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 日本社会を覆っている困難な課題はいくつもあるが、根が深く今後に大きな影響を与えるテーマは「教育」「子育て」環境の問題だろう。政治が教育を弄んで教育現場を攪乱し、より悪化させてきた実例は、1999年から始まった石原慎太郎東京都知事の10年間と、2006年からの安倍内閣の1年間に尽きるだろう。

 自分の意見を表明すること。これは、日本の学校教育を受ける中で、「ひとりだけ目立つ危険行為」「損になるばかりでいいことは何ひとつない」と認識する若者が育っていく。与えられた秩序に「正しく協調し、周囲と同調する人格」を時代遅れの学校教育は量産してきた。

 未知の出来事や知識に対して謙虚であり、また興味・関心を持つこと。「好奇心」や「探究心」と言ってもいい態度が日本の学校教育で育つだろうか。「自分には関係ない」「それで何か得になるの」「試験に出ないことは知る必要がない」
という訳知りの「老成」は未熟で統治権力にとって都合のいい人間をつくりだす。

 学校教育の現在のカリキュラムは、「読み書きソロバン」の基礎学力を保障する最低限のものにするべきである。大人になってから私は、ジャーナリズムの仕事から政治の場に行ったが「45分」「50分」おきに時間割通りに違うことをするスタイルは、あまり難しくない事務処理は可能かもしれないが、集中力を高めて認識を深め、また発想を飛躍させていくという「思考回路」の邪魔になる。

 私が子どもだった頃、今日はどこで遊ぶか、どんな本を読むかは自分で決めていた。もちろん友達の誘いに乗ることもあれば、断ることも含めて。しかし、80年代半ばの日本からは「小学生の子たちが群れをなして遊ぶ光景」が消えた。「塾」「お稽古事」「スポーツ」の予定がびっしり入り、子どもたちの遊びは「隙間」の時間に、テレビゲームをしたり、マンガを読むという「カケラ」に分解された。

 お子様たちの多くは「多忙」になり、こうしたスケジュールが入らない子は「疎外感」を覚えるようにさえなった。「自分のことは自分で決めなさい」と言われながら、毎日何をするのかを自分で決められないという矛盾。「子ども」というのは「大人への準備期間」であって、「幸せな大人」になるために「子どもらしい生活を捨てて努力する」ことが奨励された。

 集団遊びの環境が破壊されたことで、子どもたちから「コミュニケーション力」が奪われた。子どもたちは、大きな声ではしゃいでいたものだが、日常生活で「大きな声」を出す場面がなくなった。遊びは、子どもたちの心のストレスを癒し、また折れそうな気持ちを修復する大切なひとときだった。 

OECDのPISA調査は、「学力」は「人生を切り開き社会参加をするリテラシー」と位置づけている。私は、義務教育の途中までしか「学校教育」を受けなかった。その事情は別の機会に書くが、「たったひとりで考え、悩み、そして解答を出すまで粘る」という体験を10代半ばから蓄積してきた。こうした道をたどったことを絶対化する「偏狭な経験主義」のオジサンにならないように気をつけたいが、日本の学校が旧態依然としたことばかりやっていることで「子どもたちを老成させる」弊害を生むように思えてならない。

これから何回かに分けて、教育を徹底的に考えてみたい。こうした子どもの状況に石原都知事や安倍総理のアプローチが「復古主義的規律重視」「軍隊型ヒエラルヒー」「上意下達型従属人格養成」などおよそ時代の流れに背を向けたものだったのかも、具体的に検証していきたい。



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