美杉村の太郎生。ここのことを知らない人はタロセイと読んでしまう。しかし本名はタロウである。まんなか・まちかど博物館70余館の中で最も高いところにあるのが久穂さんの所ではないだろうか。標高410メートルの国道から遙かに見上げる山の傾斜地に堂々たる佇まいを見せている。 「よう来てくれたなあ」張りのある声で迎えてくれた久穂さんは元気そのもの。 この博物館は二つのジャンルに分かれており、第一が屋外の岩ひばの栽培、第二が屋内の古木の加工品類。 まずは屋外の岩ひばから。 大抵の植物は土の上に生えるのに対して、このひばは岩の上に生えるので「岩ひば」と呼ぶ。 10年で2〜3センチしか成長しない、おとなしいシダ植物である。一人で山を歩くのが好きで始まった趣味、もう35年も続いている。水と空気の綺麗な山の中でしか生えないこの植物を採集するのはまさに命がけ。大きな物は滅多に見つけることが出来ないが、これを見つけたときは大きな形のまま持ち帰り、庭に並べ、大切に育てる。朝夕の水やりなど、一日の半分をこの世話に費やすと仰る。見学者は結構多く、梅雨時は特に水を得た元気な岩ひばが見られるのでお勧めだそうだ。
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もう一つの展示物は古木の幹の部分を磨き上げた作品。こちらは工芸品のため、玄関と座敷に展示してある。岩ひばに凝る前はこちらに一生懸命だったそうだ。伐り倒された後に残った部分に後日枝が生えて複雑な形になった幹を見つけては自宅に持ち帰り、乾燥後、丹念に磨き上げられた物達。 「持ち帰り」と簡単にいってしまっては申し訳がない。自分の体重の何倍もある木の幹をたった一人で道の無いような山の中から何キロも引きずり降ろしてくる苦労はいかばかりであろうか。 ちなみに、この重い物体を山の上から引っ張り出す方法は「チェーンブロック」という道具を使い、やぐらを組み、わずか2メートル程度を動かすと、またその位置でやぐらを組みチェーンブロックをセットし直すという、聞いているだけでも気が遠くなるほどの、まさに「尺取り虫」が大陸を渡るような動作を延々と繰り返すという。 1週間程度は掛かるかなぁとあっさりとおっしゃるが、まさに精神力と忍耐力のたまものである。これには脱帽。 この趣味はなんと呼べばいいのでしょうかとの筆者の問に、「名前なんて付いていない」との返答だった。 この「古木磨き」にしても「岩檜葉」にしても、材料を買うわけでもないので、費用は一切掛からない。反面、久穂さんはこれらの作品を一切売ろうとしないのだ。一銭にもならない事に一生懸命になっているので「キチガイ扱いされた」とおっしゃる。これだけの植物に朝夕の水やりに水道代が嵩むでしょう?と私。「いや、谷から天然水を引いているのでタダ」「趣味にお金がかからないので助かります」奥様はニコニコしておっしゃる。3世代、7人家族の久穂さん一家が羨ましくなった。 70才近くになられたのに「ぼくは」「ぼくに」と熱っぽく語り、地区のためにも色々骨を折っておられる。 博物館と並行して、地元太郎生で、ユニークな方達、13人がグループを結成し、観光客を村に呼び込むために貢献している、その名、「太郎生道里夢」読み方は「タロウドリーム」である。村を見て回るための貸し自転車も用意されていますので、皆さんも是非どうぞ。但し、坂道がかなり急なので覚悟しておいてくださいね。
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もう一つの展示物は古木の幹の部分を磨き上げた作品。こちらは工芸品のため、玄関と座敷に展示してある。岩ひばに凝る前はこちらに一生懸命だったそうだ。伐り倒された後に残った部分に後日枝が生えて複雑な形になった幹を見つけては自宅に持ち帰り、乾燥後、丹念に磨き上げられた物達。 「持ち帰り」と簡単にいってしまっては申し訳がない。自分の体重の何倍もある木の幹をたった一人で道の無いような山の中から何キロも引きずり降ろしてくる苦労はいかばかりであろうか。 ちなみに、この重い物体を山の上から引っ張り出す方法は「チェーンブロック」という道具を使い、やぐらを組み、わずか2メートル程度を動かすと、またその位置でやぐらを組みチェーンブロックをセットし直すという、聞いているだけでも気が遠くなるほどの、まさに「尺取り虫」が大陸を渡るような動作を延々と繰り返すという。 1週間程度は掛かるかなぁとあっさりとおっしゃるが、まさに精神力と忍耐力のたまものである。これには脱帽。 この趣味はなんと呼べばいいのでしょうかとの筆者の問に、「名前なんて付いていない」との返答だった。 この「古木磨き」にしても「岩檜葉」にしても、材料を買うわけでもないので、費用は一切掛からない。反面、久穂さんはこれらの作品を一切売ろうとしないのだ。一銭にもならない事に一生懸命になっているので「キチガイ扱いされた」とおっしゃる。これだけの植物に朝夕の水やりに水道代が嵩むでしょう?と私。「いや、谷から天然水を引いているのでタダ」「趣味にお金がかからないので助かります」奥様はニコニコしておっしゃる。3世代、7人家族の久穂さん一家が羨ましくなった。 70才近くになられたのに「ぼくは」「ぼくに」と熱っぽく語り、地区のためにも色々骨を折っておられる。 博物館と並行して、地元太郎生で、ユニークな方達、13人がグループを結成し、観光客を村に呼び込むために貢献している、その名、「太郎生道里夢」読み方は「タロウドリーム」である。村を見て回るための貸し自転車も用意されていますので、皆さんも是非どうぞ。但し、坂道がかなり急なので覚悟しておいてくださいね。
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