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明日、発売の『週刊朝日』(首都圏では18日発売)でこの1カ月、年末年始を返上で総力取材した「八ッ場ダム最大のタブー 国交省はヒ素汚染調査を隠蔽していた」というレポートが掲載されている。たくさんの関係者、協力者の力を得てこの記事が出来上がった。そして、読んでもらえば従来の「八ッ場ダム」の論議を根底からやり直すことになるだろう。「政治とカネ」で五里霧中の国会だが、しっかりと取り組んでほしいテーマだし、前原大臣はじめ国交省も早急な対策を打ってほしい。

 八ッ場ダムの上流に品木ダムがある。このブログでも、たびたび取り上げてきた。この品木ダムに、大量のヒ素が流れこんでいることは従前から指摘されていた。ダムサイト直下から、何カ所かの計測ポイントで「環境基準値」(0・01㎎/㎏)を上回る数値がたびたび計測されていることは、昨年11月にも朝日新聞に報道された。

今回のスクープは、品木ダムに堆積している土砂と中和生成物の中にどれだけのヒ素が存在しているのかというデータを国土交通省がひた隠しにしてきたというもの。私のもとに情報を届けてくれた調査業務に携わった技術者によると、「4000~8000㎎/㎏」もの含有量が検出されたというのだ。

1㎏あたり4~8gであれば、1tあたり4~8㎏となる。品木ダムには毎年4万tの生成物と土砂が堆積していくから、単純計算するととんでもない量になる。1月13日、国土交通省は私に対して、渋々最新の調査結果を出してきた。

その数値は、もっとも高いところで「5300㎎/㎏」で、ダムサイトに近いところでは3000~5000㎎/㎏と高い。内部告発の数値と大きな開きはなかった。ダムサイトから遠いところではいくらか数値が低いので平均すると2300㎎/㎏となった。農地用の土壌環境基準は15㎎だから、重い汚染である。

しかも、この品木ダムは20年前から溢れている。深さ40mのダムは中和物と土砂堆積でほとんど埋まり、パワーシャベルで浚渫をしている。すでにA・Bとふたつの産業廃棄物処分場に「汚泥」として21万㎥の土砂が捨てられている。現在の33万㎥の容量のある土捨て場も、あと5~6年で終わりとなるが、これらの「汚泥」は何の安全策も取られずに「野積み」されている。もちろん汚染されていることは検査で証明されている。

さらに国土交通省は、品木ダムに貯まるヒ素が八ッ場ダムにやがて堆積することを予想し、50年後、100年後の予測データまではじき出して議論していたことが明らかになった。「治水・利水」をくり返すだけの旧与党勢力や、石原都知事、上田知事、森田知事らの「八ッ場ダム建設」の旗振り役は、こうした説明を受けていたのか。

24日には前原大臣が現地に向かう。「八ッ場ダム」について必要な情報を正確に住民に開示してこなかったのは、自民・公明政権の責任だが、これまでの国土交通省の「真相隠し」を徹底調査してもらいたい。


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