現代を切る  ウィンストン・チャーチルと初代ハリファクス侯爵     

退職から9年。ブログを始めて5年。現実主義者として、歴史を紐解き、英国の大宰相、チャーチルらの発言を下敷きにして記す。

議論を好まないのか、安倍首相   共謀罪、憲法改正審議に思う

2017年05月12日 09時16分40秒 | 政治
このブログに最後に記したのは先月14日。ほぼ1カ月がたってしまった。退職して退屈な時間をつくらないようにしようと思い、自分で仕事をつくり忙しくしている。。
 わたしは「思い上がった趣味」だとは思うが、若い頃英国に留学中、英帝国の末裔からいろいろ教わったことを少しでも文に残しておこうと思い本を執筆している。次回は「人間チャーチルからわたしたちへの伝言」(仮題)を出版する準備を進めている。
 6年前、ケンブリッジ大学のチャーチル史料館の館長さんとお会いしたおり、チャーチルの話を聞いた。その後、文献をあさっては読んだ。あらためて20世紀の大宰相の人間性に触れた思いだ。チャーチルは好んで政敵と議論した。議論に議論を重ね、国民に現状を語り掛け、説得して自らの思いを実現させた。
 「一番怖いのは、自民党内に全く議論がないこと。僕らの若い頃は、党内の主流派と反主流派、非主流派の違憲のぶつかり合いこそ魅力だった。今は番組に出演する与党議員も番組前には政策に批判的な意見を口にしても、表立っては発言しない。もはや安倍首相のイエスマンになっている」
 今日の朝日新聞で、ジャーナリストの田原総一朗氏がこう語っている。安倍首相はとにかく政敵ととことん議論しない。内閣には自分と同じ考えの人を入閣させるようだ。各紙はこの姿勢を「好きな人物」と呼ぶ。
 これに対してチャーチルは政敵と議論するのを好んだ。チャーチルを20年以上護衛した側近中の側近のトンプソン警部は「チャーチルはイエスマンを信用していなかった」と後年語っている。保守党であるチャーチルが、労働党のアーネスト・ベビィンを心から尊敬していたのは有名な話だ。ベビィンはチャーチルに堂々と理路整然と反対意見を述べた。チャーチルがそれが好きだった。真剣に耳を傾け、良い政策だと思えばちゅうちょなく採用したという。
 ベビィンは、国家の非常時(第2次世界大戦)ではチャーチルの挙国一致内閣に労働大臣として入閣。チャーチルを大いに助けた。
 議論は民主主義制度を維持・発展させる上での根幹のひとつである。国会での民主党議員をはじめとする野党議員の質問にも問題がある(相手の揚げ足取りばかりに狂奔して、問題の核心に迫ろうとする気持ちがない)が、それにもまして安倍首相の答弁には「真摯」に正面から受け答えしていない印象を受ける。その最たるものは「読売新聞を読めば、私の見解が出ている」だ。
 現在、国会で審議している「憲法改正問題」にしても「共謀罪問題」にしても真摯な議論が安倍首相と野党議員にはない。相手の批判や揚げ足取りに終始している観を否めない。
 「戦争を知る最後の世代。表現の自由を命がけで守る」。共謀罪法案をめぐって田原氏はそう強調している。確かに1926年に成立した治安維持法は共産党を取り締まる法律だった。しかし太平洋戦争中、自由民主主義者まで取り締まりの対象になった。
 田原氏はいう。「(共謀罪)は一般人のプライバシーにある程度、手を突っ込まざるをえないはじだ。プライバシーを損ねる可能性があるのか、その点について全く説明がない」。私も同感だ。
 100歩下がって、安倍首相の善意を信じたとしても、後生の指導者がこの法律を悪用する可能性がある。治安維持法がそれを証明している。
 筆者の思い込みかも知れないが、安倍首相はどうも右翼政治家の特徴で「一点だけを見て全体を見れない。全体の中で物事を判断し、最悪の場合を想定して物事を進めることができない」と思う。それは「憲法は米国に押しつけられたから改正すべきだ」などの言葉に表れている。感情優先で物事を判断し、客観的な環境変化を軽視する傾向があるようだ。ここに保守政治家との違いがある。
 「共謀罪法案」も「憲法改正問題」も時間に縛られずに国会で議論し尽くすことが先決であり、安倍首相は自らの感情によって国民に自分の思いを述べるのではなく、刻々と変化する時の流れに基づいて冷静に判断することによって国民を説得すべきだ。
 安倍氏がそんなにこの二つの問題に固執するのなら、国民に「この憲法は押しつけだ」という馬鹿な感情論ではなく、事実を語り続けることである。見方によっては「押しつけ」であろうと、戦後果たしてきた憲法の役割を冷静に見つめ、その事実を踏まえた上で、「なぜ」現在、憲法、とりわけ第9条が歴史の変化により「そぐわなくなった」のはを語り掛けるべきだ。それに基づいて、与野党議員と国民が真摯な議論をすれば、答えは自ずから出てくるだろう。

写真は田原総一郎氏
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