現代を切る  英宰相ウィンストン・チャーチルからの批評     

退職から9年。ブログを始めて5年。現実主義者として、歴史を紐解き、英国の大宰相、チャーチルらの発言を下敷きにして記す。

リーダーとしての資質のない石原氏  彼を当選させた有権者は深く反省を!

2016年09月17日 21時37分16秒 | 政治
  東京都の築地市場(中央区)から移転する予定の豊洲市場(江東区)をめぐる施設地盤の盛り土問題で、石原慎太郎知事(当時)と当時の都の担当幹部の言い分が食い違っている。
 石原氏が知事在任中の2008年5月30日の定例記者会見で、豊洲市場の敷地の土壌汚染対策について、地下にコンクリートの構造物を埋め込む案に言及した。しかし、石原氏は各社のインタビューで「都庁担当者の見解をそのまま述べたにすぎない」と答えた。
 これに対し、都中央卸売市場長だった比留間英人氏は「石原氏に『検討してみてくれ』と言われた」と話した。ただ、検討の結果、高い工費が予測されたため採用しなかったという。石原氏は工費をできるだけ安く抑えようとしたようだ。
 誰が提案したにしても、当時、土壌汚染対策を検討していた都の専門家会議が決めた「土壌を入れ替えて盛り土をする」方法と矛盾している。都はその後、地下に空間をつくる設計をし、専門家会議の誰にも知らせなかった。
 世論は現在、地下空間をつくることを提案して決断した人物が誰なのかについて関心を寄せ、この人物について厳しい目線を送っている。
 そんな中、2012年に辞職した石原氏はテレビ番組で「(盛り土がないことは)聞いてません。僕はだまされたんですね」などと話し、「都は伏魔殿だ」とコメントした。
 石原氏の発言はまるで他人事のようだ。政治家としての資質がないことを自ら証明している。たとえ石原氏が知らなかったとしても「最高責任者である私に責任がある」と述べるのが政治家である。筆者には石原氏が自分に類が及ばないように必死に火を消そうとしているとしか思えない。
 一方、チャーチルは政治生活を通して何度も失敗したが、その中でも大失敗だった1915年のガリポリ作戦について潔く責任を認め、海相を辞任した。作戦を立案したのはチャーチルだったが、その作戦を遂行したのは部下であり、それでも部下の責任は「わたしの責任だ」と言った。

●有権者と石原氏
 石原氏は2012年、都知事を辞職し、同年の衆院選挙に日本維新の会の候補として比例東京ブロックから出馬して当選。17年ぶりに国政に復帰した。1968年の参院選全国区と2003年都知事選に個人として300万票以上を獲得。選挙で2度300万以上の得票数を獲得したのは石原氏のみである。
 誰が彼を当選させたのか。都民と全国の有権者だ。つまり大衆である。健全な民主主義を発展させ、それを護る観点に立てば、彼らにも大きな責任がある。
 1930年6月19日、チャーチルはオックスフォード大学で「議会政治と経済問題」で講演し、大衆について「遠い将来の利益よりも目の前の利益に固執する傾向が強い」と論じた。また有名人に心酔し、彼らの資質も吟味せずに投票用紙に書くようになったと述べた。それは大衆が政治の主役になってから不可避的なことになった。
 また第2次世界大戦前夜の1939年3月10日、チャーチルは地元選挙区で有権者にこう述べた。
 「もし議会が真実を国民に伝える場でなければ議会はどんな役に立つのだろうか。大衆のつまらない心変わりに流されて発言する下院議員を、有権者が議会に送り出す必要があるのか。与党の院内幹事(党の幹事長に相当)を満足させることに必死になり、自党の閣僚の陳腐な答弁に拍手を送ることだけに全精力を注ぎ、それでいて野党や政敵の批判を気にも留めずに議会内を闊歩(かっぽ)している議員を、われわれが議会に送り出すことにどんな有用性があるのだろうか。・・・政治家としての自覚を持たないだけでなく、所属する党の幹部にこびへつらい、無気力でいいなりになる議員を有権者は何度も議会に送り返している。その結果、独自に判断する見識ある議員の見解すべてを葬り去っているのだ。このような状況で、民主主義制度が生き残れるのだろうか。そうは思わない」
 チャーチルは有権者を痛烈に批判し、民主主義制度の欠点を指摘したが、「民主主義制度への批判もある。・・・・それでも市井の人々を代表する政府が良心的で実用的な役割を担い、彼らに代わって正当な権利を主張しているのだ」と強調した。
 民主主義制度は最高の政治制度ではないが、あらゆる政治制度のうちで一番ましだ。この制度は枯れやすい花だ。だからこそ国民一人一人が、石原氏のような人物を政界に送り出さない観察眼を持たなければならない。冷静な判断が求められる。
 豊洲市場問題をめぐって、われわれ有権者は「民主主義とは何か」「ポピュリスムとは何か」を自問自答し、石原氏ら、政治資質の欠けた人物を当選させたことを深く反省しなければならない。
 われわれが反省しなければ、このような人物を何度も議会に送り出し、われわれの手で民主主義制度を自壊させることになる。


 (追伸)朝日新聞や東京新聞が18日朝刊で報じたところによると、築地市場が移転予定の豊洲市場の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、元東京都知事の石原慎太郎氏は十七日、都内で報道陣の取材に応じ、豊洲の建物下にコンクリートの箱を埋める案について、これまでの発言を修正し、「(自分が)専門家から聞き、都の幹部に検討したらどうだと言っていた」と述べた。
  石原氏の迅速な訂正を評価する。また誤りは直ぐに正すのも政治家として当然だ。しかし、十分な調査もしないで、都中央卸売市場長が発言した、と記者に言ったのはいただけない。重要な問題であればあるほど、調査してから発表するのが政治家の務めではないだろうか。石原氏に限らず、政治家は言い訳が最初に出てくる。反省すべきだ。
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