TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




出ては消える日替わり法案提出・先送りが常になっている安倍内閣で、確実に提出されようとしているのが「犯罪収益移転防止法」と政府が名付けた「密告義務法」である。金融庁から警察庁に組織替えするので、3月の年度末までに成立をしないと支障をきたす日切れ法案として扱う予定で、誰もが気づかぬうちに「さっと通してしまおう」という段取りだった。法案の是非以前に、「予算がかかるから」という名目で「日切れ扱い」が許されるなら、理念法以外のほとんどの法案は3月末までに成立させることになってしまう。例えば、去年反対した入管法で「顔・指紋」をアメリカで使用している「US-VISIT」を転用しようという改正案も、巨額の予算が絡むが「日切れ扱い」ではない。

昨日の東京新聞特報面が、わかりやすくこの法案の問題点を伝えている。事例が特にリアルだ。密告義務法が成立すると、次のようなことも想定されるというのだ。

【ケース1】 長女の結婚式を控えたAさんは「おたくの土地を買いたい」と言う男に高値で売却したが、不安なので弁護士を立ち会わせた。後日、結婚資金に使おうと、売却で得た金を銀行から下ろそうとしたが、口座は凍結されていた。売却相手がヤミ金融業者だったため、弁護士が「Aさんは何も悪くないんだが」と思いつつも、当局に通報したからだ。

 結婚式はキャンセルするはめとなり、Aさんは弁護士に「ひどいじゃないか。訴えてやる」と抗議したが、弁護士は「私には通報義務があるので仕方ないんです」と弁解した。

 【ケース2】 借地にビルを建てたBさんが死亡した。遺産分割協議がまとまるまでの間、Bさんの銀行口座を管理していた弁護士は、違法営業のようにもみえるテナントからの賃料収入に気付いた。適法かもしれないとは思ったが、通報義務に従い当局に通報した。通報したことを当事者に教えることは禁じられているため、Bさんの遺族たちは何も知らない。

詳しくは、東京新聞特報面(1月26日付)を見てほしい。ようやく世の中に知られるようになって、野党間でも共闘の動きが出てきた。「日切れ扱い」は認めないということが、予算審議冒頭のひとつの焦点になりそうだ。自民党の部会でも、慎重意見か出されて承認されなかったようだ。与党内良識派の動きにも注目しておきたい。

今日は、ワシントンで全米最大級のデモが行われる。テーマはもちろん、「イラク増派反対」だ。世界は動き出している。日本だけが逆さに動いてしまってはならない。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「美しい」と... 「女性は産む... »