以前には、よく通った居酒屋であった。今も、時折は顔を出す。
場末の小さな店で、客が10人も入ったら超満員。
おかみさん一人で、すべてを取り仕切っていた。
「ビールを頂戴!」
「あいよっ、ビール1ダース!」 すこぶる気合がいい。
「日本酒がほしいなァ」
「あいよっ、日本酒1升!」 初めての客はビックリする。
「あのー、日本酒1合なんですけど……」 つい、客はオドオドする。
「分かってます。だから、日本酒を1升!」
万事がこのような気合で進むのだ。
そのおかみさんは、私よりは一廻りほど年下だ。
この業界は、どの店も長期低落傾向。どこもすっかり火が消えかかっている。
しかしこの店は、なんとか繁盛しているらしい。
おかみさんの気っ風が、客足を呼んでいるのだ。
店の名前も奮っていて、『置いてけ!』。
つまり、「愚痴を置いて行け!」というのが、名前の由来とか。
上司や客への愚痴・鬱憤は、家に持っていかないこと。
酒でも呑んですべてを吐きだし、スッキリした気分でお帰りよ。
そんなおかみさんの気合が、客足を絶えさせないらしい。
「帰るよ~」
「毎度ありー、2700万円頂きまーす!」
別館として、写真俳句ブログの「ひよどり草紙」を開いてます。
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繁盛しているなんて、嬉しいですね。
お店の名前もそのものズバリで、気取りがなくてよいです。
唯一夫の褒められる点は、まさしく「外であったことは外に置いてくる」ことでしょうか。
家の中まで引き摺って来ないので、家庭が穏やかでいられます。
夫も、きっとこんな女将さんの店に行っているのかも知れません。
愚痴を持ち帰らない。
これが鉄則なのですが、なかなか上手く行きません。
気っ風で商売している居酒屋がいいですよ。
嫌なことを家に持ち帰らないことは、すべての面でいいですね。
仕事場から自宅への直行では、どうしても引き摺って行くことになります。
その点、蘭子さんの夫氏はうまくやっているのでしょうね。
「ひよどりさん ! 油の乗った秋刀魚塩焼き10匹注文ありがとう」・・・と、元気な女将さんの声が聞こえてきそうです。
近ければ是非伺いたいです。
サンマの塩焼きを10匹食べたら、私は血圧が上がりっぱなしになります。
私が若かった頃と違って、職場から飲み屋へ繋がって行くのがイヤなのでしょうね。
仕事からやっと開放されたのだから、上司や仲間からもいち早く離れたい。
それが願望なのでしょうか。
それに「家庭尊重」の気運が加わって、マイホーム志向になったように思いますが。
実は、そのあたりのことについて、私には自信がありません。