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今日二人の死刑囚に対する死刑執行が行われた。鳩山大臣が2月、4月、6月と3回、保岡大臣が9月に1回。そして今回で5回、今年になってからだけで15人が「刑場の露」と消えたことになる。間違いなく大量処刑が始まっている。しかも、日本では国連の規約人権委員会から是正勧告を30日にも受けることになっている。旧知の森法務大臣に連絡を取り、電話でもいいから意見をしたいと申し入れたが、「電話を受けることも出来ないし、かけることも出来ない」とニベもない返事が大臣官房から返ってきた。それならばと、法務省大野刑事局長に連絡を取り「抗議文」を手渡すと共に、30分ほど突っ込んだ議論を行った。手元のメモを参照しながら、記憶を頼りに再現してみると次のようなやりとりだった。今後の議論のために記しておきたい。

大野刑事局長とのやりとり(午後1時25分~2時5分 法務省刑事局長室)

保坂 私がまず驚いたのは、国連の自由人権規約委員会で10月15~16日両日に開催された日本の人権状況の審査が行われて、30日には死刑廃止を求める厳しい勧告が出されるという直前に執行した点です。

刑事局長 国際社会の議論は注視をしています。しかし、死刑執行の判断はあくまでも確定した事案について慎重に精査・検討して行われているもので、別の問題だと考えている。

保坂 一昨年には、12月25日、クリスマスの日にクリスチャンの75歳の老人を処刑したことで、ヨーロッパ中心に大きな波紋が起きた。死刑執行を決めるにあたって、たとえば昨年12月に国連総会で死刑執行停止決議が出される直前だったり、今回の自由権規約委員会での勧告の直前など、あえて国際社会の潮流に背を向けるようなタイミングで執行をしているように見えるのだが。

刑事局長 そんなことはありません。国際社会の議論と死刑執行は別のことだと考えていますから。

保坂 では正月やお盆には執行しないのはなぜですか。

刑事局長 1月1日は祝日だから、祝日の執行というのはないのですよね。

保坂 お盆もないというのは、日本国内の事情は常識的に配慮しているということですね。ただ、国際社会の日程は考えていないということでしょうか。もうひとつ、どうも法務省は100人を超えた人数を狙って執行に踏み切っているんじゃないかと言われています。今回も2人執行されて、101人になりました。

刑事局長 いやいや、それだけは明確に否定したいと思います。100人を超えてというところは何ら意識していませんし、もし仮にそうだということになると後にも確定者の数と執行数が結びつけられてしまいますから。

保坂 大野局長になってから最初の執行は、昨年中が長勢法務大臣の3人。そして、次が鳩山法務大臣の3人。そして、今年になってからは5回で15人。あわせて21人です。歴代刑事局長でも群を抜いて多いのではないでしょうか。どうしてこんなに増えたんですか。

刑事局長 最近では多いかもしれませんが、うんと以前はもっと多かったこともあると思います。法務省としては、慎重に個々の事案を精査して行っていることについて従来と変わりはない。万が一でも間違ってはいけないので、そこはきちんとやっている。

保坂 依然は年間の執行数が2人ないし3人という時代が続いた。ところが、今や15人から20人と明らかに増加している。法務省の死刑執行についての考え方は、原田・松尾両刑事局長(後にふたりとも検事総長)の頃から今も変わらない。しかし、実際の執行数は増えている。これは、死刑執行に臨む法務省の考え方がより厳しくなり、厳罰化を望む世論と共振しているからこそ執行数が増加していると言えるのだろうか。

刑事局長 世論の動向と法務省の判断だけでは決まりません。司法判断の問題があります。このところ、死刑確定が多い時期が続きました。ここ、最近は少し減ってきていますけれど。

保坂 裁判員制度が始まると、「死刑判決」は減少するのではないかと言う弁護士の人たちが多かったが、これだけハイテンポに死刑執行が行われるようになり、死刑執行が「日常の光景」になって慣れていく。そして、一方で犯罪被害者の当事者が法廷に参加する制度も出来て、死刑の数は増していくのではないか。4~5年すると、死刑確定・執行が40人から50人という時代が来ると懸念しているんですが。

刑事局長 私は、これは個人的な見解ですが、裁判員制度で死刑判決が増えるとは思っていません。今、おっしゃった50人と言えば、現場の検察官の求刑の感覚から言っても多いですよ。

保坂 そうでしょうか。死刑執行が2~3人だった時代から言えば、今はすでに5倍以上に執行が増加しています。すでに15人の処刑が終わり、今年の12月にまた執行があれば、17人~20人という数字もありえなくはない。15人の3倍は45人ですよ。これだけ死刑執行が多いと、一審の無期懲役の被告に対して、検察官の上告を制限したり、また自ら取り下げて死刑確定する被告が多いので、必要的上訴制度をつくることを、裁判員裁判での全会一致とあわせて議論しないといけないと思います。

(やりとり終わり=文責・保坂展人)

鳩山大臣が唱導したベルトコンベアは、その後に大臣がふたり替わっても平然と動き続けている。近く、国会内で国連勧告を受けた直後にヒアリングをしたいと申し入れた。森大臣に向けた抗議文は以下の通りだ。

[抗議文]

2008年10月28日

法務大臣 森 英介 殿


森法相の死刑執行に強く抗議する
 

死刑廃止を推進する議員連盟
会長 亀 井 静 香
事務局長 保 坂 展 人

私たち「死刑廃止を推進する議員連盟」は、森英介法務大臣が本日、2名の死刑囚に死刑を執行したことに強い怒りを表明する。今年になり、ほぼ2ヶ月おきに死刑を執行している。鳩山法務大臣が2月、4月、6月と連続執行を続け、保岡法務大臣が9月、そして10月の森法務大臣の執行と5回にわたる連続執行であり、すでに15人の処刑が行われるという異常事態となっている。

しかも、保岡前法務大臣は、福田内閣において大臣就任1ヶ月で死刑を執行した。その間、衆参の法務委員会での所信表明を行わないままの執行であった。今回も森大臣は、同様に大臣としての所信表明を行わず、衆参法務委員会での基本的質疑を受けないままに、死刑執行にサインしたこととなる。これは、麻生総理が解散総選挙を行うかどうか、当初の解散予定日の30日を前に逡巡していることによって生じた政治空白で行われた執行に他ならない。
もはや、法務大臣ならびに法務省は、執行以前に新法務大臣の政策方針すら国民の代表である国会議員にチェックをさせない状況を作っており、これは法務行政の暴走と言わざるを得ない。

この10月15・16の両日に国連自由権規約委員会が開催され、日本の人権保護状況が審査された。その場で日本政府に死刑制度の廃止を求める意見が提示され、30日には日本政府に対する勧告措置を盛り込んだ最終見解が発表される予定である。日本政府は、死刑制度への厳しい要求が突きつけられることで、これまで同様に国内世論の支持を理由にした対応をしていては、国際的に孤立せざるを得ないと議員連盟として判断している。

「死刑廃止を推進する議員連盟」は、来年から実施される裁判員制度において、裁判員になる一般市民が担う大きな重責を考え、死刑に限っては全員一致でなければ死刑判決を出せない、という法案を検討している。国際社会の流れから言っても死刑は慎重に扱われ、死刑廃止に向けて着手すべきである。

今こそ、森法務大臣のもとで、死刑制度のあり方を根本的に見直す時期であることを強く申し入れ、本日の執行に抗議するものである。




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