日々アマチュア

日々アマチュアのどたばた恋愛コメディー

晴海と港北

2007-08-20 23:55:38 | cinema
最近、立て続けにいくつかの映画を見たので。そのレビューを。

見ると入ってもテーマがありあまして、今回は「家庭」と設定し、そこにある物とか、シーンの特徴をなんらか見れたらなと思い世代の違う2つの作品を蔦谷さんでレンタル。その他音楽を十点ばかり。

まずは家族ゲームを
1983公開。監督は森田芳光。調べによるとキッチンやら失楽園、模倣犯などの作品を撮ってるみたいですが、総じて小説の実写化によく携わっていると言えるでしょう。

キャストは父、伊丹十三 母、由紀さおり 弟、宮川一朗太 家庭教師、松田優作など
ですが全体の登場人物のその後の出演作はVシネが多い。皆にっかつのお得意様なのですかね。そのへんはわかりませんが、そう思いました。

1983年の公開で原作の本間洋平「家族ゲーム」は82年に初版が出たようです。舞台は東京のウォーターフロント、前川國男の公団晴海高層アパート15号が1958年だとして、その後の東京の水際の荒地を宅地化していくという流れにあるのでしょう。現在もある倉庫と集合住宅が変なリズムで建っているという景色が妙に印象に残りました。その荒地を舞台に子供たちはけんかやくさい仲直りのせりふを言い合うのでそれもしっかりチェック。
 団塊ジュニアが80年までの五年くらいに生まれた子らしいから、メディアのずれもあって団塊世代の一回り前の家庭像を描いたといってよいのだろう。父母が40ぐらいで子が14、5ってとこですね。社会が大量消費でドラスティックに変わるのを感じているのでしょう。

 この映画の中でアパートだけは非常に特別な視点で描かれていることは間違いありません。後はマイカーやエレベーター、ご近所さんとかでしょう。

そこで空中庭園に話が移ります。
原作は角田光代、公開は2005年。父。板尾創路 母、小泉今日子 娘、鈴木杏 息子、國村隼 家庭教師、ソニン など
ここで描かれるのは港北ニュータウンでの家庭。
わかりやすく家族はバラバラ、うそをつかないという家庭のルールもうそで封じているのだが。さすがに家族は他人よりも物理的な距離が近いことから、次々話がつながっていく。その光景はいささかシュルレアリスティックである。

鍵となるものは、CGで描かれたニュータウンの光景、幸せな家庭の代名詞ガーデニング、郊外ショッピングセンター、観覧車とかでしょう。

ここではいっさいご近所さんは描かれません。ただワンカット、郊外開発がストップした時に退居するときのみ。

印象的に描かれたシーンはコンビニで親が立ち読み、娘が後ろから脅かそうとするシーン。このワンシーンで大体わかるでしょう。

両方の映画に共通するのは家庭教師という家庭からすると外部因子である存在が完結した家庭に客観的視点を持ち込むということ。

両者ともモラルとインモラルのせめぎがあるが、空中庭園の家庭のほうが主人公夫婦の親たちの家庭像に疑問があり、理想の家庭を気づこうという必死さがあるためにガタガタと崩れる。

どちらもユートピアを勝ち取った者であるが、せっかくのそこは空虚そのものであるという一貫したメッセージ。

結論は急ぎませんが、こういった世代による家族像を夏の映画祭り二本立てで見ることでなんかしら分かったという感じで。では空中庭園の子世代である私たちはどうかという感じです。

ほかにも見たので映画や音楽に関して元気に書いていきます。