本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

アウフヘーベン

2017-06-15 16:41:25 | 漢字

ニュースでこの言葉が飛び込んで、

やはりと知事ともなると

外国語にもご堪能なようで

「アウフヘーベン」というドイツ語

も駆使して表現されるようです。

 

十地経の講義の中でも

安田先生もこの言葉をよく使われ

言葉自体にはなじみはありました。

 

哲学的には「止揚」というか

ヘーゲルが使った言葉です。

 

もともとは日常語で

「上へあげる」という意味です。

die hand aufuheben 

というように、手を上へあげる

というような使い方です。

しかし、

もっと意味合いも含んでいて、

保管する、保存するという意味もあり

解散するという意味もあります

また、

廃止する、破棄するという意味もあり

相殺する、帳消しにする

というような意味もあります。

 

都知事はどういう意味で

使われたのでしょうか ??

 

こういう日常語を

ヘーゲルという哲学者は

哲学用語まで高め

精神構造を表現されたのでしょう。

 

かの知事さんは

AとBと統合して更に良いものへと

高めていく、

Aの内容を保存しつつ

次のステージを見すえる

というような意味で

使われたのでしょうか?

 

十地経の講義の中でも

十地という内容は

全てが修行ということですが

その段階を歩んでいくということは

歩ませないようにしているものを

見つけないと、歩めない

ということです。

歩めないようにしている自分の煩悩

を見つけないと

本当の歩みは出てこない

 

「煩悩を断ぜずして涅槃を得る」

ということがあります

「煩悩即涅槃」

といういいかたもあります。

普通は、

煩悩を断じて涅槃を得る

ということです

煩悩を断じなかったら迷いのまま

永遠に悟りはありません

煩悩を捨ててしまえといっても

実際にはできるものではありません

そこに大きな矛盾があります

 

できることをやっていく

というのは実践ではないのです

出来ないことをやる所に実践はある

頭で考えると

矛盾のように思えるのですが

事実スポーツ選手とか見ていると

できることをやってたんでは

絶対に勝てないんです

出来ないことをやる

そこに本当の実践があると思います

 

その一点を経典では

『転』という言葉で表現しています

転じていく

「転捨」ということもあります

ただ何でもかんでも捨ててしまう

ということではなく

捨てるにも転に捨てる

得るのも転に得る

というように

煩悩を転じて菩提を得る

 

そういうことを

アウフヘーベンと表現されてます

矛盾するものを契機として

それを保存する

そして次の歩みへと進んで行く

 

「一即一切」

ということがあります

さとった法の世界には段階はない

のではないかと

一味の世界というくらいですから

ではなぜ、

『十地経』というように

十の位があるのか

法界といえば一つではないかと

十地がなぜ必要か

 

というのは、障りがあるからです

智慧を得ても智慧の中に障りがある

そしてそれを対治していく

そうすると智慧が自分を

アウフヘーベンしていく

そういう意味で十地が成り立つと

 

障りを嫌ってしまうと

(煩悩を断ずる)というように

それは個人の問題で

みんなの問題意識にはならない

反対に、障りを喜んでしまうと

それは煩悩にまみれてしまう

 

そこに

障りというものの意味を見つけ

意義を認め、

障りを駆使していく

障りを恐れずにまた障りに使われず

そこから脱皮していく

障りを止揚していく

アウフヘーベンしていく

欠点を活かしていく

成功しようと思えば失敗を生かす

 

修行でもそうですが

前のものが完成したことが

実は次のものを引き起こしてくる

それが歩みです

ただ

歩(あゆむ)というのではなく

過失を自分の中に見出す

過失を外に見ている間は

自分は歩んでいない

不足を言っているだけです

自分の中に過失が見つかった

それが歩みとなるのです

  

もともとは俗語である

アウフヘーベン

もっぱら日本ではヘーゲルが唱えた

弁証法の止揚ということが

定着しているようですが

一つの考え方として

仏教での修行を行じていく

その段階を乗り越えていく

その段階的に階段を上がっていく

のではなく

前のものを保持しつつ

そこに新たな障りを見つけて

乗り越えていく

というようにも

使えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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