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共謀罪は、昨日の朝に突然に起き出した。安倍総理が19日午前、首相官邸で長勢甚遠法相と外務省の谷内正太郎事務次官と会談したことから、ニュースは流れた。「通常国会で成立を図るよう努力するように」と安倍総理が指示したと、閣議後の記者会見で長勢法務大臣が明らかにした。同じ閣議後の会見で、麻生外務大臣は「衆議院は通ったが、参議院で審議未了・廃案というのは避けたい。参議院選挙もあるので、その点も考えて対応していただきたい」とも述べている。

その後、安倍官邸から打ち上げられた「共謀罪」の観測気球は乱気流に揺れた。昼には安倍総理は記者団に「国際組織犯罪対策条約上の義務を果たさなければならない。その観点から、党とよく相談して今国会で『提出』するよう指示しました」と語ったという。共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)は、現在継続審議中である。安倍総理が「提出」と言ったのは、政府案を撤回して修正をした法案を新たに提出するという意図だったのか、注目しなければならない表現である。「修正」の文脈からは、塩崎官房長官が「条約を逸脱しない範囲で話し合うことは結構だ。許容範囲であれば現場が判断する」と午後の記者会見で含みをもたせている。

他方、「提出」というのは安倍総理が共謀罪に執着をしているが、状況をまったく把握していない証拠だという見方も広がっている。まもなく、25日招集の通常国会が始まるが、政府案をひっこめて出し直すという準備など役所側で進んでいる気配もない。私も複数の法務省関係者と話しているが、明言はしないが「参議院選挙まで凍結」というのが「暗黙の了解」だったと感じている。塩崎官房長官が言うように「与野党修正に大胆に踏み出す」のであれば、与党内の意志統一は不可欠だ。しかし、公明党は突然の「共謀罪」の焦点化に困惑というより、不快感を示していると聞いている。与党内でも参議院の片山虎之助自民党参議院幹事長は、20日岡山県内の記者会見で「野党が対決路線を取れば難航するし、この国会が会期延長できないことを前提に国会日程上どうかも検討の要がある」(時事)と語り、参議院選挙を前にした通常国会が延長が出来ず会期に限りがあることを理由に、7月参議院選挙への悪影響を懸念している。

これは、安倍政権の特質かもしれない。自民党造反派復党劇の後であわてて手をつけた道路特定財源の一般財源化をめぐる騒動や本間税調会長辞任問題でも明らかになったように、官邸機能が脆弱になっていて正しい情報を収集して発信する作業が足らず、十分な準備のないままにテーマを打ち上げていく。憲法改正を参議院選挙の争点にするという安倍総理は、「共謀罪」が成立しないようでは「美しい国」とは言えないと本人と少数の周辺の判断で勝負を急いだのだろうか。あるいは、外務省のメンツを重んじる谷内事務次官に請われてボタンを押したのか。本当のところは分からない。

ただし、安倍総理がこう打ち上げた以上は「参議院選挙後に先送り」されていたはずの「共謀罪」が週明けから焦点化するのは間違いない。「死んだふり」を長くしていると忘れられてしまうので、今年こそは成立させるという安倍内閣の強い決意として受け止めるのが妥当だろう。つまり、今後トーンダウンしたとしても強い執着を持っていつでもよみがえるし、わずかな隙があれば打って出てくるということが証明されたわけだ。

私たちとしては、共謀罪が持っている問題点をあますところなく明らかにし、参議院選挙をはさんで完全に葬り去り、同時に世界中の国々の標準に従って人身売買禁止など必要最低限の法制化をはかり国際組織犯罪対策条約を批准すればいい。政府提案の共謀罪を成立させなければ条約が批准出来ないというのは真っ赤な嘘だった。これは、ブログ右側に提示している『共謀罪とは何か』(岩波ブックレット)を是非読んでほしい。

いろいろと分析してみたが、結論はひとつ。

安倍総理は、私たちに「共謀罪を狙うよ」と伝達してくれた。この7月の参議院選挙で、何もかも先送りにはしない。「憲法改正」に直結する共謀罪は何が何でも成立させたいという安倍総理の決意表明だったと受け取るのが、一番素直なのかもしれない。それほど奥行きや深謀術策はないのだろう。

昨日書いた密告義務法も「日切れ法案」(朝日新聞)という扱いで提出されようとしている。共謀罪とメタルの裏表のこの法案の問題点も明日以降、書いていくこととする。



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