事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

半沢直樹その3

2017-01-02 | テレビ番組

PART2はこちら

このドラマでは香川照之の大和田常務が常に悪役として君臨する。彼がお座敷で他の悪役たちと酒を酌み交わす図は、これまた時代劇の悪代官と廻船問屋越後屋が「ぐふふふ。お主も悪よのぉ」的。

ただし、香川のことなので、そこはもうひとひねりして、うわべは銀行を思っての所業に見えるようにしている。ある理由があって大和田の家庭は描かれず、声を荒げることもほとんどない。上戸彩とラブラブな家庭を守り、「倍返しだ!」と威勢のいい半沢とは好対照。

しかし最後の最後に半沢が受ける処分を考えると、大和田も半沢も、ある人物の手のひらの上で踊らされている構図も見えてくる。それも、あまりうっすらとではなくて、ある程度わかりやすく。

で、こういうわかりやすさで毎回サラリーマンたちは「あの人事はさあ」と語りだし、翌週の視聴率がはね上がるということだったのでは?銀行とくれば金庫破りだとばかりに、銀行員でなければできない(ほんとうは銀行員でもできないにきまっている)ロック解除の方法など、サービスも満点。

それにしても、このドラマを銀行員たちはどう見たのだろう

産業中央銀行と合併した東京第一銀行は東京三菱銀行がモデルだと言われている。お公家さんと呼ばれた三菱は、いい意味でも悪い意味でも紳士的で、バブルの影響をあまり受けなかったと(と、同級生の行員が自慢してました)。

わたしでも知っているくらいだから、三菱と三和の不和は業界人の間では常識なのかも。その意味では、確かに銀行員(とその家族)こそがもっともこのドラマを楽しく見たのかもしれない。

でもねえ、「出向」「裁量臨店」「金融庁検査」など、半沢は徹底的に崖っぷちまで追い込まれる。こういうのを見ると、銀行員志願者は減ったんじゃないかなあ。

脇役で光ったのはなんといっても国税検査官の片岡愛之助。まるで歌舞伎役者のように(笑)、六方を踏んでいるかのような演技。個人的には滝藤の奥さんを演じた山崎直子(山崎努の娘だって初めて知りました!)、大和田の奥さんを演じた相築あき子(斎藤博脚本、中原俊演出のフジ「桃尻娘」は傑作だったなあ……伊原剛志の元奥さんだったって初めて知りました!)が好き。奥さんばっかりかい。

【リーガル・ハイ篇につづく】

コメント (2)
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