現代を切る  ウィンストン・チャーチルと初代ハリファクス侯爵     

退職から9年。ブログを始めて4年。現実主義者として、歴史を紐解き、英国の二大政治家らの発言を下敷きにして記す。

民主主義制度に挙手の敬礼を送る  劉暁波氏の冥福を祈る

2017年07月14日 11時10分16秒 | 民主主義制度
 ノーベル平和賞受賞者で中国の人権活動家、劉暁波(リウシアオポー)氏が13日に死去した。61歳だった。一人の民主主義者として中国共産党の独裁に反対して戦い続けた。それは数千年に及ぶ中国の「一君万民制度」に対する挑戦だったといっても過言ではない。この国に一度として民主と自由の制度が敷かれたことはない。
劉氏は死の直前、妻の劉霞(リウシア)氏(56)に、「あなたはしっかり生きなさい」と語りかけたという。今年6月に末期の肝臓がんと判明。刑務所外の病院で治療を受けていた。
 朝日新聞によれば、「劉氏が投獄される原因になった「08憲章」に最初に署名した1人で杭州の学者、温克堅さん(46)は病院に見舞いに行ったが、病室すら教えてもらえなかったと話す。
 北京の著名人権活動家、胡佳氏(43)は政府が出国を認めなかったことへの怒りは大きく、「せめて最後は自由のある土地で死なせてあげたかった。人道的な配慮すら認めない、体制のひどさを多くの人が知ったのではないか」と激怒する。
 ノルウェーのノーベル賞委員会が2010年、劉氏にノーベル平和賞を授与したとき、中国共産党政府は 「ノーベル賞と政治は別」との主張に耳を貸さず、ノルウェー産サーモンの通関規制を強化し、ノルウェー政府に圧力を加えた。
 それから7年、中国の国力は増大の一途である。経済力を含む中国の国力は他の国が無視しえない存在になった。13億人の巨大市場を持つ中国は、経済低迷にあえぐ欧米諸国が敵に回したくない存在になった。貧しかった中国は大国になり、習近平指導部は自信を深める。
 昨年12月、ノルウェーとの関係を修復した際、中国の王毅(ワンイー)外相は「ノルウェーは両国の信頼関係がなぜ傷ついたか深刻に反省した」と勝ち誇った。共産主義者の考え方が如実に表れている。敵か味方が、勝利か敗北かでしかすべての事柄を見ていない。
 共産主義社会は理論的には素晴らしい社会だが、実践するとたちまち圧政の社会に変わる。共産主義制度が持つ不可避的な「強制」があるからだ。自らの制度が完全無欠で正しいと信じ込むため、「強制」して異見論者を自分の考えに従わせる。指導することは容易いが強制することは難しい。
 なぜなのか? 人間社会は「蜂社会」ではない。女王バチを中心として一糸乱れず働きバチが働く社会。働き蜂が何の疑問も抱かずに女王バチに奉仕する社会。それが蜂社会だ。共産主義社会はそんな社会である。多様な意見を持ち、欲得に目覚めている人間には不向きな社会である。
 中国共産党の要人はそのことを理解しているのだろうか。現在の中国幹部は人間に不向きな共産党理論に沿って人々を支配しているかとなると、そうではない。人間の本姓に従って中国を支配している。周も人間にほかならない。共産党の権力を守りたいという一心だ。一党支配を敷いて「甘い汁」を吸いたいということだろう。
 中国社会は古代からインテリ層が一番のリベラルであり、常識人だ。大衆は「一君万民」の支配下で時の支配者に従順だ。中国大衆は民主主義より「賢君」を望む傾向がある。それは孔子の教えでもある。しかし「賢君」が出現した例は数えるほどしかない。
 この長い中国の歴史を振り返れば、中国が民主主義国家になることができるのか、はなはだ疑問だ。劉氏のような一部の知識階級の人々が民主主義制度の実現に努力しても、大衆がそれに呼応しなければ、中国の自由と民主主義は実現しない。
 周近平ら中国共産党の指導者が「偉大な中華復興」と叫んでも、中国が民主主義国家でなければ決して真の世界の指導者にはなれない。そして「そうさせてはいけない」と言うべきだろう。筆者は「蜂社会」に住むのだけは御免こうむる。世界の指導者国家が独裁国家であることだけは拒絶する。
 劉暁波氏は偉大な中国の民主主義者だった。非暴力で、暴力を是認する(共産党理論=鉄砲から政権が生まれる)中国共産党に立ち向かった。少数のインテリが中国の民主主義社会実現に向けて死を賭して闘っている。その運動が大衆の行動を呼び起こし、国際社会が彼らを支援したとき、中国社会は変わるのかもしれない。長い歴史の汗が染みついた中国大衆に大きな期待はしていないが、それでも一縷の望みを抱いている。
 時の流れは中国共産党に味方していない。それだけは事実だ。時の流れを無視し逆らう者は必ず滅びる。歴史の法則である。
 劉氏が夢見た中国の民主主義社会が実現するのは遙か遠い未来なのかもしれない。しかし劉氏の民主主義社会実現への必死の努力は偉大な足跡として世界の人々の胸に残るだろう。筆者は何もしない怠け者の日本人民主主義者だが、劉氏の偉大な活動に敬意を表し、ご冥福を祈る。劉氏の奥さんの安全を心から祈り、われわれは絶えず中国共産党の一党独裁を監視しなければならない。
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