事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 Trumbo (2015 東北新社)

2016-11-03 | 洋画

ダルトン・トランボといえば、わたしの世代にとっては「ジョニーは戦場へ行った」の監督(原作と脚本も)。

戦場で負傷し、目も見えず、口もきけず、聴覚も失ったジョニーは、壊死をふせぐために両手両足をも切断される。人間として見てもらえなくなった彼が、自分の意思をどのように伝えようとしたか、そして何を伝えたかったか……壮絶な反戦映画。だからトランボとはこういう、シリアス一辺倒な人なのかと思っていた。

違った。

彼は「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出などの脚本を“匿名”で書くなどした職人でもあったのだ。しかも、ものすごく有能な。

なぜトランボはクレジットされなかったのか。ここに、アメリカの恥部であり、ハリウッドの暗黒を象徴する“赤狩り”が影響している。

後の反共の嵐を意味する赤狩りについては、わたしも若くはないのである程度承知はしている。有名なのがハリウッド・テン。映画業界の著名な10人が、共産主義者であるということで追放される。トランボもそのひとり。

この嵐は他の業界にも広がり、途中からジョセフ・マッカーシーというきわめて奇矯な上院議員が登場し(2016年の観客は、誰しも現在の共和党大統領候補との相似に気づくはず)全米が彼に熱狂する。かの有名なマッカーシズムだ。

そのなかで、とりわけハリウッドが狙い撃ちされたのは、国民への影響力が大きいと判断されたのだろう。なにしろ有名人たちだから国民は注目する。要するにハリウッド・テンは見せしめの意味合いが強かったわけだ。

この動きに、ハリウッドは割れた。以下次号

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