現代を切る  ウィンストン・チャーチルと初代ハリファクス侯爵     

退職から9年。ブログを始めて4年。現実主義者として、歴史を紐解き、英国の二大政治家らの発言を下敷きにして記す。

バッハ会長のスタンスは変化していない 核心は変えず、相手に花を持たせる

2016年10月19日 19時31分24秒 | 時事問題
 「小池都知事はバッハ会長の真意を理解した?  両者の会談に思いをはせ考えの違いを知る」を投稿してから、この問題に新たな展開が生まれた。
 朝日新聞によれば、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は19日午後、安倍晋三首相と首相官邸で会談し、東京五輪・パラリンピックの競技・イベントの一部を東日本大震災の被災地で実施することを提案した。バッハ氏は会談後、記者団に「世界の人たちに、復興がこれだけ進捗(しんちょく)しているということを示すことができる」と理由を説明した。首相も歓迎したという。追加種目に決まっている野球とソフトボールの開催を福島市などが要望していることについては、「検討している選択肢の一つ。第1試合をそこでやることは、非常にパワフルなメッセージにつながりうる」と語った。
 バッハ会長の安倍首相への提案は一つの妥協案だ。国際オリンピック委員会(IOC)が日本人と被災者へ激励の気持ちを伝えるために、日本の国技ともいえる野球とソフトボールを選び、その第1試合を被災地でやるということだ。これから行われる四者会談(IOC,政府、東京都、日本オリンピック委員会)での布石をあらかじめ打ったとも言える。
 会長はこの譲歩がIOCの開催地を決める基本である「フェーア」の精神を傷つけることはないと思っている。「第1試合」をそこですることで、「復興五輪」のシンボルとし、日本人からの反発を防ごうとしたのだろう。四者会談で、ボート会場に関して日本側からの譲歩を引き出そうとしたとも推察できる。
 バッハ会長はドイツ人だ。欧米人、特に欧州人は、何世紀にもわたる欧州政治から、駆け引きを心得ている。彼の「手腕はしたたかだ」(朝日新聞)。小池都知事が固執する「復興五輪」に花を持たせ、まだ会場が決まっていない野球を福島で開催すると提案した。そしてすでに会場が決まっているボート会場の変更は許さないだろう。「フェアー」というIOCの大原則は曲げないと暗に言っている。
 バッハ会長はロシアのリオオリンピック参加について、陸上選手の参加は認めなかったが、他競技の選手でドーピングにかかわらなかった選手の参加を認めた。巧みなバランスを取った。
 朝日は「リオ五輪で史上初めて『難民選手団』を結成した」と報道している。彼は政治手腕を発揮し、社会問題にかかわろうとした。「復興五輪」もその一面があるのだろうが、やはり日本側、特に小池都知事とのかけひきに利用した節がある。小池都知事は手玉に取られているように映る。
 4者の誰がイニシアチブをとるという類の階段ではないと言いながら、自ら、小池都知事、丸川珠代五輪担当相、森喜朗・日本オリンピック組織委員会会長、安倍首相と自らのイニシアチブで会談した。明らかにバッハ会長の主導で動いている。
 バッハ会長は今回も民主主義にのっとって「妥協」してきた。四者会談で、実質的なIOCの代表であるジョン・コーツ氏がどう出てくるのかが、注目される。彼はボート競技でコックスの経験がある。宮城県の村井知事の思惑通りにならないだろう。コーツ氏はボート・カヌーの会場を東京湾で当初の計画通りやり、その中で経費を削減するよう求めてくるだろう。
 リオオリンピックのロシア問題と同様、基本スタンスは変えずに、「五輪復興」をシンボル的に認めていくのかもしれない。バッハ会長の基本スタンスに変化はない。
 筆者自身は、「アスリート・ファースト」なら、戸田ボート上近くの埼玉県の彩湖が最適だと思うが、建設費用がかかりすぎるきらいがある。そうなれば東京湾での建設費を圧縮して立てることが現実的だ。われわれ日本人は「おもてなし」の心が過剰になりすぎて、最高のものを完成させようとする。あまりほめられたことではない。
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