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 耐震偽装問題で早い段階で名前が出てきた伊藤公介元国土庁長官が政治倫理審査会に審査を申し出た。この機関は、与党議員が疑惑から逃れるための駆け込み寺と言われている。そもそも、政治倫理審査会は野党に追及された与党議員が「自ら疑惑を晴らすための場」であるからだ。

 まず、場所は議長サロンである。議長サロンというのは、海外の賓客を接遇する際にも使われる部屋で、ふだんは議院運営委員会が開催される。国会の中でももっとも豪勢で権威ある部屋だが、予算委員会が行われる第1委員室と比べると4分の1ほどしかない。(印象なので、正確ではないかもしれない。とにかく狭いのだ) そして、公開される予算委員会と違って、非公開が原則なのだ。参考人招致や証人喚問が国会(衆議院)の決定として当事者を呼び出すのに対して、今回の伊藤公介氏のケースは「本人の申し出」であり、むしろ審査会メンバーが呼び出されたわけだ。

 「あんなものは役に立たんよ。俺がつくったんだから、間違いない」とかつて小沢一郎氏から聞いたことがある。予算審議の時期に疑惑が噴出して、たびたび予算委員会で証人喚問が繰り返された与野党激突時代に、自民党が智恵をしぼってつくった審査会だ。物事がクールダウンするように、うまく出来た制度だと思う。

 額賀福志郎防衛庁長官がKSD事件で政治倫理審査会に駆け込んだ時には、非公開だった。私たちは、必死にメモをとったが、正式な記録はついに公開されなかった。
テレビや記者を入れて公開する場合にも、「議長サロンが狭いから」という理由で入室できるカメラや記者の数も制限される。ここには傍聴席もない。したがって一般の国民は傍聴できない。議員も、20~30人しか入れない。

 さらに、質問者である議員と証言者の距離も予算委員会とは違う。第1委員室では数メートルの距離で相手のまばたきや息づかいも伝わってくるが、議長サロンで証言者は奥の長椅子に座る。質問者との距離は、6~7メートルになるだろうか。ゆとりを持って証言できるというわけだ。

 一度、政治倫理審査会で話してしまうと、そこから矛盾点をついて予算委員会へ持ち込むというのは、かなり難しい。民主党国対(国会対策委員会)が、社民党・共産党に相談なくOKしたもので、小泉政権には思わぬ助け船ではないか。なぜこの時期に「駆け込み寺」をOKしたのか理解に苦しむ。

議員数が減少した社民・共産は、政治倫理審査会にメンバーを派遣していない。民主党の責任で徹底追及してもらう以外にはないが、野党共闘でしっかりスクラムを組むことを選ぶのか、「改革競争」「対案路線」でいくのかが問われている。



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