事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「死の味(上・下)」A TASTE FOR DEATH

2008-04-16 | ミステリ

Atastefordeath01 P.D.ジェイムズ著 ハヤカワミステリ文庫

 イギリス人の考えるリタイア後の理想の生活とは、昼は庭園のバラの手入れをし、夜はスコッチを飲みながらミステリを読むことらしい。これは日本人には無理だ。広い庭などめったに存在しないし、アルコール分解酵素を持たない人が多い民族だから、ウイスキーなんか飲んだら犯人を推理するどころではない。

 P.D.ジェイムズがつくりだした名探偵ダルグリッシュ警視をご存知だろうか。日本の場合、彼が活躍するシリーズからスピンオフした女探偵コーデリア・グレイ(「女には向かない職業」)の方が有名だけれど、齢八十を超したこのミステリの女王(しかし先代であるクリスティのことは、作中で「一緒にしないでよ」とばかりに皮肉っている)の本領は、間違いなく静謐なダルグリッシュの方にある。最高作は文句なくこの「死の味」。ミステリは、本場の英米では二流扱いらしいが、しかしこの作品の人間描写はすごい。こんなタイプの人間は、きっとこう考え、そしてこうやって犯罪に陥ってしまう……読者を否応なしに納得させるその手管には恐れ入る。

こんな話をむかしALTとしていたら、いきなり「おーほっほっほ。わたしはストラドフォードの書店でアルバイトをしていたとき、サイン会に来た彼女に会ったことがあるのよーっ!」と思いっきり自慢された。くそ。これだからわたしはイギリス人が嫌いだというのだ。                  

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