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死刑廃止と執行のはざまに揺れる「千葉法相」の言葉
死刑制度
/
2010年08月08日
「千葉法務大臣の死刑執行」をテーマとした集会に出かける。今回の千葉大臣の死刑執行について意見を述べることになるが、大変に重い気持ちだ。何度かこの『どこどこ日記』でも触れてきた話題だが、今日は法務大臣記者会見の要旨を法務省のホームページから引っ張りながら、「死刑廃止の信念は変わらず、死刑執行をしながら、死刑の存廃を考える」という千葉大臣の心情に迫りたいと思う。
〔
7月30日 千葉法務大臣記者会見要旨
〕
Q:執行を決定するにあたり,御決断の一番大きな要因となったものが何かありますでしょうか。国民の声などは考慮に入れられたのかということもお願いします。
A:これは今申し上げましたことと変わるものではありませんが,法務大臣として職責をどう果たしていくべきなのかということを考え,そして様々な検討,あるいは精査をさせていただいて,結果に至ったということです。
Q:今回は執行の発表と同時に,先ほどの質問に出たように勉強会の立ち上げと,刑場の公開の御指示の話もありましたけれども,同じ民主党の村越祐民衆議院議員が冷房と暖房を一緒につけるようなものだというふうな批判をしたり,今までの大臣の死刑に対してとられてきた姿勢からすると,やや分かりにくいのではないかという印象を与えているところも事実としてあるのではないかと思うのですが,そもそも大臣としては,現時点で死刑制度についてはどうあるべきだと考えていらっしゃいますか。
A:これはいろいろな御意見があることは私もきちっと受け止めさせていただきたいと思っています。死刑制度につきましては,是非これから多くの皆様に御議論をしていただいて,私自身はもともと廃止をするというのも大きな日本国としての方向性の一つだろうというふうには考えてまいりました。それは,決して変わっているものではありません。
Q:勉強会と刑場の公開は,かなり唐突な話だと,かなりそういう意見が出ているのですが,大臣は就任の会見以来,死刑に対して慎重な姿勢をとっていたと思うのですけれども,こういう勉強会とか刑場の公開について,なぜこのタイミングで発言されたのかということが私も理解できないのですが,その辺を詳しく説明していただけませんか。
A:これも,この間,死刑について,本当にどうあるべきか,あるいはどのようにいろいろな皆様に御議論いただけるものだろうかと,私も考え続けてまいりました。そして,その結果として,何とかまずは刑場の公開をして一つの議論の契機にしていただけるものではないかと,こういうふうにも考えたところです。これは決して特別なタイミングを見たとか,そういうことではありません。ずっといろいろ考え続けてきたことの結果ということです。
Q:勉強会について,死刑廃止を推進する議員連盟など特に死刑を反対する方々からは,勉強会で議論するのは死刑の執行を停止にして行うべきではないかという意見を言っていますが,そういった意見について,どのようにお考えですか。
A:これはその議論の経過の中で,いろいろ御意見を出していただけることを願っていますが,法務大臣として職務,職責があるということも,この間私もずっと念頭に置かせていただいてきたことです。そのような御意見があるということも私も承知をしていますし,それも一つの大変重要な御提起ではあると思っています。ただ,法的には制度が存続され,そして執行という責任を私も負っているということですので,そういう御意見があるということを今後も十分念頭に置かせていただきたいと思います。
Q:今回の執行についての大臣の御決断にいろいろな見方があると思うのですけれども,大臣になられて,法務官僚に説得されて押し切られたのではないかという見方もありますし,実際そういうふうなニュアンスの報道もあったかと思うのですけれども,死刑の執行というものについて,大臣になられてからお考えを変えられたということ,あるいは率直に言って法務省の官僚に説得されて考え方を変えられたということはあったのでしょうか。
A:それは,私は全く当たっていないと思います。法務大臣を拝命をさせていただくということは当然のことながら,そのような職責を負うことなのだということは,私は当初から,きちっと念頭にありました。
Q:刑場の公開をとりあえず一番最初におっしゃいましたけれども,そのほかにも死刑制度にまつわる情報公開の論点など,いろいろあると思うのですが,死刑確定者の処遇の在り方であるとか具体的な執行方法,絞首刑ですることは分かっているのですけれども,そういったほかの点に関する情報公開についてはどういうふうにお考えですか。
A:そういうこともどういう形でお伝えをすることができるのか,あるいは,私もできるだけ死刑確定者の尊厳を損ねることなく,しかも多くの皆様の真剣な御議論を考え合わせていかなければいけないと思います。そういうことも併せて,この勉強会,それからいろいろな皆様からの御提起,こういうものを是非積極的に,そしてまた精力的に進めていくことが大切だというふうに思っています。
Q:勉強会について一つ確認させていただきたいのですけれども,死刑執行のときの大臣の臨時記者会見では,出来るだけ公開された形でという話があって,今日の会見では経過や結果は出来るだけ公開することが原則で,外部の方から話を聞くときには公開するという形でしたけれども,内部の勉強会そのものを公開する,要は全て議論の場は公開するというお考えはございますか。
A:そこはどういう形で公開というか,それを皆さんにどのようにお伝えをするかということは,できるだけきちんとお伝えできるような形にしたいというふうには思っています。ただ,まずは内部でいろいろな議論というところですので,直接それをオープンな場でということではありませんけれども,そこは,こういう議論をしているということはできるだけお伝えすることを私は考えています。
Q:死刑廃止について,それも大きな方向性の一つだろうと,ただその考えは変わっているものではないという御発言がありましたけれども,死刑を執行したとはいえ,死刑廃止というのはまだ信念としてお持ちだと考えてよろしいのでしょうか。
