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フジテレビの『とくダネ』を見ていて、大阪で出来た『日本一厳しい青少年健全育成条例』をめぐって、小倉智昭さんが憤慨している。『16歳未満の少年少女は、午後7時以後にゲームセンター・カラオケボックス・ボウリング場・まんが喫茶・インターネットカフェなどへの出入り禁止(違反した店は30万円以内の罰金)』を課すというもの。はたして、行政が口を出す問題なのか。いや、今の子どもにはある程度厳しいきまりが必要だとスタジオはケンケンガクガク議論が続いていた。とうとう、こういう時代がやってきたのかとさっそく資料を取り寄せてみた。

 大阪府青少年健全育成条例では、「16歳未満」と「16歳~18歳未満」と規制対象の年齢を二分している。さきのカラオケ・ボーリングなどの出入り規制は、前者が「午後7時から午前5時」、後者だと「午後10時から午前5時」となる。次に外出禁止令は、「16歳未満が午後8時から午前4時」「16歳~18歳未満が午後11時から午前4時」で保護者には「努力義務」が課せられて、保護者の承諾を得ることなく連れ出した者には30万円以下の罰金が課せられる。

 その他に、「有害図書」や「モデルガン」などの細かい規制があるが、「古物商は青少年から古物を買い取ったり売買の仲介をしたりしてはいけません」という規定もあり、古本屋にマンガやゲームを持ち込む時も保護者同伴か承諾書が必要となるようだ。また家庭での努力義務としてインターネットの「有害サイト」へのアクセスを防止するために、フィルタリングソフトなどの使用を保護者に努力義務として課している。

 もともと大阪には官僚政治から距離を置き、商都として自由な気風を楽しむ文化があったと思っていた。中学生・高校生を対象とした日本一厳しい青少年健全育成条例は、事実上の「中高生夜間外出禁止令」である。受験勉強に疲れて、本屋で立ち読みをしていても、コンビニに寄っても「禁止時間帯」だと店員に「早く帰りなさい」と促される。夏の花火大会、秋のお祭り、スポーツ観戦、ライブなど「8時までに帰宅しないと条令違反」となるのでは、「若者の居場所」は消える。

 さらに調べてみると、大阪府は当初「16歳未満の子どもは保護者同伴であっても7時以後はカラオケ・ボーリングなどの施設から退去しなくてはならない」という原案を持っていたそうで「厳しすぎる」「家族の団欒を奪うのか」などの意見が殺到して変更したものだというからあきれてしまう。

 大阪府の青少年健全育成条例は、少年少女を犯罪予備軍の見なして全般的に夜遊びを禁止する包括的な規制を敷くことで、「非行一掃」を目標としているのかもしれないが、根本的に間違っている。高校受験を終えた中学生が7時半に卒業間近かにカラオケで盛り上がっていたら「店は30万円以下の罰金」という適用をしたら、たしかに子どもたちは店を出るだろう。

 カラオケ賛美をするつもりはないが、大きな声を出してはしゃいで笑って盛り上がることを「犯罪に準じた状態」「非行の一歩手前」と見ることは、さらなる窒息した状況を作り出す。ボウリング場にいる子どもたちになぜ、疑いの目を向けなければならないのか……それは、子どもたち全般を信頼していないからに他ならない。

 自由を持っていると、その大切さに気がつかない。大阪の子どもたちは、この先しばらくは夜、外出するにも時計をチラチラ見るような不自由な時期を過ごすことになる。大人は「今の子どもの中にはタチの悪いのがいるから、オヤジ狩りなど物騒な連中もいるし全部規制してくれれば安心だね」「門限なんて何度言っても守らないけど条例が出来たから早く帰ってくるようになって良かった」などと気安く考えていると大変なことになる。

 子どもに起きたことは、10年以内に大人にも適用される。世の中、合理的に必要なものばかりで成り立っているわけではない。猥雑で、いい加減で、エネルギィシュで、混濁した都市の広場や路地裏に人々は集い、あれこれ目的なく語り、そして文化を生んだ。路上で歌が生まれ、ダンスが始まり、そして恋も芽生える。こうした都市空間を犯罪醸成装置と見ればその通りの要素もあるだろう。

 だけど真空地帯じゃ子どもは育たないし、大人も窒息する。日本でもっとも精神的に自由だったはずの大阪で起きていることに危機感を覚えるのは、全国一律にこうした条例が「日本一」を競う愚劣な競争が始まりかねないからだ。青少年健全育成条例の先鞭をつけた東京都では、昨年春『たとえ保護者同伴であっても午後11時以後は18歳未満の青少年はカラオケ店などに立ち入り禁止』という都条例が出来ている。私は強い違和感を持ったが、都議会で問題となった形跡もない。

夜遊び大好きの政治家が、口をひらけば「青少年健全育成」を叫ぶことにも違和感を感じる。連日の報道をにぎわしている耐震偽装、東横イン、防衛施設庁、その他、大人が作り出すニュースで青少年に失望を与えないものは少ない。日本の近代史の中で、もっとも少年犯罪も非行も少なかったは、小国民として戦争に動員されていった「戦時中」であるということを私たちは忘れずにいたい。



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