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京都の若手劇団「笑いの内閣」が先月上演した『非実在少女のるてちゃん』と題する芝居が、石原東京都知事が物議をかもした「東京都青少年健全育成条例」をパロっていることを理由に、「反社会的である」として東京公演を申し込んだ劇場から使用を拒否されたと聞いて、驚いた。なぜなら、私はこの劇団の主宰者と先週会って、東京公演についての抱負を聞いていたからだ。ツイッターでこの件について触れると、反響が大きく拡がった。一連の経過をまとめて記すことにしたい。

高間響という若手演劇人がいる。参議院選挙の最中に彼は東京に現れて、9月に「東京都青少年健全育成条例」をテーマにした芝居をやるので、上演後のアフタートークに京都に来てほしいとの申し出だった。「どういう劇団かな」と一瞬思ったが、選挙が終わっていれば勝敗を問わず、いくらか時間もあるだろうとOKをした。その公演は、築100年の「京都大学吉田寮」で行なわれた。土日2回づつの公演だったが、話題性もあってのことか、いずれも満杯になり高間は東京公演を志す。

先週、東京に現れた高間は、あちこちの小劇場をまわって下見をして、何とか東京公演にこぎつけたいので、その時には応援してほしいとの要請をしてきた。私の方も、実際に京都で見た彼らの演劇を見て、「児童ポルノ改正案」や「東京都青少年健全育成条例」の難しいテーマをコミカルに構成していることから、意欲作と認めて公演が決まったら紹介しようと思ってきた。彼は、いくつかの劇場を下見して京都に帰ったようだが、次のような記事で劇場使用を断られたということが判った。

〔引用開始〕

2010/10/11(月) 内閣、言論弾圧にあう

 今日、劇場を発表する予定だったのですが、出来なくなりました。理由は、申請した劇場から断られたからです。民間の劇場に断られるなんて、前代未聞です。

 理由として そもそも4日以上の使用が前提である(応対した人はいいんじゃないかなと言った、しかし結果的に上層部が×とした)というだけの理由なら納得できる。応対した人が先走ったなとは思うが、権限がないのだから。使用規定にあることなら納得出来る。

 しかしだ。その他に理由に並べたのが 楽屋が定員10人くらい。20人はきついのでは(が、使用規定に定員など書いてない)

 地方の劇団なので打ち合わせ出来るかどうか(ファックス、電話でよいと言われている) 2ヶ月前というのが急すぎる(なら最初から対応するな、繰り替えすが使用規定には、直前は受け付けないとは書いていない、そもそも民間の小屋は賃料が命綱なんだから埋めるのが必死、直前だから使わせないなんてあり得ない)

 そして見過ごせないのが「内容が反社会的なのでは」といいおったのだ。 言うまでもないが、笑の内閣は政治結社ではないし、のるてちゃんは思想的に偏った芝居ではない。むこうがどう言おうが、青少年健全育成条例に反対することは反社会的と言われたと解釈せざるを得ない。 

 もちろん民間である以上、使用規定もクソも、管理者の恣意的な判断で契約成立段階までは断る自由はあるだろう。が、こちらも使用規定にない理由で断られる。ましてや、我々の芝居が反社会的と言われた屈辱は絶対に許さない 文章による回答を求めているが、その回答次第では劇場名をさらし、言論弾圧されたと主張させていただく。もちろん裁判を起こしても勝てないし、別な劇場を探し上演することは間違いないが、このような言論弾圧をする劇場を放置することもしない。言論弾圧とは断固戦うぞ

 
〔引用終了〕

事の真相はまだ定かでない。

 ただし、「東京都青少年健全育成条例」をテーマに風刺するパロディ演劇を「反社会的だ」と断じる感覚が存在することこそ、この問題の本質だと思う。行政当局が「命令」「指示」をするまでもなく、お上に異議申し立てすることは、まかりならないという感覚があるとすれば、大変なことだ。

 12月11日・12日の公演をめざして、準備をやり直しているようだが、今後の展開について注目していきたい。


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