A:これまでもそうですが,死刑廃止というのは信念というか,そういう社会に歩みが進んでいくことも,日本の社会として一つの大きな行く道ではないかというふうに私はずっと考えていました。そういうことは変わるものではないということです。
Q:国民の大半が死刑制度については是とする意見も多いのですが,それに反してでも死刑制度はやはり廃止しなければいけないというお考えなのでしょうか。
A:私は,いろいろな世論の調査結果というものもあり,あるいはそこになかなか出てこない御意見もあり,これまで本当に十分に向き合ってくることがなかなか出来なかったのではないかというふうに思います。そういう意味では,これからどういう議論が進んでいくか,あるいはそれぞれがこの問題をどう考えていただけるか,そういうものに私は,日本の社会が,そして,日本の政府がどういう方向を見出していくのかと,こういうことになるのではないかと思います。
Q:勉強会については内部で当初は検討するという形になるのですが,死刑の存廃の議論について,法務省内では従前からやってきたということはないのでしょうか。勉強会を突然始めるというのはちょっと腑に落ちないのですけれども,大臣が就任されて以後,死刑の是非については省内でもだれかに意見を聞くとかそういうことは全くなかったのでしょうか。なぜ今ごろ勉強会を始めるのかという,その辺の理解が国民もあまり分からないのではないかなと思うのですけれども。
A:これまでもいろいろな形で,いろいろな場面で論じられてきたというふうには思います。私も御意見をお聞かせいただくような機会が決してないわけではありません。そういう意味では改めてきちっとした論議をやはりしていく必要があるだろうと,私はそう判断させていただいたからです。
Q:裁判員裁判ではこれまで一度も死刑の判断というものを市民がしたケースというのはないのですけれども,今後は凶悪事件で被害者が複数のケースではそういう判断がありえると言われている中で,市民が死刑の判断をする,国の制度として死刑があるのにもかかわらずその責任者である大臣が死刑執行の決断しないということがおかしいという議論もかなりあることを念頭におかれていたのでしょうか。裁判員裁判との関係で考えられたことというのはあるのでしょうか。
A:全くないとは申し上げません。やはり,昨年,市民が裁判員裁判に参加をするということになり,そこで,判断を下さなければいけない,そういう場面も当然ありうるわけでございまして,そういうことについて,やはりできるだけ刑罰の内容というか,そういうことをやはり知っていただく必要があると思います。全く情報が閉ざされたままに判断を下さなければいけないというのは困難なことですから,私もやはり裁判員裁判において,国民の皆様に対してその判断を求める以上は,情報やあるいはそれに対する判断の材料というのでしょうか,そういうものはお示しをしていく,そういうことも必要なことだろうというふうに考えています。
Q:こうした議論を起こす上で,その前提として,法務大臣の職責を果たすという意味での執行をしなければ説得力がないというふうにお考えなのでしょうか。また,勉強会について,今後,大臣が替わられたりすると思うのですけれども,その議論がどのように引き継がれていくのかということについて,現段階ではどのようにお考えでしょうか。
A:最初の御指摘は,私は直接,前提となるとかそういう問題ではないというふうに考えています。議論をするということも私は大変大きな課題であるというふうにずっと考えていましたし,そしてまた,今,制度が存在し,そしてまた大臣としての職責を私も負っているということについても,どのように果たしていくかということについて考えてまいりました。どちらも,私にとってはずっと念頭にあった問題です。それから,勉強会については,これは私の指示の下にスタートをさせていただくということになりますが,私はこれだけの重要な問題について,議論が消えていくとか,途絶えてしまうということがあってはならないし,そういうことにはならないものだというふうに思います。
Q:大臣は今回死刑の執行に立ち会われましたが,なかなか死刑執行においては,高等検察庁の検事であるとか拘置所の職員以外の方で立ち会うケースはほとんどこれまでもなかったと思うのですけれども,今このタイミングで話されるかどうかは別として,今後,死刑を巡る今回の勉強会,あるいは勉強会から派生する議論の中で,御自身が立ち会って御覧になって感じられたこと,あるいは見聞きされたことというのを何らかの形でお話になられたりとか,周囲に伝えていくということはお考えの中にあるのでしょうか。
A:必要とされれば,それから,適切な形があるのであれば,そこはまた考えていかなければいけないというふうに思います。
Q:死刑の執行のときに様々な要件や状況を考慮して決めたとおっしゃったのですが,そういうこととは直接関係はないのですけれども,野党から,大臣が落選後の執行であったことから,非常に批判が相次いでいます。今日から臨時国会が始まるのですけれども,今回の執行したという事実が菅政権の政権運営にとってはプラスになるというふうにお考えか,マイナスになるというふうにお考えか,その辺りはどういうふうに感じていますか。
A:私は,それをコメントする立場ではありません。あくまでも法務大臣としての職責に基づいて様々な問題を慎重に考えてここに至ったと,それだけです。
〔引用終了〕
ずいぶん長い引用となってしまったが、千葉大臣は「死刑廃止の信念は不変」としながらも「執行は大臣としての責務」と切り分けて記者からの質問に対して答弁を重ねている。法務省内で早速、勉強会が持たれたと報道されているが、刑事局、矯正局、保護局の関係部局の局長を中心としたもので「死刑の存廃も含めて議論」する可能性などほとんどないと私は感じる。千葉大臣が9月に内閣を去れば、鳩山邦夫氏のように腕まくりでガンガン執行を重ねる大臣が出てくれば泡と消える。
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