記者説明の会をやった。法務省・司法記者クラブを中心に25人近い記者たちが集まり、約1時間にわたって話をした。
東京拘置所にある刑場を私は、過去に2回視察している。いずれも、衆議院法務委員会として見たものだ。1回目だけでは、どうしても全体の構造を把握しがたいこともあり、2回見たことでほぼ理解した。だから、「テレビカメラ1台、スチール1台」などと撮影機材を制限された上で、「テープの内側から撮影すること」と場所制限を加えて、さらに「10分間」と時間制限をしてしまえば、「刑場の映像」は法務省提出資料映像とほとんど変わらなくなる。
まず、執行に使用されるロープがあるのとないのとでは、印象がまるで違う。国会議員で視察した時には2回ともロープがなかった。死刑執行前に天井からつり下がるロープ。死刑囚の位置を見定めて、壁際の小部屋で3つのボタンを押すと、どれかひとつが作動して※戸板がはね上がる仕組みとなっている。(※全部が通電して作動するという説もある)戸板を開いて、ロープが下がっていく状況をつくれば゛見え方は違ってくる。
ロープのない刑場は、さしたる特徴のない絨毯敷きの部屋にも見える。開閉する戸板も上からだけでなく、下からていねいに撮影しないとその意味が伝わる映像にはならない。私は、2回の視察とも死刑囚が絶命する地下の部屋に案内してもらっている。ここから上を見上げて、戸板の頑丈な蝶番を見た時に、「死刑執行の最後の瞬間に使用される機械」を感じた。「何度、これが開閉しても壊れないだろう」というぐらいにしっかりと堅牢に出来ている。地下室には、黒い格子状の排水口もある。ふと気づくと脇にエレベーターがあり、案内してくれた拘置所職員に聞くと「遺体搬出用エレベーター」だった。
今回の「刑場の公開」が一応の「公開」の体裁を保つのか、あるいは「半開」にと止まるのかの最大のポイントは、この「地下室」の取材が可能となるかだろう。死刑執行後、死刑囚の絶命を確認する地下室は絨毯どころかコンクリート打ちっぱなしで「死」を感じさせる空間である。この部屋に入ってみると「生と死」を隔てているのが、たった一枚の戸板であることを実感する。
千葉大臣は「刑場の公開」を行なって死刑制度に対しての国民的な議論を行いたいとしている。しかし、「場所」「時間」「取材方法」をがんじがらめに制約された「半開」になりそうな気配が濃厚である。「情報開示」と言うなら、なぜすべてを見せないのか。「場所」「時間」「取材方法」を制約すれば、刑場を「法と正義の名の下に、厳粛な空気を持つ場」という側面のみを伝えることが出来る。他方で、戸板を開閉したり、ロープをつるしたり、また地下室という空間には、まきれもない「人の絶命」をめぐる舞台装置とその冷酷さが透けて見える。「絞首刑は残虐刑ではないか」という議論も起きてくる。
「公開」と言うならすべてを見せるべきだろう。「半開」にしてたままの情報であれば、世論操作の材料になりやすい。
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