事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

刑事コロンボを全部観る~Vol.30「ビデオテープの証言」

2010-12-09 | テレビ番組

Geenarowlandsgloria Vol.29「歌声の消えた海」はこちら

 まさしく邦題どおりの展開になる一編。ただし、オンエア当時はビデオテープなるものの存在が一般的ではなかったので、かなりマニアックなストーリーではあった。そう、今回の事件はメカマニアの犯行なのだ。

 犯人である電子工業会社社長のハロルド(オスカー・ウェルナー)は、車椅子の生活を送る妻のために、音に反応して開くドアなど、さまざまな工夫をこらしていた。義母から経営手腕を問われ、解任されそうになったハロルドはビデオテープを使ったアリバイをつくり、義母を射殺する。

 当時は珍しかったデジタルウォッチで現在時刻を印象づけたり、経営者としてもなかなかのセンスではないかと思うのだけれど、相手がコロンボなのが不運だった。庶民としての生活を送るコロンボ家には当然ビデオはなかったろうし、過去の映像を再生する(原題はPLAYBACK)ことでアリバイがでっちあげられるんだと気づくまでにはやはり時間がかかる。

 しかし、ハロルドが犯人だと気づいたのはかなり早い段階だとわかるつくりになっている。初対面のとき、コロンボは風邪をひいていて「風邪をうつすといけませんから」と最初は握手を拒む。しかし別れ際にはしっかりと握手をし「この男には風邪をうつしてもかまわない」とコロンボが判断したことが察せられる。うまいですなー。

 車椅子でしか移動できない夫人は、か細い声で話し、ボリューム豊かな髪、フェミニンな服装で、いかにもオールドファッションな女性なのだけれど、演じているのがなんと「グロリア」で、ウンガロのスーツに身を包んで男勝りの活躍をしたジーナ・ローランズ(笑)。彼女は「黒のエチュード」で犯人役を演じたジョン・カサベテスの実夫人で、コロンボとは盟友です。

 そんなグロリア相手では舞台俳優として著名なオスカー・ウェルナーも分が悪い。しかし連行されるときに手を「バン!」と叩いてドアを開き、退場するさまはさすが舞台人。コロンボが突きつけた証拠は、このシリーズでも屈指のわかりやすさ。もっとも、CGばやりの現代では、およそ証拠能力があるかは微妙なところでしょうが。

Vol.31「5時30分の目撃者」につづく

コメント
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