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裁判員制度を問い直す議員連盟、21日総会開催へ
裁判員制度を問う
/
2009年05月19日
昨日は新型インフルエンザのことを書いた。夜には中川智子さん(宝塚市長)から電話があって、現在の「発熱外来」にのみ治療をまかせる国の方針では、現場はすでに対応出来ず、早々に方針を変えるように国にも働きかけてほしいとのことだった。午後1時には、国会内で厚生労働省の担当者も呼んでヒアリングをする。冷静に、かつ機敏に対応するのは難しいと理解はするが、急激な感染者の拡大は従前の厚生労働省の予測を超える事態だろう。
また裁判員制度を問い直す議員連盟でも、先週末の「凍結・延期法案」提出が直前で止まったことについて、今後の対応を話し合わなければならないので、原口・川内両議員と連絡をとり、亀井久興世話人代表と相談をした。5月21日の裁判員制度の施行日に衆議院第2議員会館の会議室で「裁判員制度を問い直す議員連盟」の総会を開くことを決定した。「凍結・延期法案」を施行前に提出するのは、残念ながら時間切れとなりつつある。(明日、一日だけ残っているが) ただし、議員連盟として次なる提案をしていかなければならない。議員連盟は、今日で55人となった。今日は4月末、「法律新聞」に投稿した原稿を再録することにする。
[法律新聞09年5月1日号に投稿した原稿から]
裁判員法改正の実現を 凍結と罰則削除の二段構えで
裁判員制度の実施が刻々と近づいている。今頃になって何だというお叱りの声を受けるかもしれないが、4月1日より超党派の国会議員30名で「裁判員制度を問い直す議員連盟」(代表世話人亀井久興衆議院議員)が発足して、活発な活動を始めている。すでに、勉強会も郷原和郎(弁護士)、伊藤真(伊藤塾塾長・弁護士)、大久保太郎(元東京高裁判事)などの各氏を招いての勉強会を開催し、裁判員制度の問題点の見直しについて熱心な議論を続けている。
たしかに、裁判員法は5年前の衆参両院で、全会一致で成立した。しかし、ここではまだ制度の骨格が示されたのみであり、具体的な運用に向けていくつかの重要な付帯決議もつけられたのだ。社民党は、昨年の8月に「裁判員制度をとりまく現状と問題点を直視し、実施の延期も含め、裁判員法等の改正も視野にいれつつ、慎重に再検討すべき」との見解を発表し、同じ時期に、日本共産党は「裁判員制度の延期を求める」談話を発表した。本来なら、昨年9月に予定されていた臨時国会が「裁判員制度の見直しの検討」を腰を据えて議論するいい機会だったが、福田総理の辞任と自民党総裁選挙、そして解散・総選挙へという奔流がこれを不可能とした。制度実施を直前にして立ちあがった議員連盟では、「裁判員制度の凍結」をめざして、以下の問題点を議論していこうと考えている。
まず、憲法により保証されている「国民の権利」と裁判員法が規定する「裁判員としての義務」の関係を整理するべきである。私が衆議院法務委員会で問うたのは、裁判員として呼び出された国民が「私の信条から人を裁きたくないんです」と述べた場合に辞退理由として認めるのかどうなのか。また、裁判員候補面接時に「死刑も含む法定刑を選択出来るか」と問われた時に、候補者が「『憲法19条思想・良心の自由』に照らして、私はこの質問にお答えするわけにはいかないんです」と応答した時に「正当な理由なく陳述を拒んだ」として制裁を受ける場合があるのかといった質問に対して、最高裁は「個々の裁判体が判断する」の答弁するに止まった。
さらに、「裁判員の守秘義務」の範囲が不明確だとして、「裁判員等の守秘義務の範囲の明確化と国民への説明」が付帯決議で指摘された点は、いまだに判然としない。私は、裁判員として途中経過に関しては一定の罰則が必要であっても、判決を終えた元裁判員について、評議の中で自らが述べた意見及び経過の要点については、他の裁判官・裁判員の評議・評決の態度に言及しない限り、可罰対象にするべきではないと考える。「墓場まで守秘義務違反を行えば、逮捕覚悟だぞ」という威迫は、不要で過剰な重圧を国民に与えるだけである。
4月26日放送の『NHK日曜討論』では、但木敬一元検事総長が「模擬裁判でマズったのは、時間の関係で全部が多数決で進んだこと。せめて、死刑判決だけは全員一致するまで評議を尽くしてやる必要がある」と発言した。そうであれば、「死刑判決の全員一致制」を評決ルールの中にきちんと位置づけておくべきだ。
評議自体の見直しも必要だ。有罪・無罪の判断で、確信を持って「無罪」を選んだ裁判員が多数決に破れて、次に「量刑判断」に参加するというスキームは、少数意見で「無罪」と判断した裁判員の人間的良心と尊厳を踏みにじるものである。この場合、裁判員辞任は認められるできで、補充裁判員を入れたとしても評議はゼロからやり直すべきではないか。
また、部分判決制度は廃止した方がいい。ABCのABの裁判体に参加する裁判員は自らが担当する事件のみの有罪・無罪の評決を行い、最後のC裁判員だけが「総合的に量刑判断をする」という制度は全てに参加している裁判官の判断を追認するだけになる危険が大きい。そもそも、こうした複雑な大型事件は裁判員制度になじむものではない。
より、根本的には「放火・殺人」という重大事件のみを裁判員裁判の対象とすることが大きな間違いではなかったか。行政訴訟や、公選法違反事件など「市民の常識」を法廷に生かす道を探ることが必要で、刑事事件でもより軽微な事件を対象とするべきだったと考える。かつての陪審制度のように「被告人の選択権」が付与されていない点や、無罪判決の際に検察官の上訴を禁止していない点、捜査の可視化が実現していないことをあわせて考えれば、裁判員制度の実施は凍結して、見直すのが最善だと考える。ただし、政治の場で出来ることは、たとえ次善でも「よりよくする」ことである。残された時間、国会議員の責務として裁判員法改正案の提出を実現していきたい。
(保坂展人)
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