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この春まで使われていた分娩台の前で(9月11日・島根県津和野共存病院にて亀井久興・亀井亜紀子・近藤昭一議員と)

安倍総理の突然の辞意表明があって、報告を用意していた医療視察報告と緊急報告を差し替えた。今のニュースによると、安倍総理は慶応病院で検査を受けた後で、そのまま入院したという。その後のことは、また別稿に委ねるとして今日は9月11日の医療視察報告を行う。11日は早朝7時25分の飛行機で、萩・石見空港に向かった。社民・民主・国民の3党で結成した「格差是正をめざす議員有志の会」の医療現場の視察に赴いたのだ。

まずは、山口県にも近い吉賀町六日市病院に赴いた。ここは民間病院だが地域医療の拠点となっている。ここ数年顕著になってきたのが医師不足だ。谷浦博之院長
の話を聞いた。「この病院も残っている医師のぎりぎりの力で支えられています。この4月まで院長である自分はフリーだったけれど、今は当直に入っている」と深刻な表情。「これ迄、中山間地の拠点病院には大学の医局が医師を派遣してきたんです。六日市病院でも6年前の2001年には18人いた医師が今、7人にまで激減しています」 たしかに手渡された資料を見ると整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科の医師はゼロになり、8人いた内科医は1人に、4人いた外科医は2人となった。
 大学病院の医局によってこれまで派遣されていた医師が来なくなったのはなぜか。「研修医制度改革の結果、研修医は医局の指導、意向に従う必要はなく、自由意思で研修先の病院を選べるようになったんです。その結果、島根県内の病院に医師を送ってきた島根大学医学部の卒業生すら医局に以前の半数も残らなくなりました。みんな、患者数もオペ数も多い東京の病院に集中してしまいます。また大学病院が独立行政法人化されたために自ら経営努力が必要になり、技能のある医師を大学病院が確保しなければならない事情も生まれています」その結果、地方に派遣されてきた医師の医局による「引き揚げ」がこの数年みるみる増えてきたという。谷浦院長は「うちが救急医療を辞めたら、日本海から瀬戸内海まで救急病院はなくなってしまうんです」と語気を強めた。
 六日町病院のある吉賀町中谷勝町長は語った。「つい先日、若い夫婦が交通事故に遭いました。病院に産科がないために1時間余りかけて益田の病院までいく時の事故で、相手の方は亡くなり赤ちゃんは流産してしまいました。」

次に山陰の小京都と呼ばれる津和野市に向った。市内の昼食会場には、島根県東部にある公立雲南総合病院の危機的な事態を重くみて運動を始めている雲南地域の医療を考える会きメンバーが車でやってきてくれた。島根県の東部から津和野までは車で3時間以上かかるのだという。雲南病院は337床もある総合病院だが、10人いた内科医が4人になっている。一時は、ゼロになってしまいあわてた時期もあったという。大学の医局からの引き揚げの影響が強く、新たな派遣がないので構造的に医者が減っていく。また、看護士不足も深刻で、どうしても大都市に流出してしまう傾向が強くて歯止めがかからない。隠岐ではついに出産が出来なくなってしまった。予定日の近くになると、海をわたって出産が出来る病院の近くのホテルをとって待機することになる。2人目、3人目の場合は、子どもを家において島を出なければ出産が出来ない状況だ……との話を聞いた。

次にふたつの「共存病院」に向った。大正時代に農民が診療を受けることの出来る病院をつくろうとの志から始まった篤志家の動きは、厚生農業協同組合(厚生連)を誕生させて、昭和6年に「組合立の広域総合病院」として産声をあげたのが日原共存病院、そして昭和7年に開設された津和野共存病院である。日原共存病院は外来と介護型療養病床・医療型療養病床を併せ持つ形態から、老健施設に形態を変えて診療科目は縮小している。津和野病院の方に診療機能と病床は集中させて、いわば相互補完的な役割分担をしながらの生き残りを考えてきた。

まずは日原共存病院の山形慎吾院長の話を聞いた。「今は医師2名でやっています。診療報酬の値下げと医師の減少の悪循環で、経営状態が悪くなっています。津和野の共存病院で4月まで分娩をしていましたが、これも現在は出来なくなっています。高齢者の受診が多いので、整形外科医がいないことが痛い。何とか1名は確保していきたいのですが、なかなか難しい。人手不足は医師だけではなくて、介護や老健施設の職員などすべてのジャンルの人たちの手が足りなくなっている」

本来は診療・入院機能を集約したはずの津和野共存病院でも、2年前の2005年に11人いた医師が現在常勤医5名となっている。昨年暮れには、常勤医3名となって救急告示を取りやめた。島根県医療対策課の紹介で非常勤だが3名の増員が出来た。産婦人科医はいるが、小児科医がいない現状で残念ながら分娩は中止している。整形外科は昨年3月まで常勤2名体制を維持してきたが、昨年8月にゼロに。他の病院からの外来応援で対応し、現在は手術は出来なくなっている。約80人の入院患者と毎月3〜4000人の外来患者を迎え入れる病院はまさに「存亡の危機」にある。

熱心に話をしてくれた須山信夫院長は、当直明けでほとんど寝ないで10件の往診を行ったという。「医療現場の実態を見ないで、研修医制度の改革を行った国は、さらに在宅医療への移行を打ち出している。住み慣れた家で過ごしたいという患者さんを地域で支えるにはどれだけの力がいるのか、ぜひその実態も見てほしい。これもまた、机上の空論でやられると地域医療は崩壊してしまいます」と訴えた。

(写真上・新生児室の体重計、ここで年間60〜70人の赤ちゃんが生れてきた 写真下
ほとんど使われなくなった手術室。同時にふたつの手術が可能だった)


午前10時すぎから午後7時まで、昼食中も「雲南病院存続の要請」を受けたから、濃密な視察となった。亀井久興国民新党幹事長の地元でもあり、また先の参議院選挙で自民党候補を3万票差で破った亀井亜紀子参議院議員というふたりに加えて、格差是正に取り組む議員有志の会の視察の第一弾報告である。

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